確定申告の時期が近づいてきました。しかし「自分はサラリーマンだから確定申告は関係ない」と思っている方も多いのではないでしょうか?しかしサラリーマンでも確定申告をすれば税金が戻ってくることがあります。知らないと損する確定申告、どんな場合に還付が受けられるのか、還付の申告はいつまでにすればいいかを詳しくご紹介します。
サラリーマンでも確定申告すると
税金が戻ってくる場合とは?
2020年2月10日
サラリーマンでも確定申告すると税金が戻ってくる場合
1.医療費が多くかかった場合
医療費が多くかかった場合、次のいずれかの控除を受けることができます。
(1) 従来からの医療費控除
1年間の医療費が、「10万円」または「総所得金額の5%」のいずれか少ない金額を超える場合、その超える部分の金額は所得から差し引くことができます。
(2) セルフメディケーション税制
「セルフメディケーション税控除対象」とある医薬品を年間12,000円超えて購入した場合、その超える部分の金額は所得から差し引くことができます。
2.寄付をした場合
国や地方公共団体など一定の団体へ年間2,000円を超える寄付をした場合、確定申告をすれば還付を受けることができます。
「ふるさと納税」も寄付をした場合に該当します。5ヵ所以下の自治体に対するふるさと納税は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の手続きをすれば確定申告をしなくても還付を受けることができますが、6ヵ所以上の自治体にふるさと納税を行った場合は確定申告をする必要があります。
3.災害・盗難・横領の被害を受けた場合(雑損控除)
今年は台風など自然災害が多く、被害を受けた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
災害・盗難・横領により被害を受けた場合、確定申告をすれば税金が戻ってくることがあります。今年の確定申告で損失を引ききれない場合、翌年以降3年間、毎年確定申告をして損失を繰り越すことが可能です。
なお、詐欺による被害は残念ながら雑損控除の対象にはなりません。
4.課税所得額が900万円以下である方の上場株式の配当金
上場株式の配当金は、所得税15%、住民税5%が源泉徴収されています(復興特別所得税を除く。以下同じ)。
配当金の課税方式は、次の3つがあります。
① 申告不要:源泉徴収されたまま終了。
② 総合課税:確定申告をして他の所得と合算する。
③ 申告分離:他の所得と分けて確定申告をする。税率は源泉徴収の場合と同じ。
多くの方が①で済ませていると思います。しかし、課税所得額(所得金額から所得控除額を差し引いた金額)が900万円以下であれば、②を選んで確定申告をした方がおトクになるのです。
②を選ぶと、課税所得額が900万円であれば所得税率23%になります。ここから配当控除といって、配当金の10%が差し引かれるため、配当金にかかる税率は、23%-10%=13%になり、①に比べて低くなります。
しかし、②で確定申告をすると住民税率が①よりも高くなってしまうデメリットがあります。そこでひと手間、住民税については申告不要とする書類をお住まいの自治体に提出すると、住民税率5%のままになります。
注)株式の譲渡損がある場合の配当金については、次をご覧ください。
5.上場株式の譲渡損がある場合
上場株式を売って損が出た場合、確定申告をすることで上場株式の配当金と相殺し、配当金から源泉徴収された税金が戻ってきます。
この場合、上記の「③申告分離」で申告する必要があります。
また、株取引をされている方は、証券会社に特定口座を作って税金を源泉徴収するように設定していることが多いでしょう。
同じ特定口座内で株式の譲渡損と譲渡益と配当金がある場合には、証券会社がこれらを相殺して税金を計算してくれます。(損益通算)
しかし、例えばA特定口座とB特定口座があり、A口座では譲渡益、B口座では譲渡損が生じた場合には、自分で確定申告をして相殺することでA特定口座から引かれた税金の還付を受けることができます。
今年の確定申告で損失を引ききれない場合、翌年以降3年間、毎年確定申告をして損失を繰り越すことが可能です。
6.年末調整で受けなかった控除がある場合
年末調整が終わった後で新たに所得控除を受けられるものが見つかった場合、翌年1月31日までであれば会社に年末調整のやりなおしをしてもらうことができます。もし間に合わなかった場合は確定申告をすれば税金が戻ってきます。
7.20万円以下の副業で源泉徴収されている税金がある場合
サラリーマンが給与所得のほかに20万円以下の所得がある場合、基本的には確定申告をする必要がありません。しかし、副業で所得税が源泉徴収されているときは、確定申告をすると税金が戻ってくる場合があります。
8.ローン控除
住宅ローンを組んだ場合、年末残高の1%を税金から引くことができます。ローン控除は初年度のみ確定申告をする必要があります。2年目以降は年末調整で還付されます。
還付のための確定申告は5年間さかのぼることができます!
例えば「3年前に住宅ローンを組んだけど、確定申告していない!」と、今気づいても大丈夫。
確定申告は、1月~12月分の所得を翌年2月16日~3月15日までに税務署に申告書を提出し、納税をするのが原則です。
しかし還付のための申告は、翌年の1月1日から5年間提出することができます。過去の確定申告書は国税庁ホームページの「確定申告特集」より作成することができます。
注)上記は確定申告書を提出していない方が還付を受ける場合の手続きです。前に提出した確定申告書が間違っていて還付を受ける場合には、「更正の請求書」という書類を提出する必要があります。
まとめ
サラリーマンでも確定申告をすると税金が戻ってくるケースは結構あります。自分が該当するか、ぜひ検討してみましょう。
注)この記事は、サラリーマンが確定申告をすると還付を受けられるケースを列挙したものです。実際に申告される場合は要件をよくご確認ください。また、扶養に入っている方が確定申告すると扶養から外れてしまうケースもありますのでご注意ください。
(※本ページに記載されている情報は2020年2月10日時点のものです)