「去年はじめて株を買いました。買った会社から株主総会のお知らせ通知が送られてきました。これって大事なことですか?株主総会って何ですか?」―― 投資を始めてみたものの、見慣れぬ通知が届いて捨てようかどうか迷っている人も多いはず。大切な通知を捨てる前に、知っておいて損はない、株主総会のイロハについて説明します。
投資初心者のギモン!
株主総会って何ですか?
2019年6月3日
株を買ったら株主になる!
株式投資はお金を増やすためにやるものと思っている人は多いかもしれません。確かに銀行にお金を預けても、利息は微々たるものですから、将来のためにお金を増やすことを目的として株式投資などをおススメすることがあります。
しかし、株式を買うということは、その会社に出資しているということ。同時に「株主になる」ということでもあるのです。
株主の権利とは
株主は会社の出資者の一人としてさまざまな権利を持っています。
- 1.議決権
- 2.剰余金配当請求権
- 3.残余財産分配請求権
このうち、株主総会に関する権利が1の議決権。ざっくり言うと、株主は「企業の経営へ参加する権利」を持っていて、株主総会への出席や議決権行使の提出を通じて、企業の重要な決議に参加することができます。
ちなみに2は配当金をもらう権利です。「投資初心者のギモン!株を買った後は何をしたらいいですか?!」の記事でも説明していますが、配当金を期待して株式投資をすることもありますね。実務上は自分が選択した受取方法に従い、自動的に振込等されることになりますが、それは株主になって、この剰余金配当請求権を行使しているということになるのです。
株主総会って?
株主は「企業の経営へ参加する権利」を持っていて、株主総会への出席や議決権行使の提出を通じて、企業の重要な決議に参加するとることは前述しました。
でもそもそも株主総会とは何なのでしょうか?
株式会社は株主の出資を元手に営利の事業活動を行っています。そのため、定期的に株主に対して会社の事業活動や財産状況などを報告しなければなりません。そのほか、定款の変更、取締役・監査役の選任、企業の解散・合併などといった企業の重要決定事項を取り決めする必要があるときは、株主の意見を聞いてこれらの重要事項を決定しなければいけないことになっています。
このように、株主に集まってもらい、財務状況の報告や決議を行う会のことを株主総会といいます。
私の意見も反映されるの?
株主総会決議は多数決によって行われますが、株主1人=1票の議決権というわけではありません。
議決権は基本的に1株=1票の議決権(あるいは1単元=1票の議決権)となっています。選挙などのように1票の重みとして重要なものですが、保有株数に比例し、より多くの株式を持つ株主ほど企業の経営に大きな影響力を持つことになります。
株主総会はいつ行われるの?
株主総会には「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種があります。ここでは、一般的に決算の報告などで開催される「定時株主総会」について説明します。
定時株主総会は、「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と法律で規定されています。
また、「議決権行使のための基準日を定める場合、株主が行使することができる権利は、当該基準日から3カ月以内に行使するものに限られる」とも規定されています。
つまり、事業年度の終了後の3カ月以内に株主総会を開催する企業がほとんど。たとえば日本では3月末を事業年度終了日としている会社が多いですが、株主総会を開くには様々な準備が必要ですから、ぎりぎり3カ月以内である6月に株主総会を開催する企業が多いようです。
株主総会に参加するメリットは?
権利があると言われても難しいし……なんて考える人も多いはず。しかし参加することのメリットもあります。
- ・自分が出資した企業の経営方針や取り組み方、業績などがわかる
- ・企業の経営陣からこれらの話を直接聞くことで、投資の継続や追加投資などの判断をしやすくなる
- ・事業内容や決算の報告を聞くことで、その企業だけでなく業界の動向も把握でき、投資先を広げる可能性ができる
- ・自分の意見を述べることができる、etc……
参加できない場合はどうする?
株主総会に出席したくても、仕事や居住地の関係で出席できない場合がありますね。その場合、株主に送られてくる「議決権行使書」に議案の賛否を記入して返送すれば議決権を行使することになります。
企業によっては株主本人の出席ではなく、代理人出席やホームページから議決権行使ができるところもあります。
銀行に預金して利息をもらうのとは違い、しっかり選んで投資(出資)するのが株式投資です。預金利息より多く利益が出れば十分とか、株主優待をもらえるからそれでいいなどと考えるのではなく、より多くの利益を上げてもらえるよう株主としての役割に取り組んでみましょう。
議案に賛成・反対の意見表示をするのは、その企業の経営に関心をもつ良い機会です。この機会を有効に利用することで、株式投資をもっと楽しめるようになれるかもしれませんよ。