【パワーカップル】という言葉を知っていますか?夫婦共働きで高収入を得ているカップルのことを言います。その数は、年々増加傾向にあるようです。女性が社会進出するようになり、夫の収入に関係なく、フルタイムで働く女性が増えている事が背景にあるようです。これからの夫婦像でもある【パワーカップル】。彼女たちのライフスタイルが、普通の共働きカップルとは少々違うようです。詳しくお伝えしていきます。
【パワーカップル】高収入・共働き夫婦の
ライフスタイルはココが違う!
2019年3月15日
【パワーカップル】とは?
定義
【パワーカップル】とは、どんな夫婦のことを指すのでしょう?2013年に刊行された著書「夫婦格差社会~二極化する結婚のかたち~」の中で【パワーカップル】という言葉が初めて登場しました。高所得者同士の夫婦を【パワーカップル】、低所得者同士の夫婦を【ウィークカップル】とし、これまで「1億総中流社会」だった我が国の世帯収入に格差が生まれている現状を指摘する著書でした。しかし【パワーカップル】の定義は、いまだ曖昧です。2017年ニッセイ基礎研究所が発表した内容では「夫婦ともに年収700万円超」、2018年三菱総合研究所が発表した内容では「夫の年収が600万円以上、妻の年収が400万円以上」のカップルを【パワーカップル】と定義しています。
比率
以下の資料は「年収700万円以上の人の年齢別割合」を示したものです。(パワーカップルの割合ではありませんが、パワーカップルがどの年齢層に多いかの推測になる資料です)
・女性
20~24歳 0.0%
25~29歳 0.0%
30~34歳 0.1%
35~39歳 0.6%
40~44歳 0.8%
45~49歳 1.1%
50~54歳 1.3%
55~59歳 1.0%
・男性
20~24歳 0.0%
25~29歳 0.1%
30~34歳 0.7%
35~39歳 1.3%
40~44歳 2.5%
45~49歳 4.7%
50~54歳 7.5%
55~59歳 6.9%
女性は35歳を超えたあたりから増えています。管理職に就く人が増え始め、収入も増加し始めるようです。男性は30~50代まで年齢に比例して徐々に増えています。
(厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」より)
職業
以下の資料は「平均年収が700万円以上の職業」を示したものです。(パワーカップルの職業ではありませんが、パワーカップルがどの職業に多いかの推測になる資料です)
1位 医師 1,232万7,000円
2位 航空機操縦士 1,192万1,000円
3位 大学教授 1,051万3,000円
4位 公認会計士・税理士 1,042万5,000円
5位 弁護士 1,029万
6位 大学准教授 861万8,000円
7位 記者 822万1,000円
8位 不動産鑑定士 777万7,000円
9位 歯科医師 757万1,000円
10位 大学講師 708万4,000円
(東洋経済オンライン「職業別収入ランキング2017」より)
【パワーカップル】と【共働きカップル】の違い
購買力
1つめは「購買力」の違いです。妻が専業主婦ではなく、働いて収入を得ていたとしても、一般的なサラリーマン家庭やパート主婦であれば「節約」を考えがちな暮らしになります。しかし夫婦共に同程度の収入がある【パワーカップル】なら、妻も節約を気にせず自分の欲しい物を自由に買う傾向にあるようです。
節税効果
2つめは「節税効果」の違いです。例えばA)夫は収入1300万円、妻はパート収入で100万円の場合と、B)夫婦共に収入700万円の場合では、合計収入はどちらも同じく1400万円ですが、我が国では、所得が上がるほど所得税が高くなる累進課税制度なので、A)のほうが納める所得税が高くなります。
計算式:
A)夫:(1,300万円ー給与所得控除220万円)×所得税率33%-控除額153万6,000円=202万8,000円 妻:0
B)夫・妻:{700万円ー(給与所得控除700万円×10%+120万円)}×所得税率20%-控除額42万7,500円=59万2,500円×2=118万5,000円
(簡易計算のため配偶者控除、基礎控除を省いています)
安定感
3つめは「安定感」の違いです。前項のA)とB)でも分かるように、A)の場合、夫の会社が倒産したり、体調を崩して働けなくなった場合、家計は一気に傾いてしまいます。B)の場合は、夫婦のどちらかに問題があったとしても、一気に傾くことはなく支え合えます。リスク分散型夫婦とも言えます。
【パワーカップル】のライフスタイル
住まい
パワーカップルは「お金はあるが、時間がない」という特徴があります。夫婦共にフルタイムで管理職や、子どもがいないDINKSカップルも多いようです。彼らが好む住まいは「駅に近くオフィスまでのアクセスが良い」物件です。都心の中でも家賃が高いタワーマンションに住んでいるカップルが多いようです。また、今住んでいる物件だけでなく、投資用やリゾート用として、不動産を保有しているカップルも少なくありません。
消費行動
パワーカップルは、お金に余裕があるので、消費行動も活発です。前項にも書いたように「お金はあるが、時間がない」ので、時短グッズ、外注サービスなどは特に意欲的に消費します。仕事の効率を上げるため、余暇を快適に過ごすグッズや旅行などにも惜しみなく消費します。また新商品への興味や関心が高いのも特徴のようです。経済社会のけん引役であることは間違いありません。企業にとってのよきお客様だけでなく、国や自治体にとっても公的サービスの充実につながる注目のカップルと言えます。
将来像
パワーカップルは、今ではまだ我が国の夫婦全体の1%未満といった超少数派ですが、女性が社会進出するようになり、パートナーである男性の収入に関係なく、フルタイムで働く女性が増えている中、今後パワーカップルは確実に増え続けていきます。それと同時に若い世代の「結婚観」も変化していくに違いありません。平成から新元号に変わろうとしているこの時代、新たなカップル像、新たな結婚観を想定したサービスも増え続けていく事でしょう。