2019年10月から消費税が10%に引き上げられます。8%から10%への引き上げは我々の生活にどのくらいの変化をもたらすのでしょうか? そこで、年収別にどのくらい負担増となるのかを示して、増税に対する向き合い方を考えてみたいと思います。
いよいよ消費税10%に!
年収が低い人ほど負担が増えるって本当?
2018年11月12日
消費税増税でどう変わる?
2019年10月から消費税が10%に引き上げられることが決まりました。但し、「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」に関しては軽減税率(8%)が適用されます。
現在、軽減税率の適用をめぐって、様々な議論が行われていますが、中でも、コンビニやスーパーなどでのイートイン(店内飲食)が問題となっています。持ち帰った場合は8%で、店内で飲食した場合は10%となるためです。
また、税率が変わることで、店側のオペレーションが煩雑になることも問題となるでしょう。
こうした諸々の問題を抱えながらのスタートとなりそうですが、やはり一番気になるところは“我々、消費者の生活にどのくらいの影響があるのか”ということでしょう。
そこで、具体的な数字を出して、検証してみようと思います。
8%→10%でどのくらい負担が増える?
次の表は、年収別の消費支出を元に、消費税8%と10%を比べたものです。
<年収別消費支出における消費税(1ヵ月間)>
※総務省「家計調査報告(家計収支編)2017年」をもとに試算しています。
※軽減税率適用支出は、食費から酒類と外食を除いた支出としています。
この結果を見ると、「なんだ!2、3千円くらいしか増えないのか」と思ってしまいそうですが、これは1ヵ月の試算です。年間で考えると年収200万円以下の人でも2万円ほど、年収が700万円超えの人では7万円以上増える計算です。
しかもこれは2%増えた分であり、現状の消費税8%の時点で、年間消費税を、年収200万円以下の人でも12万円ほど、年収が700万円超えの人では35万円ほど払っていることに少し驚かれるのではないでしょうか。
年収に占める消費税負担割合
単純に考えれば、年収が高い人ほど消費支出も多くなるので、消費税を多く払っていることになりますが、年収に占める割合としてはどうでしょうか。年間に支払う消費税を年収で割って、消費税の負担割合を出してみました。
<年収に占める消費税負担割合>
※総務省「家計調査報告(家計収支編)2017年」をもとに試算しています。
年収が低い人ほど、負担割合が高いことがわかります。消費税が10%となると、年収が700万円以上の人では4%ほどであるのに対して、年収200万円以下の人では9%近い割合となっています。
これは、年収が低い人ほど、収入に対して生活費の占める割合が高いため、実質的な税率が高くなってしまうわけです。こうした問題をクリアするためには、生活必需品は税率を低くして(軽減税率)、贅沢品の税率を上げるなどの方法があります。
実際、イギリスでは消費税率は20%ですが、嗜好品を除く食料品の税率は0%となっています。
世界から見た日本の消費税
そもそも日本の消費税10%は世界の国々の中では、高いのでしょうか、低いのでしょうか。
以下は国税庁のHPにある国別の税率を比較したグラフです。
<国別の消費税(付加価値税)標準税率>
出典:国税庁HP「税の国際比較」より
これを見ると、日本は消費税率が低い国だというのがわかります。10%に上がったとしてもまだまだ低い方でしょう。
ヨーロッパの国々は軒並み税率が20%近いことがわかります。しかし、これらの国は同時に軽減税率も導入している場合が多く、食料品の税率は、先述したようにイギリスでは0%、フランスは5.5%、ドイツは7%、オランダは6%、ベルギーは6%となっています。
高い税率の国ではこうした配慮があることが伺えます。
日本の場合は、標準税率(10%)と軽減税率(8%)の差が2%しかないので、所得の低い人への配慮となる“生活必需品の税率は低くする”という目的の効果はそれほどないのかもしれません。
消費税増税に備えてやるべきこと
かつて消費税が5%から8%になった時には、個人消費が落ち込み、景気の悪化が見られました。今回もこうした増税によるデメリットが懸念されています。そのため政府は増税時期に合わせて、「幼児教育無償化」を実施することで、子育て世帯の負担軽減を図ろうとしています。
これによって、子育て世帯は恩恵を受けられます。しかし、こうした恩恵が受けられるのは国民の一部であり、受けられないものにとっては、増税の影響を少なくするために、消費を控える行動を取ってしまいがちです。そうすると日本は再びデフレの方向に逆戻りしてしまうでしょう。モノが売れなければ、当然、会社の業績が悪くなり、給料の減少という形で跳ね返ってきます。
そのような事態にしないためには、“増税だからといって、行動を変えない”ことです。つまり、増税に備えてやるべきことは何もないというわけです。
ここまでは日本全体を考えての行動ですが、個人的には負担が増えることは明白なので、「そうは言っても‥」というところでしょう。
今までどおり節約意識を持ちつつ、収入アップの努力を続けていくことが豊かに生きるためには大切となるでしょう。