万が一に備えてがん保険に入っている方もいると思いますが、実際にがんと診断された時、何をどうすればいいのかは当事者でないとわかりません。罹患経験者である筆者の体験談も交え、いざという時慌てないためのチェックポイントをお伝えします。
もしもがんになった時、
慌てないための行動チェック表
2019年3月20日



1.病気の治療に対する行動
最優先しなければいけないのは、自分の命を守るということです。ですから、とにかくまず、病気の治療について考えてください。
セカンドオピニオンを取る
残念なことに、病院によって設備も違えば、レントゲン技師、医者の診断能力も異なります。筆者は実際に、A病院とB病院で画像の鮮明度が明らかに違って、それによって治療方針がまったく異なるという経験をしました。最初に行った病院の診断結果が納得のいくものであればよいのですが、ちょっとでも疑問を感じたらセカンドオピニオンを取るようにしましょう。
治療方法を選択する
病院では、厚労省のガイドラインに沿って、原則として手術・放射線・抗がん剤の3点セットで治療を勧めてきます。(がんの種類によっては異なるかもしれません)患者には、治療を選択する自由があります。各治療のリスクや効果について納得がいくまで説明を聞き、どういう治療を受けるかは自分で選択しましょう。
注意したいのが、民間療法です。手術や抗がん剤が怖いので、もっと別な方法で治せないかといろいろ探すと、いかにも効果があるような高額な民間療法がいろいろ見つかります。でも、本当に効果があるのであれば、保険適用の治療になっているはずです。安易に飛びつかないようにしましょう。
2.お金に関する行動
次に考えたいのが、治療に関わるお金と、今後の生活費です。
保険の保障内容や福利厚生内容を確認する
自分で入っている医療保険・がん保険の保障内容を確認しましょう。保険会社に請求するのは慌てなくて大丈夫です。原則として、がんと診断されてから3年間は請求できますので、治療がすべて済んでからでも十分間に合いますし、診断給付金だけ先にもらっておきたいとか、ご自身の都合に合わせて自由にできます。
そして、会社で加入している健保について確認しておきましょう。高額療養費、付加給付金、傷病手当金などを押さえておきましょう。会社から独自の支給があるかどうかも忘れずに確認してください。
キャッシュフロー表を計算しなおす
長期で休職しなければいけない、あるいは退職しなければいけないかもしれないという場合は、生活費について考える必要があります。仕事ができないことによる収入減をどの程度、保険や手当、貯金で賄えるか、当面の生活費は大丈夫か、足りない場合、何を削るか、キャッシュフロー表を計算しなおしてみましょう。
3.人間関係を見直す行動
がんは治る病気になってきたものの、最悪のケースも意識しないわけにはいきません。万が一に備えて準備も必要です。
誰に知らせるかを決める
センシティブなことなので慎重に考えてください。会社や家族など必要最小限の人たちには知らせないといけませんが、その際、どこまで周りの人たちに話していいのか自分の意思を伝えましょう。自分で周りに話すことに抵抗がないのであれば問題ありませんが、最近はSNSで不本意に話が拡散するなんていうことのないように、自分の気持ちを伝えておくことです。
エンディングノートを書く
一人暮らしをしている人は特に考えてほしいのですが、自分に万が一のことがあった時、何をどう処分したらいいのか、誰に知らせたらいいのか、遺された人たちはわかりません。お金も含めて、何をどうして欲しいのか、きちんと書いておきましょう。
注意したいのがネット上にある情報です。SNSは遺しておきたいのか、会員登録をしているのはどのサイトなのかなど、まとめておきましょう。最近はパスワードやIDなど、本人しかわからないものが多いので、必ずどこかに記しておき、一覧表にまとめておくとわかりやすいと思います。
エンディングノートはパソコンで作成してもいいと思いますが、必ず、エンディングノートを作成しているということを知らせておくことと、見られる状態にしておきましょう。
がんと診断されて冷静ではいられないと思いますが、以上のことはぜひ取り組んでください。セカンドオピニオンを取るとか、キャッシュフロー表を見直すことで、安心が得られるからです。
「診断に間違いがなければ、あとは治すしかない」「今の生活をこう変えれば、お金が足りる」ということがわかれば少し安心感が得られます。
がんと診断された時一番大事なことは、少しでも安心できる状態を作って、冷静に対処できるようにすることです。