毎月のお給料から、税金や健康保険料が徴収されていることはご存じですよね。40歳になると【介護保険制度】の被保険者となり、新たに介護保険料の徴収もスタートします。【介護保険制度】は祖父母や父母のためのもの、と思っていた人も、ちょっと認識を新たにせざるを得ないのではないでしょうか。今こそ【介護保険制度】のこと、確認しておきませんか。
40歳から徴収スタート!
今こそ【介護保険制度】を確認しておこう!
2022年4月15日
【介護保険制度】が生まれた背景
我が国の急速に進む高齢化により、介護が必要な高齢者の増加や介護期間の長期化で、介護ニーズが年々増加しました。
一方で、核家族化が進み、介護が必要な高齢者を、家族だけで介護できる状況ではなくなったこと、介護する家族の高齢化も問題でした。
そこで、介護が必要な高齢者を社会全体で支え合おうと、2000年に【介護保険制度】は施行されました。
【介護保険制度】の基本的な考え方は、
・自立支援
介護を必要とする人のお世話が目的ではなく、自立を支援すること
・利用者本位
介護を必要とする人の選択が優先され、多様なサービスを選べること
・社会保険方式
保険料を払う人(負担者)、サービスが必要な人(給付者)の関係が明確な
社会保険方式を採用すること
厚生労働省が、施行当時(2000年4月)と20年後(2020年4月)を比較した資料では、
65歳以上の人数 2,165万人 → 3,558万人(約1.6倍)
要介護(要支援)認定者の人数 218万人 → 669万人(約3.1倍)
サービス利用者の人数 149万人 → 494万人(約3.3倍)
高齢者の増加はもちろん、それ以上に、認定者や利用者の増加が顕著です。
家族の形態が、2~3世代同居より、独身や夫婦のみの世帯が増え続けているのも、利用者増加の要因になっているようです。
【介護保険制度】とは
【介護保険制度】は、介護が必要な本人とその家族の負担を、社会全体で支え合おうとする制度です。
しくみ
「加入者」「保険者」「サービス事業者」で成り立ちます。
「加入者」は、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)に分かれており、「保険者」に保険料を払い、「サービス事業者」には利用した際の費用を払います。
「保険者」とは市区町村のことで、「加入者」から保険料を徴収し、要支援や要介護の認定を行います。「サービス事業者」にはサービス費用を払います。
「サービス事業者」とは都道府県や市区町村から認定を受けた民間企業・社会福祉法人・医療法人・NPO団体などのことで、「加入者」へサービスを提供し、「加入者」や「保険者」から費用を徴収します。
このしくみのおかげで、私たちがサービスを利用する際、費用全体の1~3割が自己負担、残りの7~9割は市区町村が工面してくれます。
【介護保険制度】の財源は、私たち加入者が払う保険料だけではなく、税金50%、保険料50%で構成されています。
サービスについて
要支援や要介護の認定を受けた人が利用できます。認定後、ケアマネジャーとケアプランを作成し、サービスが始まります。
サービスには、
・在宅サービス 介護専門スタッフが利用者の自宅に訪問する
・通所サービス 利用者がデイサービスセンターに通う
・施設サービス 利用者が特別養護老人ホームなどに入所する
があり、そこでケアプランに応じた病状チェックやリハビリ、食事や入浴介助などのサービスを利用できます。
【介護保険制度】Q&A
Q1 保険料ってどうやって払うの?
A1 第1号被保険者(65歳以上)は、
①年金天引き 年金の年額が18万円以上の人は、年金が振り込まれる時
(年6回・偶数月)に、天引きされます(ただし、老齢福祉年金や恩給は対象外です)。
②直接納付 ①以外の人は、金融機関などで直接払うか、口座振替などで払います。
第2号被保険者(40~64歳)は、加入している健康保険料と一緒に払います。会社員などは給与からの天引き、自営業者などは国民健康保険料と一緒に払います。
Q2 保険料を払わないと罰則はあるの?
A2 あります。
1年以上滞納すると、サービスが全額自己負担になったり、2年以上滞納すると、サービスの停止や、口座や財産を差し押さえられる可能性もあります。
しかし、倒産や失業、災害による損害などで、一時的に払うことが困難な場合は、市区町村の担当窓口に相談し、手続きをすれば、保険料の減額や免除も可能です。
Q3 65歳未満でもサービスは利用できるの?
A3 できます。
40~64歳の人で、加齢と関係のある16種類の特定疾病が原因で、介護や支援が必要な場合、サービスを利用することができます。
例)がん、関節リウマチ、若年性認知症、パーキンソン病関連疾患など。
Q4 祖父母や父母のために、今私たちができることは?
A4 40歳未満はまだ【介護保険制度】の加入者でもありません。40歳以上が加入者ですが、サービスを利用する人はまだ少ない世代です。
しかし、私たちの祖父母や父母は、すでに介護サービスを利用したり、そろそろサービスが必要になる世代です。
祖父母や父母のために、私たち世代ができることは、
・保険料をきちんと払うこと
・【介護保険制度】を知り、制度改正などの情報に敏感でいること
・祖父母や父母が分からない時や困っている時、話を聞いて寄り添ってあげること
・祖父母や父母が動けない時やひとりでは不安な時、一緒に窓口に行ったり、
一緒に手続きをしてあげること など
私たちがこれらをしてあげることで、祖父母や父母も安心ですし、数十年後、私たち自身が介護サービスの利用者になった時にも、この体験が必ず役に立つはずです。
(※本ページに記載されている情報は2022年3月21日時点のものです)