私事ですが、最近、身近な人たちが生命保険のお世話になる出来事が相次いでいます。なかには家族が保険契約の存在を把握しておらず、不測の事態に慌ててしまったケースも。そこで皆さんに知っておいて欲しいのが「生命保険契約照会制度」です。コロナ禍で離れて住む家族に会えない人も多いこの時期、家族のもしもの時にも慌てなくていいように、生命保険契約紹介制度について説明します。
生命保険契約照会制度とは?
家族のもしもに備えて知っておこう
2022年1月27日
生命保険契約照会制度とは?
生命保険契約照会制度は2021年7月に始まった比較的新しい制度です。死亡した人や認知症になった人の親族等が、その対象となる人が加入している保険契約があるかどうかわからないときに、保険契約の有無を照会できるというものです。
一般社団法人 生命保険協会を通じて、生命保険会社42社へ保険契約の有無を一括で照会できるため、どこの保険会社に問い合わせればいいかわからなくても、生命保険協会に照会依頼をすることで全42社分の契約有無を確認してもらえます。ただし、契約があるかどうか、ある場合にはどこの保険会社かを教えてくれるだけで、具体的な保険の種類や契約内容は教えてもらえません。契約があるとわかった保険会社に別途問い合わせしなければなりません。
なぜ照会が必要?
通常、生命保険に加入すると保険証券が発行されます。その保険証券を見れば、どこの保険会社で、どの保険に、どんな内容で契約しているか、保険金受取人は誰かといったことがわかります。また、加入している生命保険会社からは定期的に契約内容のお知らせなどの通知が送られてくるため、これらの書類を見ても契約の有無やその内容を確認することができます。もしくは、契約内容はわからなくても、保険料の支払い方法が口座振替になっていれば、預金通帳を記帳したときに「○○セイメイ」などと記載で「○○セイメイ」で保険に加入しているということを推測できます。
しかし、生命保険は一般的に契約期間が数十年と長く、その間に保険証券を紛失したり、郵便物を破棄していたりといったこともあります。最近では紙の預金通帳を廃止する銀行も出てきており、今後は預金通帳で確認するのも難しくなってくるかもしれません。実際、家族に保険契約について何も伝えないまま本人が死亡したり、認知症になったりするケースもあり、生命保険契約の手がかりがなくて困る人も増えてきているようです。
一般的に、死亡時や介護が必要になった時にはお金が必要になりますが、保険金を請求できるかどうかは家族の今後の暮らしにも大きな影響を及ぼします。このような場合に、せめて契約があるかないかがわかるだけでも、親族にとっては助かるものでしょう。
生命保険契約照会制度を利用するには?
生命保険契約照会制度は生命保険協会に対して行いますが、生命保険契約には数多くの個人情報が含まれています。ゆえに個人情報保護法の趣旨のもと、照会できる人の範囲や必要書類が厳格に定められています。
照会できる理由は?
生命保険契約照会制度を利用できるのは次の3つの場合に限られます。
- ・死亡(平時の病気、事故などによるもの)
- ・認知判断能力の低下
- ・災害時の死亡または行方不明(災害救助法が適用された地域での被災)
照会できる人は?
死亡の場合は、照会対象者の法定相続人です。その他、法定相続人の法定代理人または任意代理人、遺言執行人なども照会できます。
認知判断能力の低下の場合は、成年後見制度等の利用の有無などによっても異なります。成年後見制度を利用している場合は照会対象者の法定代理人です。成年後見制度等を利用していない場合は、照会対象者の3親等以内の親族などです。
どうやって照会する?
生命保険協会の「契約照会システム」を使ってオンラインで照会するか、生命保険協会あてに郵送で照会します。
必要書類は?
照会事由(死亡・認知症など)の事実や照会対象者と照会者の関係を確認するための公的書類や医師による所定の診断書等が必要です。
費用はかかる?
利用料が1件につき3,000円(税込)かかります。ただし、災害時の照会については無料です。
また、公的書類や医師の診断書等の取得費用は照会者負担になります。
そのため、照会制度を利用する前に、まずは保険証券、保険会社からの通知、預金通帳や保険会社発行の領収証などを探しましょう。
お金や保険について、家族で話し合おう
家族が保険に加入しているか、どこの保険会社で契約しているかなどといったことは、日頃から家族と会話し行動を共にしていれば大まかにでも把握できるものです。しかし、遠方で離れて暮らしていたり、近くにいても仕事や家事・育児で忙しかったりで、お金や保険の話までできないという人もいるかもしれません。そもそも、親や兄弟であってもお金の話はしにくいもので、ましてや死亡や介護の話は避ける人も多いようです。
コロナ禍で、離れて暮らす家族の健康を確認し合って安心した人も多いと思いますが、日頃から家族のコミュニケーションのなかで、万一の事態についてもよく話し確認し合っておけばいざという時にも冷静に対応できるはず。大切な家族だからこそ、言いにくい、聞きにくいお金の話もしておくことが大切です。
(※本ページに記載されている情報は2021年12月20日時点のものです)