子どもと暮らす生活を望むかどうかは、女性にとっての大きな選択のひとつ。
不妊治療もかかわると、お金のやりくりが気になります。
高額な費用がかかるのではと判断に迷うこともある不妊治療ですが、2022年4月から保険適用(公的医療保険)の対象範囲が広がることをご存じでしょうか。
不妊治療と保険適用の関係について簡単にご紹介します。
2022年4月から不妊治療の保険対象範囲が広がる?!
2022年1月17日
不妊治療についておさらい
不妊治療と経済的負担
少子高齢化が問題となっている日本。不妊で悩む夫婦の経済的負担を軽くする支援が広がりを見せています。
不妊治療を始めた夫婦には、治療のための医療費負担がのしかかります。不妊治療と仕事を両立できずに離職する方もいて、離職による収入減の中、治療費を捻出しながらの家計やりくりを不安に思う方もいます。
精神的負担も
不妊治療のために離職する方の割合は、男女合わせて16%。女性だけの割合で見ると23%となっており、およそ4人に1人と少なくない数字です。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14408.html)
さらに、不妊治療中に精神的負担を感じるという声も多く聞かれます。同僚や後輩のおめでたの話を聞く機会や写真付き年賀状を見る機会がつらいなどの話を聞いた経験のある方もいるでしょう。
さまざまなストレスは、妊活にマイナスの影響を与えてしまいます。不妊治療の経済的負担をやわらげる制度改正は、自然な流れの出来事といえるでしょう。
保険適用の治療は?
検査から始まる不妊治療
不妊治療の流れについて、簡単におさらいしていきましょう。不妊治療においては、まず、妊娠しにくい原因がないかどうかを調べる検査が行われます。
・不妊の原因の検査を行う(保険適用)
不妊治療において、原因を調べる段階では保険適用が一般的です。ただし、AMH(卵巣にどれくらい卵子が残っているかを調べる検査)など、自費診療の検査が行われる場合もあります。
自治体により不妊治療検査の助成を行っている場合もあります。<span style=”border-bottom: #ffb6c1 3px double; text-decoration: none;”自治体の助成を申請するときは、申請期限に気をつけましょう。
まず保険適用の治療が行われる
そして、不妊の原因を調べた後に、保険適用の治療が行われます。
・男性不妊、女性不妊など原因がわかった場合の治療を行う(保険適用)
排卵日を診断するタイミング療法や、内服や注射による排卵誘発剤投与などは、保険適用の治療です。自己負担として数千円から数万円ほどかかります。
保険適用外の治療は高額の傾向
人工授精、体外受精、顕微授精は保険適用外(2022年1月時点)
男性不妊や女性不妊など、不妊の原因がわかった場合は、まず保険適用の治療が行われますが、原因のわからない機能性不妊の場合は、人工授精のステップへ進みます。また、保険適用の治療がうまくいかなかった場合も人工授精のステップへと進みます。
人工授精、体外受精、顕微授精は保険適用外で、特に体外受精や顕微授精は数十万以上と費用が高額となります。自由診療であり、具体的な金額は医療機関により異なります。
なお、これらは2022年1月時点では保険適用外の治療ですが、国の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」による助成を利用できます。また、独自の助成制度を設けている自治体もあります。
2022年4月から保険適用
高額な費用がかかる体外受精や顕微授精(特定不妊治療と呼ばれます)ですが、2022年4月から保険適用されることになりました。それまでの間は、「不妊に悩む方への特定治療支援事業」の助成を受けられます。
【特定治療支援事業の概要】
・特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがない、あるいは極めて少ないと診断された夫婦が対象
・給付金は30万円/1回(凍結胚移植や採卵で卵が得られず中止の場合は10万円)
・妻が40歳未満であれば6回まで、40歳以上43歳未満のときは3回まで(1子ごと)受けられる
・男性不妊治療(精子を採取する手術)の場合の給付金は30万円
・所得制限なし
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html)
自分がどうしたいかを大切に
お金がかかわるテーマにおいて、平均や相場が話題に上がる機会が少なくありませんが、状況や負担感は人それぞれです。不妊治療を始めてすぐに妊娠する方もいれば何年とかかる方もいます。
大切なことは、妊活を少しでも健やかに行うためにお金の負担をストレスにしないよう工夫することといえるでしょう。例えば妊活貯金として蓄えつつ、いくらまでならかけられるか大体の上限額をあらかじめ決めておく方法もおすすめです。自治体の助成制度についてもあらかじめ調べておきましょう。
あといくらかかるのだろうと思いながら医療機関へ足を運ぶのではなく、まだ設定金額内と思えていれば、お金の心配にわずらわされる場面を減らせます。
また、不妊治療は所得税の医療費控除の対象です。国や自治体の制度を賢く利用し、夫婦の望む未来を実現するライフプランに役立てていきましょう。
※本ページに記載されている情報は2021年12月21日時点のものです