学生時代に利用した奨学金。毎月返済している人もいるのではないでしょうか。
一括返済した方がいいのかしなくてもいいのか、迷っている人も多いでしょう。
それぞれのメリット・デメリットを知って自分に合った返済方法を選びましょう。
奨学金の一括返済
メリット&デメリット徹底比較
2019年3月3日
奨学金の種類は何があるの?
代表的な奨学金制度には、日本学生支援機構が行う奨学金制度があります。奨学金の利用率は高く、平成28年度の「学生生活調査」によると、大学(昼間部)では48.9%、短期大学(昼間部)では52.2%と約半数の学生が利用しています。
給付型と貸与型
奨学金には返済の義務がない給付型もありますが、審査や条件が厳しくなっており、返済の義務がある貸与型を利用する学生の方が多くなっています。
貸与型は、親が借りて親が返済する教育ローンと違い、学生本人が借りて卒業後に返済する仕組みです。
無利息と利息付
奨学金の貸与型には、無利息の第一種と利息が付くタイプの第二種があります。
利息が付くタイプも、在学中は無利息で卒業してから利息がつきます。社会人になってからの返済が負担となり、最近は返済ができないケースも増えていることが問題になっています。
一括返済のメリットは?
では、奨学金はやはり一括で返済した方がおトクなのでしょうか。まずは一括で返済するメリットをみていきましょう。
借金がなくなる
「奨学金」といえどもれっきとした借金です。
大学を卒業するのと同時に、学生時代に借りた借金を背負い、長期にわたって毎月返済を続けるということです。
独身で、自分の収入から返済できていれば、借金を背負っているという実感がないかもしれません。しかし、数年経って結婚を考えた時に妻にも夫にも奨学金の返済があるとすると、毎月の家計のやりくりが厳しくなることが予想されますね。
また、結婚後に家を買うことになった場合、住宅ローンを組むことを考えるでしょう。奨学金も「借入」の扱いになるため、年間の返済額が年収に対しどのくらいの割合かを考えた場合、住宅ローンの審査に厳しい結果が出ることもあります。
これらのことを考えると、やはり借金をゼロにしておくことで気持ち的にも軽くなりますね。
利息分がなくなる
奨学金を返済している人は、手元に「返還内訳計画表」が届いていると思います。
毎月返還するお金を割賦金といいますが、割賦金の内訳を見てみると「元金」と「利息」が記載されています。
毎月同じ金額を返済しているので、あまり実感はないかもしれませんがかなりの利息を払っていることがわかりますね。 もし、少しでも早く一括返済をすることができたら、余分な利息を支払わずに済むというわけです。
2019年2月現在の大手銀行の1年定期の金利は0.01%です。定期預金に100万円を預けていても1年後に受け取れる利息は、税金を引くと80円にもなりません。それならば、少しでも早く借りている奨学金を返済してしまうのも一つの方法でしょう。
デメリットはあるの?
一括返済のデメリットとしては手元の資金がなくなることでしょう。
手元資金がないと不安
今まで貯蓄をして貯めてきた資金を一括返済に回すことで、万が一働けなくなったりや何かしたいことがある場合に諦めないといけなくなったりするのであれば、やはり手元にある程度資金をおいておく必要があります。
また、一括返済をすることで手元資金がなくなり、大きな買物をする時に奨学金の金利より高いローンを組むようなことになるなら逆効果です。
金利を考えて
先ほど、奨学金には無利子のタイプがあるとお伝えしました。もともと金利がないのですから、一括返済した場合の「利息分がなくなる」というメリットはありません。それならば、まとまった資金はNISA口座を利用して運用するのも一つの方法でしょう。
また、利息があるタイプの奨学金でも金利はかなり低く設定されています。
平成30年度の2月に貸与終了した人の場合、固定金利で0.14%です。また5年前の平成25年度の3月に貸与終了した人の場合、2018年3月の金利に比べると高めではありますがそれでも0.82%です。先ほどもお伝えしたNISA口座を利用するなどして、金利以上の運用が狙えるのであれば、あえて一括返済をしないという考え方もできますね。
ただし、投資で運用する場合、元本保証ではありません。
投資で運用はしたくないという人は、先ほどメリットのところでお伝えした1年定期預金の金利を考えた上で、「手元に資金がある」という安心感とすり合わせてどちらが自分にとっていいかを考えてみてくださいね。
奨学金を一括返済した方がいいのかどうかは、自分のライフプランによって変わってきます。まずはお金の優先順位をしっかり考えて、無理のない資金計画を立ててくださいね。