資産運用でFXを始めたものの、年間の損益はマイナスになってしまった!利益が出ていないから確定申告は必要ないと思っている人は要注意!確定申告には、儲けた利益を申告して納税額を決定する側面と、損失が出た場合損失金額を申告して、次年度の利益から差し引ける側面もあります!FXで損をした場合も次年度を見越して確定申告をしておきましょう!
FXで損をした!
このまま泣き寝入りするしかないの?
2019年1月17日
儲かった人だけじゃない!FXで損をした場合も確定申告をしよう!
確定申告は1月1日から12月31日までの1年間に得た所得から所得税を計算し、税務署へ申告する制度です。毎年2月16日から3月15日に申告することになっています。
所得税を納める確定申告ですが、医療費控除や住宅ローン控除で納めすぎた税金が返ってくる還付申告としてもお馴染みですよね。この還付申告は確定申告時期とは関係なく、5年間分であればさかのぼっていつでも申告することができます。
そんな確定申告には他にもさまざまなルールがあり、FXで損をしてしまった場合にも申告することで少しおトクになるかもしれないルールがあります!「かもしれない」という表現にしたのは後ほど説明しますが、準備をしておくことで次年度以降、おトクになる可能性があるからです。
損益通算が使える
損益通算とは、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得において、一定の順序に従い他の所得金額から控除することができる制度です。
FXは雑所得に分類されるため上記、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得には該当しないのですが、FX取引と同じ「申告分離課税の先物取引に係る雑所得等」であれば損益通算ができます。
「申告分離課税の先物取引に係る雑所得等」は、CFD、バイナリーオプション、商品先物、日経225先物、TOPIX先物などのデリバティブ取引が該当します。なお、複数のFX業者を利用していて1つに利益があり、1つが損失である場合も該当します。
しかしこの損益通算は、「申告分離課税の先物取引に係る雑所得等」に該当する所得にだけ適用できるため、給与所得や事業所得などとは損益通算をすることができません。
では、確定申告をする必要はないのでは?と思うかもしれませんが、次の繰越控除に影響するため、やはり確定申告は必要です!
繰越控除が適用される
FXは「申告分離課税の先物取引に係る雑所得等」に該当する取引同士だけが損益通算の対象になることを上記で説明いたしました。けれど、その年には損益通算ができる取引がなく確定申告をしても減税にはなりませんが、この繰越控除で来年以降に節税ができるかもしれないのです!
繰越控除とは、FXを含む「申告分離課税の先物取引に係る雑所得等」でマイナスが発生した場合、その損失額を翌年以降3年間にわたり繰り越すことができる制度です。
今年度は損失の確定申告をしておき、翌年以降は「申告分離課税の先物取引に係る雑所得等」に該当する取引で利益を得た場合、得た利益と今回の損失を差し引くことができます。
損益通算をしなかった!忘れていた損失があった場合
FXで損失が出た場合は、損益通算や繰越控除で確定申告ができることがわかりました。上記の説明では、今年度は損をした!ということを前提で紹介致しました。
しかし、場合によっては「そういえば前年度に損をしたFX取引があった!」という人もいるかもしれません。このような場合、さかのぼって申告をすることは可能なのでしょうか?ここでもさまざまルールによって申告できるかどうかが異なります。
確定申告が不要な人の場合
代表的なサラリーマンのように、確定申告の義務が原則必要ない人であれば、損失がある取引をさかのぼって確定申告をすることができます。さかのぼることができる期間は5年間です。この該当する期間の源泉徴収票や年間損益報告書など必要書類を準備し、税務署へ申告をしましょう。
確定申告をしている人の場合
損失以外の確定申告をすでに済ましている人の場合は、取引している投資口座が「源泉徴収あり」を選択している場合、その損失についてはさかのぼって申告することはできません。
「源泉徴収あり」以外の投資口座の場合は、更正の請求という手続きをすることによって損失の確定申告ができる場合があります。しかし、たとえば4年前に損失があり更正の請求をしようと考えても、2年前にすでに確定申告をして納税も済ませている場合、この更正の請求は難しくなる場合もあります。
不明な場合は税理士へ相談!
ひとくちに確定申告といっても、その収入や損失がいったいどのような取引(所得)から得られたものかによって、課税される税金のルールや控除される仕組みは異なります。
所得には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類があります。
投資で得られる所得もその種類によって、配当所得、不動産所得、譲渡所得、雑所得などに分類されます。分類された所得はその所得のルールごとに税金の算出方法は異なり、分離課税のように他の所得といっしょに計算ができない所得もあります。
だからこそ税の専門家がいる!
私たちFPはこのような制度があります!と減税や節税の方法などを一般の方々に広くお教えすることはできますが、法律で禁止されているため、実際に確定申告のお手伝いをすることはできません。
損失申告は損を申告することなので、恥ずかしい。と思い1人でやってしまおうと考えてしまう人もいるかもしれません。しかし実際の手続きには申告できるものや、できないものがあったり、所得税法が関係していたり、租税特別措置法が関係していたりとさまざまな税法が関係して複雑な側面もあります。
初回無料相談を取り入れている税理士事務所も多い
FXで損をしていて確定申告や更正の請求をしようと考えている人はぜひ、税理士さんへ相談することも検討してみてください。お金がかかるんじゃないか。と不安に思う人もいるかもしれませんが、多くの税理士事務所は初回相談無料の機会を設けています。
この機会を利用して、自分1人でもできそうな損失申告なのか、専門家の力を借りた方が早く終わったり、簡単に済ませることができたりするかを判断する機会にもなります。
インターネットや自力で得られる情報には限界があるため、万が一間違った方法で申告をしてしまえば、税務署で受け付けされないケースも考えられます。分からない場合は専門家に聞くことがいちばんの近道になります。