40歳以上になると毎月納めなければならない介護保険料。この介護保険料を払うことで、将来介護が必要になった際には公的介護保険のサービスを利用することができます。利用したいと思ったときにスムーズに手続きができるよう、介護保険サービスの手続きの流れを知っておきましょう。
公的介護保険サービス
利用にあたって必要な手続きとは?
2021年10月18日
介護保険と健康保険の違い
私たちは、加入している健康保険組合の保険証を持っており、病院を受診する際には窓口で保険証を掲示することで、保険給付を受けることができます。この保険給付は現在の現役世代では7割となっており、私たちはそのおかげで3割の自己負担で病院を受診することができます。
一方、公的介護保険は市区町村の管轄で、要介護もしくは要支援認定を受けていることが保険給付を受ける前提となります。したがって、保険給付を受ける際には事前に要介護もしくは要支援認定を受ける必要があります。この認定は「第1号」そして「第2号」被保険者で要件が異なる点に注意が必要です。
第1号被保険者とは?
第1号被保険者とは、満65歳以上の方が対象となります。そして原因を問わず、介護や支援が必要になった時に介護保険サービスを利用することができます。
第2号被保険者とは?
第2号被保険者とは、満40歳以上65歳未満で、保険料は公的医療保険の保険料とともに一括徴収されます。そして、第1号被保険者と異なり、国の定める16の病気が原因で介護や支援が必要になった時に介護保険サービスを利用することができます。
16の病気とは、がんの末期や脳血管疾患、関節リウマチ、初老期における認知症など、主に老化が原因で起こるといわれているものです。そして、これらの病気が原因で介護や支援が必要になった場合のみ、要介護認定を受けたうえで介護保険サービスを利用できます。
介護サービスの利用までの流れ
介護サービスを利用するためには、まず介護認定の申請を行い、さまざまな過程を経る必要があります。
介護認定の申請
市区町村の介護保険担当課や地域包括支援センターなどで申請します。申請は本人だけではなく、家族でも行うことができます。
要介護の認定
主治医の意見書(かかりつけ医が作成した、本人の心身の状況に関する書類)に基づき、訪問調査が行われます。訪問調査では、調査員が本人や家族と実際に会い、心身の状況(歩行の状態や認知症の状況など)を聞き取ります。そして、一次判定というコンピューターでの機械的な判断の次に、二次判定が行われます。二次判定では、医師や保健師、介護事業所のスタッフなど、専門家の会議をもって行われます。
認定結果の通知
調査の結果、本人にどの程度介護や支援が必要かに応じて、以下のいずれかの判定が行われます。
1.非該当・・・介護も支援も必要ない
2.要支援1および2・・・介護が必要な状態ではないが、支援(手助け)が必要で、介護が必要な状態になることを防ぐために、介護予防サービスを利用することができる
3.要介護1~5・・・介護を必要とする状況で、生活の質をなるべく維持および改善することを目的として介護サービスを利用することができる
これらの介護認定には有効期間があり、心身の状況や申請区分(新規もしくは更新)により決定されます。ただし、有効期間内であっても、必要があれば「区分変更」という手続きを行うことで、認定を受け直すことも可能です。
ケアプランの作成
ケアプランとは、「介護に関するスケジュール」です。ケアマネージャーと呼ばれる担当者が、本人や家族から生活状況や困っていること、さらに今後の暮らしについての希望などを聞き取り、必要な介護サービスのプランニングを行います。この費用は全額保険給付となっていることから、ケアプランの作成に対する本人の自己負担はありません。
サービスの利用
作成されたケアプランに基づき、介護サービスの利用が開始します。介護サービスは大きく分けると以下の3つに分けることができます。
1.居宅サービス・・・自宅に住みながら利用
2.施設サービス・・・施設に入所して利用
3.地域密着型サービス・・・原則としてその市町村に住む人だけが利用可能
介護の申請を行ってから認定結果が通知されるまでの期間は、市町村やその時の状況によって異なりますが、概ね1カ月程度かかるといわれています。したがって、介護サービスの利用を考えているのであれば、余裕をもって申請を行うようにしましょう。
また、介護サービスを利用した際の自己負担割合は第1号被保険者と第2号被保険者で異なる点も覚えておきましょう。第1号被保険者の場合は、サービスにかかった費用の1~3割(前年の所得金額等を基に決定)となっていますが、第2号非保険者の場合は、かかった費用の1割となっています。
少子高齢化によって、介護の問題はますます身近になってくると思われます。いざ、利用しようと思った際に、手順が分からずサービスが利用できないといった事態に陥らないように、今の介護保険サービスの仕組みをしっかりと理解しておきましょう。
※本ページに記載されている情報は2021年9月8日時点のものです。