2018年1月に大きなニュースとなった仮想通貨の流出事件。あれから間もなく1年が経とうとしています。一時は億り人なんて言葉も出た仮想通ですが、近頃はあまりメディアで話題になることはなくなりました。
このまま仮想通貨は市場からなくなってしまうのでしょうか?また金融庁が仮想通貨の規制に乗り出したことで何が変わったのでしょうか?現在の仮想通貨事情をお伝えします!
あれからどうなった?仮想通貨の今
2018年12月19日


仮想通貨とは?
仮想通貨とはCrypto Currency(クリプトカレンシー)と英語圏では呼ばれ、これは日本語に訳すと「暗号通貨」という意味になります。日本では円、アメリカではドルと国ごとに定める通貨を法定通貨といいますが、仮想通貨はインターネット上で使える全世界共通の通貨ということになります。
全世界共通の通貨になりますので、法定通貨のようにそれぞれの国が価格を操作するようなことがなくなると言われています。例えば日本ですと日本銀行(日銀)が外国為替相場との安定を図るために為替介入を行います。仮想通貨にはこのような介入はありません。
介入がないということは管理者がいないということになります。仮想通貨にはこの管理者がいないことも大きな特徴となっており、仮想通貨にブロックチェーンという技術を組み込むことで通貨の信頼を担保できるようになりました。
仮想通貨の基礎知識がもっと知りたい人は「今話題の「仮想通貨」知ってるようで知らない基礎知識」もご覧ください!
2018年の事件って?
日本をはじめ世界でも仮想通貨ブームが起こったのは2017年です。それ以前より仮想通貨の持つブロックチェーン技術に可能性を感じ投資をする人はいましたが、この年は「仮想通貨は儲かる」という流れだけでブームが起き「何となく買ってみよう」という人が増え、仮想通貨の相場はどんどん上昇していきました。
ブームが最高潮に達していた2018年1月、ニュースでも大きな話題となったコインチェックの仮想通貨流出事件が起こります。
この事件を簡単に説明すると、コインチェックのサーバーにハッカーが不正アクセスをし、NEM(ネム)という仮想通貨が大量に流出しました。その結果5億2300万ネム(当時の日本円にしておよそ580億円)もの仮想通貨が盗まれてしまいました。
この流出事件をきっかけに日本だけでなく、世界各国で仮想通貨を手放す人が増え、相場は急落する事態となりました。また日本ではこの流出事件はコインチェック側のセキュリティの甘さから起こった事件であったため金融庁が仮想通貨業界に規制をかけることにもなりました。
金融庁の規制って?
仮想通貨の流出事件はコインチェックだけではなく、世界各国で起こっている問題です。また仮想通貨を利用した資金調達方法は、詐欺につながる懸念もあるため、こうした問題点から利用者を保護する目的で日本では金融庁が対策をとることになりました。
仮想通貨交換業者を登録制に
コインチェックの事件以前は、仮想通貨の取り扱いを金融庁に届け登録している業者はごく1部で、正式な登録に至っていないみなし業者がいくつもありました。
金融庁の調査によると、そうしたみなし業者の中には、管理体制がずさんで、取引が拡大しているにも関わらず内部管理体制が追いついていない業者もありました。また仮想通貨ごとのリスクを評価することなく販売していたり、マネーロンダリングなどの犯罪対策に必要な人員も不十分だったりしていました。
こうした内部管理体制は、利用者保護の観点から大きく外れることになるため、金融庁が中心となり規制を進める形となりました。
仮想通貨交換業者のシステム管理を徹底すること、また仮想通貨のブロックチェーン技術は匿名性が高いものあるためマネーロンダリングなど犯罪に利用されないように、懸念のある仮想通貨は取り扱いを禁止することなどを定めています。
仮想通貨の未来はどうなるの?
仮想通貨の未来に関して有識者の意見は、このまま衰退して価値がなくなるという意見と、ブロックチェーンの技術がますます注目されるという意見とに2極化しています。
ブロックチェーン技術に注目する業界は多い
筆者個人の意見としては後者のブロックチェーン技術がますます注目されるに期待を寄せています。インターネット技術の進歩で現金がなくても買い物ができる時代が今まさに実現しています。
仮想通貨は電子マネーやクレジットカードといった決済システムとは別物です。日本円で取引される電子マネーやクレジットカードと異なり、仮想通貨の単位で全世界共通の価値でやりとりできるブロックチェーン技術は、私以外にもさまざまな業界が注目しています。
現実にブロックチェーン技術を用いて決済が可能な仮想通貨も登場しています。仮想通貨に関するネガティブなニュースの大半はブロックチェーン技術の問題点ではなく、それを取り扱う業者であったり、悪用する人であったりします。
仮想通貨のブロックチェーン技術がもたらす未来
ブロックチェーン技術の開発が進み、社会に取り入れられるようになった場合どのような変化があるのか一例をご紹介します。
生命保険業界の例
従来の保険サービスは掛け捨て医療保険の場合、一定の掛け金を支払い、病気になったら保険金がもらえ、病気にならなかったらお金を受け取ることなく保障は終了。というギャンブルにも似た特性のある商品です。
この特性を利用した仮想通貨を用いると、利用者は自分が病気になると予想して掛け金を仮想通貨で払い続けます。予想が外れると掛け金は没収されます。予想が当たり病気になると配当金が支払われます。
仕組みは同じですが、従来の保険契約の場合はこの契約は保険会社や、そこで働く人を通じて行われますが、仮想通貨の場合は、ブロックチェーンにその契約が組み込まれているため、人を介さず商品を購入することになります。このブロックチェーン技術を用いて購入するメリットは、保険会社、顧客どちらも人件費が抑えられより安く商品を提供、購入できることがあげられます。
いかがでしたでしょうか?生命保険業界を例にあげましたが、このブロックチェーン技術はさまざまな業界の技術に応用することができます。仕事を奪われると不安視する声も聞かれますが、人手不足が深刻化する現代社会に大きな助けとなるのは事実です。
日本は2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博と世界中から人が集まるイベントが待っています。為替手数料が発生しない仮想通貨の決済方法はこうしたイベントでも注目されています。