医療費控除の他にセルフメディケーション税制という医療費控除の特例が平成29年から始まったのをご存知ですか?医療費控除とセルフメディケーション税制は、節税効果があるのでぜひ利用していただきたい制度ですが、両者にはいくつか相違点があります。今回は、医療費控除とセルフメディケーション税制のそれぞれの特徴について解説します。医療費控除とセルフメディケーション税制の特徴をここで学んでお金の教養を身につけましょう。
医療費控除とセルフメディケーション税制って
何が違うの?相違点について解説します!
2020年2月14日
医療費控除とは
医療費控除は、1月1日~12月31日の1年間で支払った医療費が一定額10万円を超えた場合に、所得控除を受けることができる制度です。医療費控除はご自身だけではなく、生計を一にする家族の医療費も対象となります。
医療費控除額の計算方法
医療費控除額の計算方法は、
(1年間で支払った医療費-保険金等で補てんされた金額)-10万円となります。
保険金等で補てんされた金額とは、医療保険や生命保険の給付金、出産により支給される出産育児一時金をいいます。
例えば、1年間で支払った医療費が50万円・医療保険で20万円の給付金を受け取っている場合は、
(50万円-20万円)-10万円=20万円
となり、20万円の医療費控除を受けることができます。
ただし、1年間の総所得額が200万円以下の場合は、10万円ではなく、総所得額×5%分を差し引く形になるため、注意が必要です。
医療費控除には対象外になる医療費がある
医療費控除には、対象になるものとならないものがあります。ここをしっかり押さえておかないと、医療費控除を受けられない可能性もあるので注意が必要です。
【医療費控除の対象となるもの】
・病気やケガによる治療費、入院費
・病院で処方された薬
・風邪を引いた際に薬局等で購入した風邪薬
・出産までの定期健診費や通院費・分娩
・虫歯の治療費 などがあります。
【医療費控除の対象とならないもの】
・自覚症状のない時に受けた人間ドック費用
・美容整形費用
・美容のためのビタミン剤
・美容のための歯科矯正費用
・里帰りする際の交通費
・インフルエンザ等の予防接種費用 などがあります。
本来、人間ドック費用は医療費控除の対象にはならないのですが、診察の結果、異常が見つかり治療を開始した場合には、医療費控除の対象となります。
詳しい項目は、「国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費」を確認しましょう。
医療費控除を受けるための手続きとは
医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
ここで注意したいのが、確定申告では、医療機関からもらう領収書や明細書が必要になってきます。確定申告をするまで、1年分の領収書や明細書をまとめて保管しておかないと、間違えて捨ててしまった場合には、医療費控除を受けられなくなる可能性があります。医療費控除を受けるために、100円均一で売っているファイルなどを購入して分かりやすい所に保管するようにしましょう。
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制は、2017年1月1日から開始され、2021年12月31日までの期間限定の制度で医療費控除の特例となります。
医療費控除は1年間で10万円となかなか条件が厳しくなっていますが、セルフメディケーション税制は医療費控除よりも条件が緩和されていて、多くの人が利用できるのが特徴の1つです。
条件は、1年間で12,000円以上
セルフメディケーション税制は、1年間で12,000円以上のOTC医薬品を購入した場合に所得控除を受けることができます。OTC医薬品とは、「Over The Counter」の略で、薬局やドラッグストアなどで処方箋なしで購入できるものをいいます。例えば、風邪を引いた時の風邪薬や頭が痛い時の鎮痛薬ですね。
仕事が忙しくなかなか病院に行けない人であれば、仕事中や仕事帰りに薬局やドラッグストアなどで風邪薬を購入した経験があるかと思います。この何気なく購入している風邪薬がセルフメディケーション税制の対象になる可能性があります。
対象になるものとならないものがある
実は、セルフメディケーション税制にも医療費控除と同様、対象になるものとならないものがあります。セルフメディケーション税制の対象となるものは、「厚生労働省 セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(全体版) 」に記載されています。
購入した際のレシートにもセルフメディケーション税制の対象となるものには、「★」や「●」などのマークが記載されているのでチェックしてみてください。
セルフメディケーション税制を受けるための手続きとは
セルフメディケーション税制も医療費控除と同様、確定申告が必要となります。確定申告の際には、購入したレシートが必要になるので捨てずに必ず保管しておきましょう。
医療費控除とセルフメディケーション税制は両方受けることができるの?
節税効果があるのであれば、両方受けたいですよね?でも、残念ながら、医療費控除とセルフメディケーション税制を両方受けることはできません。確定申告をする前に、どちらの制度の方がお得なのか計算しておく必要があります。医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらも節税効果のある家計の味方になる制度です。
どっちの制度の方が節税できるのか、2つの制度をよく理解して日々の生活を豊かにしましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年2月14日時点のものです)