老後に向けての資産形成が話題になり、iDeCoへの加入者が増えてきています。同じような資産形成の一つとして「つみたてNISA」がありますが、どちらを選んだらいいのか正直わからないという声をよく聞きます。それぞれの特徴をよく理解したうえで、老後の資産形成にうまく活用していくようにしましょう!
iDeCoとつみたてNISA
どっちを選んだらいい?
2019年10月25日
「iDeCo」が生まれた背景
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の事です。この時点で「確定拠出年金」って何?と思われる方も多いと思います。そのためには、まず年金制度とはどんなものなのかを知っていただく必要がありますので、その内容についてお話したいと思います。
日本の年金制度は3階建て
日本の年金制度はその方の職業などによって3つに分かれています。 まず、全体の基礎となるのは「国民年金」です。この「国民年金」は「基礎年金」ともいわれ、一定期間加入して保険料(国民年金保険料)を納めることで、原則65歳以上から誰でも一定額を受け取ることが出来るというものです。 次に、会社員や公務員であれば「厚生年金保険料」を毎月いただいているお給料の中から支払うことで、上の「国民年金」と合わせる形で受け取ることができます。毎月お給料から支払う保険料は所得によって異なりますので、当然受け取る額も人によって異なります。 最後にご紹介するのが「企業年金」と言われるものです。これは一定の企業が上に述べた「厚生年金」にさらに上乗せする形で用意してくれる年金です。つまり、会社の福利厚生制度の一つというわけです。この企業年金の制度で受け取れる額は、その所属している会社によって異なります。
企業年金制度の移り変わり
先ほどご紹介した「企業年金」の制度が数年前から変わってきました。 今までは「確定給付年金」という形が主流でした。つまり、「年金をいくら給付するのか確定している」といったものだったのです。その為に企業が資産運用を行って、従業員の方に将来支給する年金を用意するということが必要でした。しかしながら、2000年以降低金利が続いていることから、企業としても決まった額を支給するための資産運用が困難になってきたのです。そこで、それに代わる年金制度として新しく誕生したのが「確定拠出年金」というものです。
「確定拠出年金」とは?
確定拠出年金とは上に述べた確定給付年金とは違い、「企業が年金の原資となるお金を毎月の掛け金として拠出する額が確定している。」というものです。つまり、「企業は毎月決まった額を拠出するので、それを従業員個人が自身で運用して、老後の年金を用意してくださいね。」というスタイルに変わったわけです。企業側にとっては運用する手間を省くことができることで、その分メリットの大きい制度ということができます。そして、このように企業が掛け金を拠出する制度が「企業型確定拠出年金」と言われ、個人が任意で加入して掛け金を拠出し、運用していくスタイルが「個人型確定拠出年金」つまりiDeCoというわけです。
iDeCoの特徴
iDeCoは60歳になるまで掛け金を拠出でき、その掛け金も月々5千円からと非常に利用しやすいものとなっています。そして原則として60歳以降にそれまで積み立てて運用したお金を年金や一時金として受け取れる制度です。 iDeCoを利用するうえで一番よく言われるのがその「節税メリット」でしょう。 「掛け金は全額所得控除」になりますし、「途中の運用益は非課税」となります。さらには受取時においてもいろんな税制優遇を受けることができます。
つみたてNISAとは?
つみたてNISAが始まる前、実は今でいう「一般NISA」というものが存在しました。しかし、この一般NISAはどちらかというと「まとまった資産を運用する」という考えに基づいたもので、利用者もある程度の資産を構築した、退職後の人が多いのが現状です。その為、金融庁は「現役世代の人にも資産運用を広めたい」と考え、「投資しながら貯めていく」方法としてこのつみたてNISAの制度を開始したのです。
つみたてNISAの特徴
つみたてNISAで購入できる商品は実はかなり限られています。それだけ、運用初心者向けで長期投資が出来る商品を選ぶことが出来るのが特徴です。そしてこのつみたてNISAにも税制のメリットがあります。「毎年40万円までの非課税枠」や「非課税となる期間が20年間」と長期に渡ることから、長期運用の効果を実感しやすい仕組みになっています。
iDeCoとつみたてNISA、どちらを選ぶのがいい?
iDeCoとつみたてNISA、2つの制度が生まれた背景には、前者は「自助努力によって年金を増やしてもらいたい」という考え、そして後者には「長期に渡る資産運用を身近なものにしてもらいたい」という考え方が存在します。つまり、つみたてNISAは使い道が自由であるのに対し、iDeCoはあくまで老後資金の形成であることに注意する必要があります。従って、二者択一ではなく、どちらも併用することが大切ということです。
資産運用は目的ではなく、皆さんご自身の思い描く人生(ライフプラン)を実現するためのツールです。従って、これから起こるであろうさまざまなライフイベントに備えた資産運用がこれからは大切になってくるといえるでしょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年10月25 日時点のものです)