2020年4月から私立高校が無償化される予定です。公立高校に比べると学費が高い印象がある私立高校ですが、無償化されることで学費はどのくらい変わってくるのでしょうか。最新情報を知って、上手に教育費の準備を始めましょう。
私立高校の無償化、いつから?
知っておきたい最新情報
2019年9月3日
三大支出の一つ「教育費」
人生にはさまざまなライフイベントがあり、その都度支出が伴います。
その中でも教育資金は、住宅資金、老後資金と並んで人生の三大資金と呼ばれ、大きな支出が予想されます。
文部科学省「2016年度子供の学習費調査」によると、学校教育費は幼稚園から高校まですべて公立の場合約231 万円、すべて私立の場合約1,146万円必要という結果が出ています。親としてはすべて公立に行ってほしいと思っても、子供が私学を希望したらやはり希望を叶えてあげたいですね。
そこで、知っておいてほしい制度に「高校無償化」というものがあります。
高校無償化とは
高校無償化と呼ばれていますが、 正しくは「高等学校等就学支援金制度」といいます。 「就学支援金」とは国による授業料支援のことをいいます。
まずは現行の制度についてみていきましょう。
高等学校等就学支援金制度とは
高等学校等就学支援金制度は、公立高等学校などの授業料を無償化し、私立高等学校などに就学支援金を支給して授業料を低減することを目的として、2010年に始まりました。
その後、2014年に所得制限が加わり、公立、私立ともに、年収が約910万円未満の世帯に就学支援金が支給されるようになりました。支給される金額は公立高校の全日制で月額9,900円、定時制で月額2,700円、通信制で月額520円です。私立高校では、一律月額9,900円が支給されます。
この支給額は、国から直接学校に支払われます。つまり、公立高校の場合は授業料を支払う必要がなくなるので「無償化」と呼ばれているのですね。
私学も「無償」なの?
私立の場合はもともとの授業料が高いため、実際は「無償化」にはなりません。例えば授業料が年間80万円の高校の場合なら、9,900円×12ヵ月=11万8,800円が支給されるので、生徒側は差額の68万1,200円を支払えばいいということです。
このように、私学も公立と同じように就学支援金が支給されますが、さらに世帯収入によって支給額が加算されます。
年収の目安が590万円未満の場合は年間で17万8,200円、350万円未満の場合は23万7,600円、270万円未満の場合は29万7,000円が加算されます。
公立高校のように、授業料が「全額無償になる」というわけにはいきませんが、授業料が高い私学においても、国から支給される制度を利用できるのは助かりますね。
2020年4月からの変更点は?
このように、2010年から始まった高等学校等就学支援金制度ですが、 2020年4月から、私立高校等に通う生徒の「就学支援金」の上限額の引き上げなどの制度改正が行われます。
主な変更点は2つあります。
支給の上限額がアップ
まず1点目ですが、支給の上限額がアップします。
現在は、先ほど見てきたように、年収目安が910万円未満の世帯に年額で11万8,800円が支給されていました。そして、年収に応じてさらに支給額が上乗せされていましたね。
2020年4月からは、この支給の上限額は私立高校の平均授業料を勘案した水準に引き上げられます。
仮に、私立高校の平均授業料が50万円とします。子供が通う私立高校の授業料が50万円未満の場合は、授業料が実質無償化になるというわけです。もし、子供が通う私立高校の授業料が平均授業料の50万円より高い場合は、その差額だけ支払えば済みます。
これは、2020年度よりも前に入学している在校生にも適用されます。手続きは通っている学校から案内があるので、その案内に従って申し込みを行えばOKです。
公立高校に比べて授業料が高いイメージのある私立高校ですが、条件によっては実質無償で通うことも可能になりますね。
目安所得が減額
2点目は、就学支援金が 上乗せ される年収の目安が減額されます。
現在は年収の目安が910万円未満でしたが、 2020年4月からは年収の目安が590万円未満に変更されます。
また、それに伴い判定の基準が、現在は地方税の「所得割額」でしたが、2020年4月からは「課税所得」に変更されます。
年収の目安が590万円以上910万円未満の世帯は、2020年4月以降も就学支援金は現在と同じく年間11万8,800円ですので注意してくださいね。
今まで私立高校は、授業料の面から対象外としていた世帯にとって、子供の進学の選択肢が増えることはよいことですね。
また、同じく2020年4月からは住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生を対象に高等教育の無償化が実施される予定です。これにより大学・短期大学・専門学校などの授業料および入学金の減免措置と給付型奨学金が拡充されます。
新しい制度を知って、教育費の準備の参考にしてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2019年9月3日時点のものです)