コツコツ貯めたお金、少しは自分で増えてもらいたい、というのは誰もが思うことですよね。とはいえ、悩ましいのはお金の預け先。
おなじみの預貯金は、元本保証で安心だけど、利息はスズメの涙ほど。少しおトクな気のする金融商品は、元本保証じゃないから損をすることも。雨にも負けず、風にも負けず、頑張って働いて得たお金。さて、どこに預けましょうか?
預金よりも運用?投資?
悩ましいお金の預け先
2019年7月5日
事例1 投資信託でお金を増やす?
社会人7年目のN子さん。昨年、初めて投資信託というものを買いました。ボーナスを円定期にするつもりで訪れた銀行の窓口で、ちょっとイケメンの行員から「円定期だと利子はほとんどつきませんよ。投資信託の方が値上がりを見込めていいのでは?」と勧められたのがきっかけでした。
「ふうん、そうなのか」と納得。行員に勧められた投資信託を30万円分買い、定期預金と同じ感覚でそのまま放置していました。ところが最近、急に不安になる出来事に遭遇します。
会社の同僚との雑談で、ひとりが「近ごろは銀行が、あの手この手で投信を勧めてくるわよね。かわすのが大変」と言い出したこと。それを受けた別のひとりも「投資や運用って、手数料が高いしね」と賛同したことでした。
見えにくい損益・コスト
N子さんはひそかに動揺しました。投資信託を買ったとき、増えることもあれば減ることもある、というのは聞きましたが、「手数料が高い」とまでは、考えていませんでした。
預けたお金がどうなっているか、心配でじっとしていられなくなったN子さん。用事をつくって仕事を抜け、銀行に駆け込みます。その行員を見つけ、運用状況や手数料を確認するも……。
いま解約・換金するといくら戻ってくるのか?を知りたかったのですが、「正確な金額はすぐにはわからない、手数料は解約価額が出たときに計算されるので……」などとかわされ、頭はますます混乱、途方に暮れてしまいました。
事例2 仕組み預金に仕組まれた?
社会人9年目のR子さんは、愛車を買い換えようと決断し、預金を引き出しに銀行に行きました。ちょうど5年前に預けた預金が満期になっているはずでした。
ところが、予想外の事態に直面。すっかり当惑しています。行員から「お客さまがお預けになったのは、高金利が魅力の新型定期でございまして、こちらは当行の判断で、満期が2年延長になっております」と告げられたからでした。
見落としやすい規定やルールも
たしか満期は、最短5年・最長10年だったはず。そう訴えましたが、相手は平然としたもの。「こちらが契約時にサインしていただいた書面です」と控えを差し出されては、反論の余地もありません。
書面を読まなかったわけではありませんが、少し見落としがありました。満期は預金者が決めるのではなく、銀行が決めるというルールがあったこと。
「元本保証」の記載にすっかり安心していましたが、そのあとに小さく書かれた「満期まで解約不可」という併記までは、目に入っていませんでした。
契約時にキャンペーンをやっていて、景品に気持ちが向いていたことも、見落としの理由かもしれません。結局、粘って解約はしてもらえたものの、行員から「これは特別扱いです」と釘を刺されたり、「規定の違約金」なるものを差し引かれたり。戻ってきたお金は、元本を割り込んでしまいました。
利息や運用益を狙うなら
みなさんも、いつもの銀行で、投資信託や仕組み預金、外貨預金などを勧められることは増えていると思います。すぐには使わないお金だし、定期預金より利率がいいから、試しに預けてみようか……という気にも、ついなりますよね。
ただ、手を出すなら基本的な仕組みを理解し、リスクやコストに目を向け、自分に有利かどうかをじっくり吟味してからにしましょう。
カラクリを見きわめて
預貯金以外の金融商品、すなわち運用や投資が組み込まれたものは、仕組みが複雑なことが多いので選ぶにはどうしても手間ひまがかかります。
手間ひまをかけられないとき、お金を絶対に減らしたくないときは、やっぱり手を出さない方が無難です。なぜなら、増えることもあるけれど、減ることもあるからです。予測は難しく、タイミングや投じ方によってはかなり値を下げることも。
預貯金一辺倒にもリスクがある
とはいえ、運用や投資を避けていればいいかというと、それはまた別の話です。預貯金一辺倒では、短期的には問題がないかもしれませんが、長期的には違う弱点があります。
預貯金は減らないから安心、というふうに見えますが、経済や金融が動けば、私たちの持っているお金の価値は、少なからず変化します。
預貯金以外にも関心を
景気や金利は変化するものです。為替も物価も常に変動しています。お金を増やすことはさておき、大事な資産が知らないうちに減損するということのないよう、預貯金以外の増やす方法を知っておく、というのは意外と大切なことです。
お金の価値はどのようなときに変化するのか、預貯金一辺倒だとどういうリスクがあるのかも、併せて理解しておきたいところ。将来に向けてコツコツ貯金をするように、資産管理・資産防衛に必要な知識も、いまからコツコツと貯めていきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年7月5日時点のものです)