いよいよ10月1日から消費税率が10%に引き上げられます。飲食料品などの税率は8%に据え置きとなる軽減税率制度も同時に始まります。この軽減税率ですが、判断が難しいとされ、混乱が予想されています。そこで、軽減税率をいくつかのケーススタディにして、わかりやすく解説します!
増税前に知っておきたい!ケーススタディで理解する軽減税率「こんな場合はどっち?」
2019年7月1日
軽減税率ってなに?
まずは、軽減税率について大枠を理解しておきましょう。
10月1日から消費税率が10%に引き上げとなりますが、次の2項目については、消費税率は8%のままとなります。
(1) 酒類・外食等を除く飲食料品
(2) 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞
(1)については、飲食料品の範囲や、外食の定義などが分かりにくく、今から混乱が予想されています。
飲食料品の範囲は?
飲食料品とは、人の飲用または食用に供されるもので、食品表示法に規定する「食品」とされています。(酒税法に規定する酒類は除きます※)
この「食品」とは、すべての飲食物をいい、「医薬品」、「医薬部外品」および「再生医療等製品」を除いたもので、食品衛生法に規定する「添加物」は含みます。
また、食品と食品以外のものがセットになっているもの(おまけ付きのお菓子など)は、一体資産と言い、その税抜価額が1万円以下で、食品の価額の占める割合が2/3以上の場合は、軽減税率の対象となります。
※酒税法においての酒類とは、アルコール分1度以上の飲料を言います。
外食の定義は?
外食は軽減税率の対象外とされますが、テイクアウトや宅配、出前、ケータリング等は迷うところです。
判断のポイントは「役務の提供」なのか否かで判断します。
たとえば、レストランなどで食事をする場合、テーブルや椅子などの設備がある場所を提供していることが役務の提供となります。また、ケータリングなどは顧客が指定した場所であっても、切り分け、味付け、盛り付け、食器のセッティングなどの役務の提供をしています。そのためこれらは軽減税率の対象外となります。
一方、テイクアウトや宅配などは単なる飲食料品の譲渡となるため、軽減税率の対象となります。
例外としては、有料老人ホーム等で行う飲食料品の提供、学校給食は軽減税率の対象となります。
軽減税率が適用される判定時期
軽減税率が適用される取引かどうかの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行う時、つまり、飲食料品を提供する時点(取引の時点)で行います。
ファーストフード店などでは、テイクアウトかイートインかを顧客に意思確認をし、それを提供した時点で判定されます。そのため、たとえば、イートインを選んだあとに、途中でそれを持ち帰ったとしても軽減税率の適用とはなりません。
こんな場合はどっち
◆ケーススタディ1
「みりんは酒類に入るの?」
一般的にみりんと言われるものには2種類あり、「みりん」と「みりん風調味料」があります。「みりん」は酒類に分類されるため、税率は10%、「みりん風調味料」は8%となります。
◆ケーススタディ2
「我が家の愛犬のペットフードは?」
ペットフードは人の飲用、食用にはあたらないため、軽減税率の対象外となり10%となります。
◆ケーススタディ3
「縁日の屋台で焼きそばを買った場合の税率は?」
椅子やテーブルなどの食べるための設備がない場合、単なる飲食料品の譲渡となるため、税率は8%となります。
◆ケーススタディ4
「ネット通販で、送料込みの食品を買った場合の税率は?」
飲食料品の譲渡に要した送料は、飲食料品の対価とはならないため、軽減税率の対象とはなりません。ただし、食品の価格に送料が含まれており、別途送料を求めない場合であれば、軽減税率の対象となります。
◆ケーススタディ5
「栄養ドリンクは軽減税率の対象?」
栄養ドリンクと言ってもいろいろあります。表示を確認し、「医薬品」、「医薬部外品」と書かれていたら税率は10%となり、それ以外であれば、食品に該当するので税率は8%となります。ちなみに、リポビタンDは「指定医薬部外品」と表記されているので10%、オロナミンCは「炭酸飲料」なので8%となります。
◆ケーススタディ6
「立ち食いそば屋でも外食にあたる?」
セルフサービスで椅子にも座らずに食べたとしても、飲食の設備がある場所での食事の提供となるため、外食にあたり税率は10%となります。
◆ケーススタディ7
「コンビニエンスストアのイートインコーナーでサンドイッチを食べたらどうなる?」
コンビニエンスストアでも、飲食のための設備がある場所は役務の提供となるため、軽減税率の対象外となります。但し、その場合、あらかじめ意思確認を行っていることが条件となります。このあたりは混乱が予想されるところです。
まとめ
軽減税率の対象となるか否かの判定は、
1、人が飲んだり食べたりするものか
2、医薬品(医薬部外品含む)や酒類にあたらないか
3、役務の提供となる外食にあたらないか
で判断しましょう。
「役務の提供」というのは、人がサービスを提供することを指すだけでなく、飲食のための設備を提供することも役務の提供となります。そのため、どんなに簡易な設備であっても、それを利用すれば外食に該当します。
分かりにくいと言われている軽減税率について理解できたでしょうか。我々消費者が迷う以上に事業者側も対応に四苦八苦することが想定されます。そんな時に、軽減税率についての理解があれば、間違いなどを指摘し、落ち着いた行動がとれるかもしれませんね。
(※本ページに記載されている情報は2019年7月1日時点のものです)