大事なことだけど、気が進まない。やらなきゃとわかっているけれど、手をつける気になれない。そういうことって、ありませんか。家計の定期点検や、子どもの金銭教育は、その典型ではないでしょうか。
とはいえ、やらねばならないのがこの2つ。どうやって? 花火大会にからめて2つを同時にやっちゃう、というのはいかが。適度な暗闇とほどよい高揚感。家族の親近感が高まったところで、さぁ、コラボ作戦を始めましょう。
花火大会にからめて
いま家族で話したいお金のこと
2019年8月2日
ゆるやかな家計検分のすすめ
花火の余韻を借りて、家計のこと、景気・経済のことを、夫婦でざっくばらんに話そうという提案です。大げさに構えることなく、ただフランクに話すだけ。その方が家計の弱点に気づき、改善点を見つけやすいからです。
ホント?と首を傾げた方、だまされたと思ってやってみてください。そうそう、子どもを参加させるのを忘れないで。
子どもにお金の扱い方を教えたい。お金のトラブルに巻き込まれないよう指導したい。親ならみんなそう願っていますよね。
「お金を大切に」「ムダづかいはやめて」といっても大した効果はありません。もっと実践的な、社会の実情に合ったアプローチが必要です。
家計検分に巻き込んで、実地教育すれば一石二鳥。お金の動きを想像させ、コントロールする難しさを実感させる。それがこの作戦の隠れた趣旨です。
子どもに聞かせたい7つのこと
1.消費税が上がる
社会的影響は未知数ですが、家計の支出が増えるのは確か。収入が変わらないとしたら、どこを締めるか、何を減らすか。それとも支出配分を一から見直すか。一度は話題にしておきたいこと。
なぜ消費税が上がるのか。そもそもなぜ税金を払うのか。国の財政が厳しいことも子どもに話してあげましょう。
2.物価がじわりと上がっている
物価の上昇を実感していますか。食料品、日用品、配送費、外食代など、身近なものが値上がりしていますよね。総務省の消費者物価指数にもそれが表れています。
日銀は物価を上げようとしています。長く続いたデフレの悪循環から抜け出すためです。物価は多様な要素で決まるため、この先どう動くかはわかりませんが、さらに上がる可能性はあります。
物価が上がれば、家計に影響があります。対策が必要になるかもしれませんよね。
3.景気に陰りが見えている
日本経済は2013年から2018年まで、概ね上向きの状況にありました。それが2019年に入って陰りを見せています(内閣府景気動向指数・同景気ウォッチャー調査)。
人の体調に波があるように、景気にも波があります。波が引くと、お金の流れが悪くなり、会社のもうけが減って、働いている給料も削られる、という悪循環が生まれやすくなります。
日本経済はすでに成熟期に入っていて、昔のような急成長はもう期待できません。経済構造も大きく変化していて、いまは過去に貯め込んだ資産を活用して収支を補っている状況です。
日銀は金融緩和で景気を支えています。お金の供給量(マネタリーベース)は未知のレベルに膨張していますし、少し無理をしている状況だということは頭に入れておきましょう。
4.キャッシュレス化が進みそう
現金を持ち歩かなくてもモノを買い、支払いができるようになってきています。カードやスマホを使った電子決済は、急速に進んでいきそうです。
しかし便利になる一方で、問題もあることを忘れてはいけません。それは、いくらお金を使ったか見えにくくなり、従来の家計管理がうまく機能しなくなるケースがあるこということです。やり方を変えなくていいのか、一度は話しておきたいですね。
決済ミスをどう防ぐか。個人情報をどう守るか。紛失や盗難、悪用にどう備えるか。そこは子どもにもしっかり聞かせましょう。
5.他国の影響を受けやすくなっている
人もモノも容易に国境を越えるようになり、日本経済が他国の影響を受けやすくなっています。地球上で政治的混乱や金融危機が起きると、私たちの家計にもその影響が及びます。
ふだんから金利や株価、為替などを読む習慣をつけましょう。特に住宅ローンを変動金利で借りている人、外国株式や外貨建て資産を保有している人は、こまめなチェックが必要です。
6.お金の貯め方はこれでいい?
お金は予定どおり貯まっていますか。状況は変化していませんか。保有資産の総額は把握できていますか。
夫婦が別々に貯金している場合も、今後を見据えた状況確認、情報公開は必要です。現状を話して子どもの協力を仰ぐというのも大切なこと。
7.お金の使い道はこれでいい?
状況は刻々と変化します。家計に新たな問題は浮上していませんか。支出の中身や割合が勝手に変化していませんか。
必要な出費とムダな出費の見極めは大丈夫ですか。夫婦で意見をすり合わせ、家計の改善、子どもの判断力養成につなげましょう。
焦らず・気長に・着実に
以上が「いまやっておきたい家計検分と金銭教育」です。真っ向からやろうとするとハードルの高いことも、このぐらいゆるやかな方法なら、時期を逃さず、やるべきときにやれるのではないでしょうか。
完璧をめざさないこと、家族も自分も責めないこと、できることをひとつずつ積み重ねていくことが、この作戦のコツ。これらを心にとめて、お金に困らない暮らしを、自分たちの手で築いていきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年8月2日時点のものです)