長い人生、さまざまな理由で離婚を考えなければいけないことも起こるでしょう。その時に、考えてほしいことの一つにお金のことが挙げられます。離婚したらどんなお金がもらえるのか、あるいはどんなお金がかかってくるのか、いざ離婚という時に慌てないように、あらかじめ知っておきましょう。
離婚を考えた時のお金の話
2020年8月5日
離婚でもらえるお金
お金が心配で離婚に踏み切れないという方もいるかもしれませんが、離婚すると以下のようなお金がもらえます。
夫から
・財産分与
結婚期間中に増えた財産の半分を請求することができます。退職金については、既に支払われているとか、支払いが確実であるような場合には請求が認められています。
・年金分割
専業主婦の場合、夫が払った保険料の一部を妻が払ったものとして、年金額を受け取ることができます。国民年金は分割されないため、自営業の場合は利用することができません。また、自分の方が厚生年金保険料をたくさん支払っていたという場合も適用になりません。請求期限は離婚してから2年以内です。
・婚姻費用分担請求
別居から離婚までの生活費や子供の学費などを分担請求できます。夫婦の収入、子供の人数や年齢などを勘案して、婚姻費用算定表を利用して算定されますが、月額10万円以下というのが全体の7割くらいです。
・慰謝料
DV、浮気など配偶者側に問題があって離婚に至った場合、精神的苦痛の損害賠償として請求ができます。有責行為の度合い、破綻に至る経緯、婚姻期間、財産額、子供の人数、親権などを勘案して決められますが、相場は100~300万円くらいです。
・養育費
子供がいる場合、原則として子供が20歳になるまでの養育費を請求できます。金額は養育費算定表に基づいて算出されますが、全体の9割が月額6万円以下となっています。
公的機関から
子どもがいる場合には様々なサポートを受けられます。例えば、手当には以下のようなものがあります(市区町村によって異なる場合があります)。
・児童手当
中学卒業までの子供を養育する人が対象で、子供の年齢により、一人当たり月額1万円または1万5,000円支給されます。
・児童扶養手当、児童育成手当
一人親対象の子供が対象で、各自治体に申請します。
・住宅手当
20歳未満の子供を養育し、月額1万円以上の家賃を払っている一人親家庭が対象で、支給される額は5,000円~1万円くらいです。
・医療費助成制度
18歳以下の子供がいる一人親家庭の医療費の一部が助成されます。所得制限があって助成が受けられない場合は、子供医療費助成制度で、子供の医療費を一部助成してもらえます。こちらの制度の子どもの対象年齢は自治体によって異なります。
それ以外にも、公営住宅への入居優遇、国民年金、国民健康保険、水道料金などの免除、税金の軽減、電車やバスの割引、お金に困った時の貸付制度もそろっています。
一方で、子供がいない、あるいは子供が成人の場合は 特にサポートがありません。
離婚にかかる費用
次に出ていくお金ですが、離婚時と離婚後に分けられます。
離婚時
話し合いでまとまればいいのですが、まとまらなかった場合、調停、裁判となり、調停費用・弁護士費用がかかってきます。調停費用の場合は数千円~程度で済みますが、裁判となると弁護士費用がかかりますので、数十万円~の費用がかかります。
財産分与については公正証書を作成した方がよいと思いますが、財産の金額によって手数料が変わります。一般的に数万円程度かかります。
また、住宅を共同名義で購入して二人でローンを組んでいるような場合は、住宅を売却するのか、どちらかが住み続けるのか、またその時の金融機関の対応によって費用負担が変わってきます。こちらも併せて話し合っておく必要があります。
離婚後
前述のように、子供がいる場合は様々なサポートが受けられます。各自治体によってサポート内容が異なる場合があるので、サポート内容を調べてから住む場所を決めてもいいかもしれません。夫からの養育費を含め、お子さんの年齢や所得によってもらえる手当の金額が変わってきますので、キャッシュフロー表をきちんと書いてみることをお勧めします。
子供がいない場合は公的機関からの手当がありませんので、夫からもらった金額以外は、自分で収入を得る方法を考えなくてはいけません。特に、専業主婦をしていて長期間仕事から離れていた場合などは、まずはハローワークに相談してみましょう。生活にかかる費用としては住居費が一番大きいと思います。働く場所を探すとともに、新しく住む場所の家賃相場も調べておきましょう。そして、今まで夫の扶養家族であった場合は社会保険料も自分で支払うことになります。
「お金のことを考えると大変だから踏みとどまる」という選択肢も、「何とかお金を工面する方法を考えよう」という選択肢もありです。自分にとっていい選択をしてください。
(※本ページに記載されている情報は2020年7月31日時点のものです)