転勤をすると、会社から住宅手当や単身赴任手当などが支給される場合があります。
手当のために給与の総支給額が増え、収入増の気分を味わう人もいるのではないでしょうか。
さて、ここで気になるのが、支給された手当に所得税などの税金が課税されるのかどうかという問題。
通勤手当は非課税でしたが、転勤にともなう手当についてはどうなのでしょうか。
転勤のための手当と税金の気になる関係についてご紹介します。
転勤の手当で年収アップ!
まさかの増税と家計への影響は?
2019年3月19日



転勤になると手当をもらえる?
会社によって変わる手当の充実度
会社勤めをしていると、勤務状況によって残業手当や通勤手当などの手当をもらえる場合がありますよね。手当と一言でいっても、残業手当のように労働基準法という法律で支給が決められている手当もあれば、通勤手当のように会社ごとの規則で決められる手当もあります。
転勤にともなって支給される手当にはいくつかの種類があり、いずれも会社ごとの規則で決められます。つまり、必ず支給される手当というわけではなく、支給してくれる会社もあれば、支給のない会社もあるということです。
【転勤にともなって支給される手当の例】
・単身赴任手当
・家賃補助(住宅手当)
・別居手当
・帰宅旅費手当
金額もそれぞれ
転勤にともなって支給される手当には、もらえるかもらえないかの違いだけでなく、支給額の違いも会社ごとに見られます。対象者全員に定額で支給する会社もあれば、職階や赴任先との距離、あるいは基本給に合わせた金額を支給する会社もあります。
例えば帰宅旅費手当の場合、月1回分、2回分、3回分以上など、会社の規模に関係なく、それぞれです。単身赴任時の帰宅旅費手当(あるいは単身赴任手当など)が十分に支給されない場合、家族のもとへ帰宅する回数を増やすための家計やりくりが大変になります。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/04/4-4.html)
税金がかかる手当とかからない手当
通勤手当や出張旅費には税金がかからない
では、会社から支給される手当にかかる税金の話にうつりましょう。
会社からもらうすべてのお金に、所得税はかかっているでしょうか。実は、そうではありません。必要経費のような位置づけで給与所得控除という控除金額が収入別に定められていて、控除分を引いた金額に所得税がかかる仕組みとなっています。
さらに、例えば通勤手当は一定の上限額まで非課税となります。バスや電車での通勤の場合の上限額は1カ月あたり15万円です。車や自転車の場合は通勤距離別で7,100円や31,600円までといった上限額が決められています。出張旅費も非課税(※)です。
※ただし、通常必要と認められる金額の範囲内
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/users/gensen/tsukin/index2.htm)
転勤の手当には税金がかかる
さて、転勤の手当の場合についてですが、転勤旅費(※2)は非課税となるものの、単身赴任手当のように毎月支給される手当には所得税がかかります。税金がかかるということは、もらえる手当分がそのまま手取り収入としてプラスとなるわけではないということ。そのため、所得税や住民税などの税金が引かれると考えた上での家計管理が必要になります。
※2:転勤先へ移動するときの交通費や引っ越し代、宿泊料のこと。家族を帯同するときは家族分も支給される場合がある。
給与明細に記載されている手当の金額分をそのまま全部使うつもりでいると、家計上マイナスになってしまうのです。気をつけましょう。
増税リスクはほかにも
所得税率が上がる可能性
また、転勤にともなう手当が支給されて収入が増えた場合、所得税率が変わる可能性もあります。所得税が、所得の高い人ほど高い税率がかけられる仕組みとなっているためです。
【課税所得金額別の所得税率速算表】
・195万円超330万円以下:10%
・330万円超695万円以下:20%
・695万円超900万円以下:23%
・900万円超1,800万円以下:33%
例えば課税所得金額が320万円だった人の場合、所得税率は10%ですが、400万円に増えると20%に上がってしまいます。課税所得金額が850万円の人の場合は所得税率23%ですが、950万円に増えると33%に上がってしまいます。
また、住民税は前年の課税所得金額によって決められる仕組みとなっています。課税所得金額が増えると翌年から住民税も上がってしまいますね。標準報酬月額と保険料率で決められている社会保険料も上がる可能性があります。
保育料も上がる?
なお、住民税額が上がると、保育料も上がってしまう可能性があります。保育料が、住民税額に合わせて段階的に上がる仕組みとなっているためです。保育料が1,000円/月上がってしまうと年間で12,000円の負担増、5,000円/月上がってしまうと60,000円/年の負担増となります。
転勤にともなう出費は家計にとっての大問題。満足と感じるくらいの手当を出してくれる会社もあれば、そうでない会社もあり、転勤のたびに貯金が減ると嘆く声もあるのが現実ですよね。手当の存在はありがたいものですが、税金が増える分を考慮した健全な家計維持に努めましょう。