お金の問題に限らず、よくわからないことには不安を感じやすくなるもの。
よくわからない上に何となくの思い込みをしてしまい、やるべきなのにやらない、やらないほうがいいのにやってしまうといった行動を起こしてしまうリスクは誰にでもあります。
もっと前から知っていれば、あのときからやっていればと後悔しないためには、ふだんから視野を広げておくことが大切です。
お金に関する、ありがちな思い込みの例を3つご紹介します。
思い込みは怖い!
貯金できない人が知っておきたい3つのこと
2018年11月2日
年金は破綻するだろうという思い込み
貯蓄が少ない人こそ年金受給が大切
現役時代の収入が多く、たっぷりの退職金と公的年金が期待できそうな人であればともかく、一般的なケースでは老後のための貯蓄が必要です。終身でもらえる公的年金は、貯蓄が少ない人の老後の大切な収入源となります。
少子高齢化を理由に年金制度は破綻するだろうと思い込んでいる人がいるかもしれませんが、公的年金制度の財源は保険料だけではありません。国庫負担の税金や年金積立金もあり、しっかり運営されているのです。
学生時代に年金保険料納付が猶予される学生納付特例制度を利用していた人は、10年以内であれば追納できます。将来の公的年金受給額を上げるために期限内に追納しておきましょう。保険料は追納分も含めて社会保険料控除の対象になっており、節税対策にもなります。
もしものときの備えにもなるから
会社員であれば自動的に天引きされる公的年金保険料ですが、個人事業主などをしていて国民年金を未納にしている人がいます。貯金できない人にとって、国民年金受給の満額である779,300円は侮れない金額です。65歳から30年間もらうと考えると総額で23,379,000円にもなります。
また、公的年金制度は、もしものときのリスクの備えにもなっています。障害基礎年金と遺族基礎年金の給付です。病気やけがで障害を負ってしまうリスクは誰にでもあり、障害基礎年金をもらえるか否かで金銭的な安心感が大分変わります。著者の周囲にも若くして病気になり、障害基礎年金を受給するようになった人がいます。他人事と思わないようにしましょう。
【障害基礎年金額】
1級:974,125円+子の加算
2級:779,300円+子の加算
※子とは18歳到達年度の末日を経過していない子、20歳未満で障害等級1級、2級の障害者のこと、第2子までは224,300円、第3子以降は74,800円が加算される
出典:日本年金機構(http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html)
生命保険をしっかりかけておけばいいという思い込み
公的な支えが力強い味方になる
貯金ができていないのに高い生命保険料を払い続けているという人には、保険の見直しがおすすめです。もしものときに備えておきたいという気持ちは大事ですが、人生におけるリスクは病気だけではありませんね。
万が一病気になって治療費が多くかかったとしても、公的制度である高額医療費制度と傷病手当金の助けがあります。
高額療養費制度では下記のように自己負担の年収別上限額が定められ、超えた分を高額療養費として還付してもらえます。収入が少ない人ほど負担が軽くなる仕組みです。
【年収目安:自己負担上限額(一月あたり)】
約1,160万円~:252,600円+(医療費-842,000円)×1%
約770~1,160万円:167,400円+(医療費-558,000円)×1%
約370~770万円:80,100円+(医療費-267,000円)×1%
~年収約370万円:57,600円
住民税非課税者:35,400円
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000333276.pdf)
過剰な保険料を削って貯蓄に回そう
最終的にはそれぞれの人の判断となりますが、公的制度を背景に貯蓄がある程度あれば医療保険に入らなくてもいいという意見もあります。がんのリスクも考えるとリーズナブルな医療保険に入って高額な先進医療(保険適用外)にも備えておきたいところですが、必要な保障に絞り保険料節約分を貯蓄に回しましょう。
また、死亡保障は残された家族の生活費が必要な場合のみと考えると死亡保障分の保険料も節約できますね。
たとえば保険料を1万円/月、削ると30年で360万円にもなります。この分を資産運用に回したとして毎月1万円を積み立てた場合、利率2%の場合で約492万円、利率3%の場合では約580万円にもなるのです(※)。
※手数料や税金は含めていない簡易な計算による
時間をかけてでも節約を優先しなければという思い込み
冷凍食品も使いよう
貯金ができず時間もなく忙しい人の中に、加工食品である冷凍食品は高くつくからと利用に消極的な人がいます。しかし、急を要して会社帰りに外食してしまうケースに比べれば家で温めるだけの冷凍食品利用のほうが節約に効果的です。
多くの人が気楽に利用するファミレスや喫茶店、居酒屋でも冷凍品を使用しているケースは少なくなく、冷凍品の急速冷凍などの技術向上は以前に比べるとかなりのもの。うまみ成分を大きく損なうことなく、できたての味を楽しめるようになっています。
ただし、冷凍食品のランキング上位に入る商品であっても、おいしさの感じ方は人それぞれ。仕事が忙しい時期などに試しに購入し、気に入った商品をリピートするとよいでしょう。
時短にもなるというメリット
冷凍食品は割引セールが定期的に行われるケースが多いため、そのタイミングを狙って常備しておきましょう。炭水化物が多めの商品を利用するときは、冷凍枝豆やインスタントの野菜スープを添えるなどの工夫がおすすめです。
忙しい毎日を過ごしながら健康を維持するためには、食事を軽視しないようにしたいもの。食事方法の選択肢を増やしておけば心の余裕につながり、食事を抜いて体調不良を起こすような事態も避けられます。
忙しいときは、冷凍食品やフリーズドライ商品を利用して無理のない節約生活を実現しましょう。手間を抜けるところは抜き、資格の勉強をするなどの時間を捻出して収入アップの備えも大事にしておくと、人生トータルで見たときに大きなプラスとなるのではないでしょうか。
思い込みは誰にでも起こり得ます。しかし、思い込みからの解放が早ければ早いほど自分の望む生き方に近づけることも事実。自分にとってベストな道を選びやすくなるように、日頃から考え方を柔軟にしておきたいものですね。