老後資金も気になるけれども、毎月の家計のやりくりだけでも大変で、それどころじゃない……そんな40代でも貯金する方法はあります。できるだけ家計のムダを省いて、毎月少しでも積み立てていくのが貯金の王道。ここでは、老後資金の計算方法と、家計の苦しい40代に向いた貯金の方法をご紹介していきます。
決定版!家計が苦しくても貯められる!40代のための貯金方法
2022年2月28日
年金が減る!!
令和4年1月21日、厚生労働省から令和4年度の年金の支給額が発表されました。
令和4年4月から年金の支給額が0.4%下がります。
国民年金(老齢基礎年金の満額:1人分)が令和3年度は月額65,075円だったのが令和4年度は259円減って月額64,816円に。
厚生年金(老齢基礎年金を含む夫婦2人分の標準的な年金額)は、220,496円から903円減って219,593円になります。
60歳でいったん定年になって、65歳まで再任用で雇用するけれども給与を下げる制度を持つ会社も多く、最近では「45歳定年制」も話題になっています。
「老後の生活をどうしよう」と、不安になる40代の方が多いと思いますが、40代のみなさんが定年退職する60代になるまではこのさき20年近くかけて資産形成が可能だということ。まだ時間があります。
落ち着いて老後資金を貯める方法を考えましょう。
ポイントは3つあります。
1.定年退職後に必要な資金がいくらか計算する
2.コツコツと節約しながらお金を貯める
3.貯めたお金を運用して増やしていく
順番にみていきましょう。
1.定年退職後に必要な資金がいくらか計算する
定年退職後の年間生活費を計算する
まず、定年退職後に必要な生活費をおおまかに計算してみましょう。
計算式は
定年退職後の年間生活費=現在の毎月の基本生活費×0.7(※1)×12ヵ月+年単位支出
子どもが独立した後は、現在かかっている生活費の70%で計算します。
「年単位支出」とは、ボーナス払いのローンや固定資産税、車検など、年に1度ある臨時出費のことです。
年金だけでは足りない金額を計算する
定年退職後、年金収入だけでは不足する生活費を計算します。
計算式は
年間生活費不足額=定年退職後の年間生活費-年金額×0.9(※2)
年金額は、簡単に自分の年金額が計算できる「ねんきんネット」で、年金見込み額を計算してみましょう。
年金収入から、所得税や社会保険料を差し引いた手取り収入を、簡単に計算するために、年金収入に0.9をかけます。
さらに、定年退職までに準備しなければいけないお金の総額を考えます。
計算式は
定年退職までに準備すべき資金の総額=年間生活費不足額×退職後から平均寿命までの年数+医療・介護費900万円(※3)+イベント資金(リフォーム・旅行・葬式代など)
2021年に発表された厚生労働省「簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は女性87.74歳、男性81.64歳。早期退職するかしないかによって、定年以降の平均寿命までの年数が変わります。現在のご自身の年齢から逆算してお考えください。
老後のためにいくら準備すべきか、目安がわかったら、次はそれをどうやって貯めるかを考えましょう。
2.コツコツと節約しながらお金を貯める
目標額の目安がわかったら、月々に貯めていくお金を調べましょう。
月々貯めなければいけない金額=不足額÷定年までの年数÷12ヵ月
目標額が決まったら、食費・光熱費・通信費の節約、保険の見直しなどで、できるだけ節約してお金を貯めます。
40代からリスクが高まる生活習慣病に備えて、医療保険は加入しておくとよいでしょう。ある程度、介護費と医療費をカバーすることも可能です。
給料からの天引き貯金で、お金を「先取り」して積み立てていくことをおすすめします。
3.貯めたお金を上手に運用して増やしていく
お金をコツコツ貯めながら、増やしていく基本は積立貯金です。通常の積立貯金に加え、税制優遇のある制度を活用して資産運用もしましょう。
ここでは、少額でスタートできて、税制優遇のある制度をご紹介します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
月に5,000円から投資できるiDeCoは、2022年4月から、今より5年長く続けることができる制度になります。掛金が全額所得控除。利息と運用益が非課税。受け取り時は1,500万円まで非課税です。
NISA
月に1,000円から投資できるNISAは5年間、運用益が非課税。年間120万円が上限です。
つみたてNISA
月に1,000円から投資できて、年間40万円まで積み立てが可能。運用益の全額が非課税になります。非課税期間は最長20年。
個人年金保険
個人年金保険料控除の上限額は年額4万円。自動引き落としを設定すると、意識して貯蓄するのが苦手な方でも積み立てることができます。
老後資金のための資産運用は、リスクが低く、長く続けて運用益を出せるタイプの金融商品を選ぶことが大切です。
投資初心者に向いているのは、個人国債等の債券や、インデックスファンドと呼ばれる値動きの比較的緩やかな投資信託で、証券会社や銀行が扱っています。
今から老後に備えるお金を準備しましょう
いかがでしたでしょうか。
計算してみて「無理!」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、身体が健康なら、65歳以降にも、年金を受け取りながら働くこともできます。
健康管理をしながら、あせらずにコツコツとお金を貯めていくことをおすすめします。
(この記事は2022年1月23日の情報をもとに書かれています)
※1 総務省2020年度「家計調査」より「二人以上の勤労者世帯の消費支出(生活費)」の平均額が305,811円。65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出が224,390円
224,390÷305,811=0.733≒70%
※2 総務省統計局2020年「家計調査年報(家計収支編)」より、65歳以上・夫婦のみの無職世帯の年金などの平均的な社会保障給付が219,976円。税金や社会保険料が31,160円。
219,976円-31,160円=188,816円(手取り収入)
188,816円÷219,976円=0.858
65歳以上・単身無職世帯の年金などの社会保障給付が121,942円。税金や社会保険などが11,541円。
121,942円-11,541円=110,401円(手取り収入)
110,401円÷121,942円=0.905
独り暮らしの高齢者が増加しているので、年金額に0.9をかけて手取り収入を概算します。
※3 「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、リフォームや介護ベッドなどで一時的にかかった介護費が平均74万円。1ヵ月当たり平均で8.3万円。 介護期間は平均61.1ヵ月(5年1ヵ月)。
月額8.3万円×61.5ヵ月+一時的介護費74万円=581万1,300円
介護費はおよそ600万円です。
総務省2020年度「家計調査」より、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の保険医療費は月額16,057円。65歳以上の単身無職世帯が月額8,246円。1人あたり保健医療費を月額約8,000円とします。
8,000円×12ヵ月=年額96,000円
平均寿命は女性87.74歳、男性81.64歳なので、おおよそ90歳まで生きるとすると、60歳で退職して亡くなるまでに必要な医療費の自己負担額は
96,000円×30年=2,880,000円≒300万円
介護費600万円+医療費300万円=900万円
参照
総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2020np/gaikyo/pdf/gk02.pdf
家計調査報告家計収支編 2020年(令和2年)平均結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2020.pdf
厚生労働省:令和4年1月21日発表 プレスリリース
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000725140.pdf
2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査 169P-174P
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/p133-179.pdf
ねんきんネット
https://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html
厚生労働省「令和2年簡易生命表:主な年齢の平均余命」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life20/dl/life18-02.pdf