公的医療保険として国民健康保険または健康保険があり、どちらかに加入されていると思います。起業や結婚などにより、加入する保険が変わってきます。ここで改めて両保険の加入条件や違いについて確認しておきましょう。
国保と健保の違いを徹底解説
2021年12月21日
健保と国保の違い
健保と国保では、どのような違いがあるのか見てみましょう。
保険料
健保の場合は、収入に比例して保険料を負担しますが、半分は企業が負担してくれます。大企業の中には、福利厚生の一環として、企業が半分より多く負担してくれるところもあります。
国保の場合は、収入に比例している比例部分と、定額の部分があります。同じ収入であっても、市区町村によって保険料の計算の仕方が違うため、保険料が異なります。
扶養者
被保険者の家族は、健保の場合は年収が130万円以下かつ被保険者の年収の半分未満であれば被扶養者となり、被保険者と同じ保証が受けられ、家族が何人いても保険料の追加負担はありません。
国保の場合は、家族それぞれが国保の被保険者となり、保険料を負担しなければなりません。ですから、家族が多ければ多いほど保険料の負担が大きくなります。
傷病手当金・出産手当金
健保の場合は、法定給付のため必ず給付されますが、国保の場合は任意給付のため加入先によって対応が異なります。
傷病手当金は、それまでの収入の3分の2を最長で1年6カ月もらえます。
出産手当金は、それまでの収入の3分の2を(産前42日+出産日超過日数+産後56日)分もらえます。
付加給付金
一部の健保にある制度で、福利厚生の一環として通常の健保の制度に上乗せして給付される制度です。傷病手当金や高額療養費制度に上乗せされます。
健保と国保の共通の給付内容
健保と国保の違いで給付内容にも触れましたが、では、公的保険としてどのような給付があるのか、どちらの場合にも給付される主な給付内容も見ておきましょう。
療養の給付:負担割合に応じてかかった医療費の1~3割の負担で治療が受けられます。
高額療養費:自己負担額が高額になった時には、限度額以上の医療費が払い戻しされます。
出産一時金:子供が生まれた時に、一人につき42万円支給されます。
埋葬費:本人や家族が亡くなった場合に埋葬費が支給されます。
メリット・デメリット
以上の事柄をまとめると、健保と国保には以下のようなメリット・デメリットがあります。
健保のメリット
・保険料が労使折半で、扶養家族の保険料がかからない。
・傷病手当金や出産手当金が必ずある。
・企業によって、付加給付金がある。
・任意継続制度があり、退職などによって加入資格がなくなっても、最長2年間は引き続き加入を継続することができる。
健保のデメリット
・収入に比例して保険料が上がる。
・任意継続したとき、事業主負担がなくなるため、保険料は倍になる。
国保のメリット
・特になし
国保のデメリット
・家族が多いと保険料がかかる。
・傷病手当金や出産手当金がないことが多い。
加入条件
これらのことを考えると、健康保険の方がなんとなく良いような気がしますが、どちらかを自由に選べるわけではありません。
事業所の要件として、
・社会保険適用事業所(法人事業所、または従業員が常時5名以上の個人事業所)、
・または任意適用事業所(従業員の半数以上が同意し、事業主が申請、厚労大臣が認可)
この事業所で働く
・正社員
・正社員の4分の3以上の時間働いているパート・アルバイト、
・週20時間に満たなくても週20時間以上など5つの要件を満たすパート・アルバイト、は健康保険に強制加入となります。
そして、これらの要件を満たしていない場合は国民健康保険に加入となります。
加入の注意事項
このように、要件によって加入する健康保険が変わるため、以下のような場合には注意が必要です。
保険の切り替え
退職、転職、起業、などの場合には保険が切り替わります。
退職の場合には、任意継続するか、国保に切り替えるかになります。
会社勤めからフリーランスや、アルバイトなどに変わる場合も国保になります。
派遣社員の場合は注意が必要です。フルタイムであれば健保に加入になりますが、週3程度の勤務であれば、国保になります。短期で契約が切り替わる場合は、そのたびに健康保険の手続きもしなければいけません。
保険料の支払い
健保の場合は給与天引きなので保険料が未納ということはありませんが、国保の場合は口座振替にしない限り、自分で都度支払いをしなければいけません。
退職者やずっとフリーランスでお仕事を続ける場合は、口座振替にしておけばいいと思いますが、派遣などでしょっちゅう保険が切り替わる人は保険料の支払いにも注意が必要です。
なお、切り替わりなどにより支払いが多かった場合には後日精算され、返金されますので問題ありません。
以上、今後の働き方と合わせて健保・国保についても考えておいてください。
※本ページに記載されている情報は2021年11月25日時点のものです。