新型コロナウイルスに関して一番心配されることは、自分や大事な人の命と健康です。そして、生活のために必要なお金の不安の声も多く聞かれています。会社へ行けなくなったときの給与のことが不安ですよね。
今まで気にする機会のなかった人でも、休業手当が、どんなときにもらえるお金なのか気になっていることでしょう。
休業手当の基本知識について簡単にご紹介します。
新型コロナウイルスで気になる!
休業手当は給与の60%以上?
2020年5月6日
会社を休むときの給与問題
新型コロナウイルスの心配がないときでも、インフルエンザやほかの病気・ケガで会社を休むことはありますよね。
月給制の会社に勤めている場合、固定で月の給料(基本給)が支払われているため欠勤しても給料は減らされません。有給が残っていれば、有給を使うこともできます。欠勤の扱いにするか有給の扱いにするかのどちらかとなるでしょう。
日給月給制の会社に勤めている場合、欠勤をすると給料減額となります。有給を使って給料の減額を防ぐか減額にするかのどちらかとなるでしょう。
なお、病気やケガでの休みが4日以上続く場合には傷病手当金が給付されます。傷病手当金については、後ほど改めてご説明します。
新型コロナウイルスの問題で会社を休むときの給与問題
次に、新型コロナウイルスにかかわる問題のある時期に会社を休むとき、給料がどうなるのかについて見ていきましょう。先ほどの病気・ケガなどと同じようなケースもあれば、そうでないケースもあり得ますよね。
【発熱や咳などの体調不良が起きたとき】
→通常の病気による休みのときと同じ対応
→「療養で労務に服することができない」という医師の意見書があれば健康保険の傷病手当金をもらえる(4日目から)
【新型コロナウイルスに感染したとき、自覚症状がないが新型コロナウイルス検査で陽性が出たとき】
→通常の病気による休みのときと同じ対応
→健康保険の傷病手当金をもらえる(4日目から)
【新型コロナウイルス感染の疑いのある症状が出たが、受診前に回復したとき】
→通常の病気による休みのときと同じ対応
→医師の意見書がなくても健康保険の傷病手当金をもらえる可能性がある(4日目から)
【会社から新型コロナウイルス対応のために休んでほしいといわれたとき】
→会社の都合による休業のため休業手当をもらえる可能性がある
なお、新型コロナウイルスの「帰国者・接触者相談センター」への相談・受診の目安は
・37.5℃以上の発熱が4日以上(高齢者や基礎疾患のある人は2日以上)続いている
・強い倦怠感や息苦しさがある
とされています。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html)
休業手当とは?
労働基準法で定められている手当
新型コロナウイルスに感染したとき、感染の疑いのあるときについては通常の病気による休みなどと同じような扱いということがわかりました。次に、感染していない、感染の疑いもないのに会社に指示されて休むことになった場合にもらえる休業手当について見ていきましょう。
休業手当とは、「使用者の責に帰すべき事由による休業」のときに支払われる手当です。労働基準法で義務と定められている手当であり、会社都合で労働者が休業させられた場合に賃金の60%以上を支払ってもらえます。
出典:厚生労働省(https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/20404/2040406.html)
ただし、会社が休業手当を出す立場であることから、支払ってもらえないというケースもないわけではありません。その場合、労働基準監督署への相談といった対応が必要になるかもしれません。
雇用調整助成金について
会社側から「新型コロナウイルスの影響で仕事が減ったので休んでください」といわれたときは、休業手当をもらえる可能性が高いです。しかし、経営状況が厳しくなっている会社の場合、休業手当の支払いが難しくなりますよね。
そのため、国は雇用調整助成金の助成率を拡大するという形で事業者が従業員に休業手当を支払いやすくなるように支援しています。
雇用調整助成金とは、事業の縮小などで従業員の雇用維持が難しくなった事業者に対して助成金を出してくれるという制度のことです。新型コロナに関係なく、これまでもあった制度ですが、新型コロナ対応のために要件を緩和したり助成率を引き上げたりしているため、対象が拡大しています(緊急対応期間:4/1~6/30)。緊急対応期間においては、正社員だけでなく雇用保険未加入のパート・アルバイトなども対象となります。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html)
なお、派遣労働者も、労働基準法上、派遣元から休業手当がもらえる立場となっています。
傷病手当金はどれくらい給付される?
新型コロナウイルスの症状が出たときなどに給付してもらえる傷病手当金。気になる傷病手当の金額ですが、報酬のおよそ2/3と定められています。自覚症状のない軽度の感染といわれる状態でも「療養のため労務に服することができない」ことから給付対象となるため心強いですね。
傷病手当金は、休み始めた4日目から支給されます。検査の結果、新型コロナウイルス陰性であっても対象です。傷病手当金は業務災害以外による病気やケガのために支払われる手当のため、家族が感染して濃厚接触者だからと会社を休んだ場合には支給されません。そのような場合に休業手当の対象になるのかなど、休む間の給与の扱いについて会社に聞いてみましょう。
※本ページに記載されている情報は2020年4月9日時点のものです。政府の新型コロナウイルス対策の変更により扱いが変わる場合もあります。