この春、転職して新たな仕事を始めたのはいいけれど、残念ながらしっくりいかず、すぐに退職するという人は少なくありません。
退職時に気になるのが雇用保険の失業給付ですが、実は雇用保険は通算できる場合があることを知っていましたか?短期間で退職したからもらえない…と諦めていた人も、失業給付がもらえるかもしれません。
新しい仕事が合わない!
そんな人に知ってて欲しい、
雇用保険の通算制度
2017年4月13日
知ってるようで分かってないかも?!失業給付をチェック
雇用保険に加入していた人が失業した場合にもらえるとされている「基本手当(いわゆる失業給付)」。受給するためにはいくつかの要件を満たすことが必要だということは知っている人も多いでしょう。失業の状態にあって、ハローワークで求職の申し込みを行っていることが大前提ですが、雇用保険に加入していた期間も満たさなければなりません。
雇用保険への加入期間はどれだけ必要?
結婚、起業、親の介護など、退職にもさまざまな理由がありますが、自ら退職する場合と、倒産・解雇など会社の都合で退職する場合とでは必要とされる雇用保険の加入期間は異なります。
自己の都合で退職する場合、離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上なければなりません。
一方、会社都合の場合では、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上と条件が緩和されています。
どれだけもらえる?
失業給付をもらえる日数は、年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び退職理由などによって、90日~360日と幅広く異なります。
たとえば、自己都合で退職した場合、雇用保険の被保険者期間が1年以上10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日という具合。10年を境に失業給付をもらえる日数が30日分変わることになりますが、この境目で退職となる人は1日多いか少ないかで失業給付が変わってしまうことは知っておきたいですね。
転職したけど早々退職…お給料も失業保険ももらえない?!
そもそも失業給付は就職する意思および能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない「失業の状態」にある人に対して支給されるもの。だから、退職してもすでに転職先が決まっている、起業する…なんて人は失業状態にあるとはいえず、失業給付はもらえません。
しかしながら、予定していた通りに進まないことは間々あるもの。転職先の空気が合わなかったり、転職後まもなく親の介護で辞めざるを得なくなったりと、短期間で退職し、結局は失業状態に陥ってしまうことだってあるんです。
転職したから前職での失業保険をもらえず、転職先を退職することで収入がなくなる、さらにその後の失業給付がもらえない…なんて泣くに泣けないトリプルパンチはできれば避けたいところです。
知っておきたい、雇用保険の通算制度
失業給付の受給条件のうち自己都合退職の場合、雇用保険の被保険者期間が12か月以上必要でしたね。でもこれって実は、その職場だけで12ヶ月以上の加入期間が必要という訳ではないんです。再度よく確認してみましょう。
「『離職の日以前2年間に』雇用保険の被保険者期間が『通算して』12か月以上」とされているんです。
そう、雇用保険は前職と現職を通算できるんです。
転職後の加入期間だけでは12ヶ月に満たなくても、前職と通算することで加入期間が12ヶ月を超えると失業給付受給の権利が発生します。収入面でのトリプルパンチも避けられるかもしれません。
雇用保険を通算するための条件は?
そうはいっても、通算するためにはやっぱり条件もあります。
1)前職の退職時にハローワークで求職の申込みをしていないこと(失業給付をもらっていないこと)
2)前職の退職日から再就職の日までの空白期間が1年以内であること。
前職の退職で失業給付を受給したことがあったり、前職と再就職の空白期間が1年以上になると、それまでの被保険者期間はゼロになってしまうことに注意してください。
忘れずにもらっておきたい離職票
実はもうひとつ忘れてはいけないことがあるんです。
前職の雇用保険を通算するためには、前職での離職票をハローワークに提出しなければなりません。
そもそも離職票とは、従業員が退職するときに会社から交付される書類のひとつですが、雇用保険の失業給付を申請するために必要となる書類でもあります。
会社にとっては、離職つまり雇用保険の資格を喪失する手続きは必要なことですが、その手続き自体が離職票に替わるものではありません。
すぐに転職するから失業保険をもらわないし…と考えず、退職時にはきちんと離職票をもらい、きちんと保管しておくようにしてください。
雇用保険の通算制度を知っていれば、転職先を予期せず退職して「こんなはずじゃなかった」という経済的ピンチを免れることができるかもしれません。さらに言えば、転職先で12ヶ月以上の加入期間がある場合でも、前職の被保険者期間を通算することで、より多くの失業給付がもらえるようになるかもしれませんよ。
できれば、嬉しい「こんなはずじゃなかった」にしたいものですね。