毎月、給料日には洋服を2~3枚買うAさん。話を聞いてみると、実はAさんの母親もそうなのだとか。血は争えないと言いますが、これってお金のクセが遺伝しているということでしょうか?だとしたら、後々の世代についても心配になりますね。
お金のクセは遺伝する?!
次世代のために気をつけたいこと
2018年10月20日
2世代続くムダ遣い親子の買い物を覗き見!
まずはAさん家庭の消費生活をみてみましょう。Aさん(42歳)一家は妻、子(7歳)、Aさんの母(67歳)の4人暮らし。市営住宅に住んでいます。
収入は会社員であるAさんの給料と母親の年金で、専業主婦の奥さんには収入はありません。Aさんは毎月給料の1/3を母親に渡し、一家の生活費は母親が管理。買い物は母親がAさんから受け取ったお金と自分の年金から支払いしています。
つまり、Aさんには給料の2/3ほど自分の自由になるお金があります。収入もなく生活費も渡されていない奥さんには、子どものことなどで必要が生じると、その都度必要な分だけのお金を渡している模様。それでも自分の自由の利く金額の1/4にもなりません。実家を出て親子3人で暮らす気のないAさんは貯金をするどころか、節約という意識は全くなく、毎月自分と奥さん、子どもの洋服や靴を買うのが楽しみです。いくら成長期の子どもがいるとはいえ、毎月毎月新しい洋服を買わなくてはならないほど成長もしなければ、着古してしまうこともありません。だから洋服は溜まる一方。クローゼットのなかも洋服でギュウギュウです。
実はクローゼットがいっぱいなのはAさん親子のものだけではありません。Aさん宅には毎月小さな荷物が届きます。実はお母さんはネットショッピング中毒者。高価な物は決して買わないお母さんですが、フリマサイトなどで安いアクセサリーなどを買うのが大好き。写真をみて、いいなと思った物はすぐに買ってしまうよう。しかし現物が届いてイメージしていた物と異なれば、義娘や離れて暮らす娘たちにプレゼントするようです。
お金のクセは遺伝する?3世代目への影響は?
2世帯同居で住居費があまりかからず、食事も特に贅沢しないため、生活費に困ることはない様子。しかし、必要のない物を買って喜ぶお金の使い方に疑問を感じてやまない奥さん。母子の買物ぶりに、今度は自分の子どものことが気になります。果たしてAさん母子のお金のクセは遺伝なのでしょうか?
The University of Chicago Pressが出版している「Journal of Political Economy」という本の中で発表された2015年の研究「The Origins of Savings Behavior」(貯蓄行動の起源)では、個人の貯蓄性向の約1/3は遺伝に由来するという研究発表がなされています。
お金に関する意識は遺伝よりも環境
遺伝だとしたら3代目への影響が心配になりますが、3代目もそうなるとは限りません。
たとえばガンや糖尿病に代表される生活習慣病は家系的な要因があるといわれます。だからこそ、家族にこれらの病気の人がいれば生活習慣に気をつけることで病気を予防する対策をとることが推奨されています。
お金の使い方も同じことが言えるのではないかと考えます。親のお金の使い方をみて子どもは育っていきます。たとえば、一緒に買い物に行って、普通のチョコレートよりも少し高めのオモチャ付きのチョコレートが欲しいといえば、ためらいなく買ってくれる。あるいは親子で水族館に行き、出口前にあるショップではいつも何か買う。でも買ったものは家のどこかに仕舞ったまま……なんて様子を見ているうちに、「欲しいから買う」「買うのが当たり前」「他のものと比較しない」お金の使い方を身につけてしまいます。
「ムダな物は買わない」「節約を心がける」「貯金に励む」などの良いお金意識を自分の子供・孫へと引き継ぐためには、親自身が家計管理などの自分のお金意識と行動を正すことが大切です。自分自身が貯蓄体質になるために「なぜ貯まらない?! 貯金したい人がやるべきコトとやめるべきコト」の記事も参考にしてみてください。