最近よく聞く「○○Pay」という言葉。モバイル決済サービスを指す言葉ですが、中国の都市部では9割近い利用率という話も聞きます。日本では、まだ普及率は少ないものの、各社サービスがしのぎを削っている状況です。それゆえに、わからないことも多く、安全性についても不安があることでしょう。そこで、モバイル決済の仕組みやサービスについて、最新情報も盛り込んでご紹介したいと思います。
今話題の○○Payってどうなの?
仕組みや安全性は?
モバイル決済最前線!
2019年1月21日
○○Payってなに?
○○Payと聞いて、いくつ思い浮かぶでしょうか。LINE Pay、楽天ペイ、PayPay、Apple Pay、Google Pay、Amazon Pay、Origami Pay…まだまだありますが、この辺にしておきましょう。この中でApple Pay、Google Pay以外はいわゆるQRコード決済のサービス名であり、店頭でQRコードやバーコードをスマホアプリで読み取って決済する仕組みとなっています。名前に○○Payと付きませんが、d払いも同じサービスです。
一方、Apple Pay、Google PayはNFC(近距離無線通信規格)と呼ばれる「かざして通信する仕組み」を利用した決済システムです。クレジットカードや電子マネーなどの支払いサービスをまとめた決済機能アプリと言えるものです。広義においては、どちらもモバイル決済サービスとしてまとめることができます。
主な○○Pay
どんなサービスなのか、よく聞く○○Payをいくつかご紹介します。
LINE Pay
LINEのスマートフォン決済サービスです。LINE Payの口座にチャージすることで、LINE Pay加盟店でバーコード決済ができます。また、JCB加盟店で使えるプリペイド式のLINE Payカードで決済することもできます。LINEならではのサービスとしては、LINE Payに加入している友だち同士で送金や割り勘などができます。
楽天ペイ
楽天に登録したカードから支払える決済サービスでバーコードやQRコード決済ができます。使えば使うほど楽天ポイントが貯まり、提携店舗ではポイントで支払いもできます。オンラインショップでは、楽天IDに登録されている情報を利用して決済できるため、サイトごとに決済情報を入力する必要がないので手間が省けます。
PayPay
ソフトバンクとYahoo!の合同会社「PayPay株式会社」が提供するバーコード決済やQRコード決済サービスです。昨年12月に実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」が話題となりましたが、一方でクレジットカードの不正利用に使われるなどの問題も発生しました。使い方は簡単で、お店の人にバーコードを読み取ってもらうか、QRコードを読み取り、金額を入力したあと、お店の人に確認してもらえば支払いが完了します。
d払い
“Pay”はつきませんが、バーコードやQRコードを使ったドコモのスマートフォン決済サービスです。dポイントが貯まるだけでなく、持っているdポイントを決済に利用できます。
また、d払いで利用した料金は毎月の携帯料金に合算して支払うことができるため、クレジットカードを持っていなくてもスマホ決済ができます。
http://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/
Origami Pay
ベンチャー企業である株式会社Origamiが提供するバーコード決済やQRコード決済サービスです。アプリをダウンロードしてアカウントを作成し、銀行口座やクレジットカードを登録することでバーコードやQRコード決済を利用することができます。加盟店での利用で割引やクーポンをもらえるなど、様々なキャンペーンを展開しています。
Apple Pay
iPhoneやApple Watchで使える決済システムです。バーコードやQRコード決済とは違い、店舗側の非接触対応端末を用いて決済するため、非接触型決済サービスと呼ばれます。複数のクレジットカードや電子マネー、ポイントカードを登録しておくことができ、支払いごとにカードを選ぶことができるのが特徴です。また、クレジットカードや電子マネーでの決済と同時にポイントカードにポイントを貯めることもできます。
http://www.apple.com/jp/apple-pay/
Google Pay
Googleが提供する非接触型決済サービスです。日本ではおサイフケータイ対応のスマートフォンで利用できます。Apple Payと同様に複数のクレジットカードや電子マネー、ポイントカードを登録しておくことができます。機能としてはほぼ一緒なので、お手持ちのスマートフォンがiPhoneならApple Pay、AndroidならGoogle Payを利用することになります。
http://pay.google.com/intl/ja_jp/about/
安全性はどうなのか
少し前にPayPayを利用したクレジットカードの不正利用が問題となりました。
クレジットカードに身に覚えのないPayPayからの請求があったことから発覚し、クレジットカードの情報が第三者に渡り、その者がカード情報をPayPayアプリに入力して不正に利用している可能性が指摘されました。この背景には、アプリ側のセキュリティの甘さが一因とされており、クレジットカードを登録する際のセキュリティコードの入力に回数制限がない、本人確認のための認証が十分でないなど、安全性に問題があったことは否めません。(現在は、一定回数以上間違えた場合、ロックがかかるように改善されています)
今後、こうした決済アプリは3Dセキュア(クレジットカード番号、有効期限以外に本人にしかわからないID、パスワードを事前登録して合わせて認証する方法)に対応していることが必須条件となりそうです。
○○Payもっと普及する?
KDDIは2019年4月から「au PAY」サービスを開始すると発表しており、フリマアプリのメルカリも「merpay(メルペイ)」を開始することを告知しています。また、ファミリーマートが「ファミペイ」、セブンイレブンが「7Pay」を2019年夏から開始予定とのニュースもありました。今後さらに、各社が競って○○Payサービスを展開することでしょう。
日本銀行が実施した「生活意識に関するアンケート調査(2016 年 11 月~12 月)」では、日本において、モバイル決済を利用していると答えた人は、調査全体の 6%にとどまっています。
※「生活意識に関するアンケート調査」(第68回)|日本銀行
現在はもう少し増えているとは思いますが、周りを見回してもまだまだ利用者は少ないというのが実感です。
その理由として、QRコードさえあればいいお店側に比べて、利用者はそれほど利便性を感じないこと、また、安全面で不安があることがあげられるのではないかと思います。
たとえば、電子マネーは、利用を告げて端末にかざすだけで決済が終了しますが、QRコード決済の場合、スマホで決済アプリを起動し、提示してあるQRコードを読み取って、自分で金額を入力して決済する方法(商品ごとに金額が設定してあるQRコードの場合は金額を入力する必要なし)、あるいは、スマホでアプリを起動しバーコードやQRコードを表示して、お店の人に読み取ってもらって決済する方法があります。いずれも、アプリの起動と支払い方法を選ぶなどの手間が発生し、店ごとに取り扱いが違うこともあって、電子マネーほどスピーディーにはいきません。
こうした利便性も一つの問題ではありますが、モバイル決済が普及するためには、もっと大きな利点が必要となってくるのはないかと思います。それは我々消費者側ではなく、生産者やインフラ側での利点かもしれません。
しばらくは新たな○○Payがたくさん誕生することと思います。その際に、お得なキャンペーンやポイント還元など、ユーザーを呼び込むための試みが行われるでしょう。どれを選ぶか選ばないかはあなた次第です。今後も○○Payに注目です!
(※本ページに記載されている情報は2019年1月21日時点のものです)