前年に住宅を購入した場合、住宅ローン控除を受けるには初年度は確定申告で行う必要があります。住宅ローン控除を受けることが出来る要件とその手続きについて解説していきます。
「住宅ローン控除」
初年度の確定申告ってどうやるの?
2020年1月8日
住宅ローン控除を受けるために
住宅ローン控除を受けるためには一定の要件を満たす必要があります。
ではその要件とはどのようなものなのか、具体的に見ていきましょう。
住宅ローン控除の条件とは?
1.自分が居住するための住宅の購入であること。(投資用物件や別荘などは対象外)
2.床面積の合計が50㎡以上であり、その2分の1以上が自分の居住部分であること。(マンションの場合は、階段や通路など共用部分は含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断)
3.新築した日または購入した日から6ヵ月以内に居住しており、引き続きその年(住宅ローン控除を受けようと思っている年)の12月31日までに居住していること。
4.住宅ローン控除を受けようと思っている年の収入が3000万円以下であること。
5.住宅ローンの借入期間が10年以上であること。
6.住宅ローンの借入先が勤務先である場合、その利率は0.2%以上であること。
7.居住した年の前後各2年間(合計5年間)に、前に住んでいた家を売るなどして「3000万円の特別控除」や「10年超保有の税率の軽減」などの他の税金の優遇措置を受けていないこと。
また、中古住宅を購入する場合は、上の7つの条件以外にも以下の条件を満たすことが必要となります。
1.25年以内に建築されたマンションなどが耐火建築物であること。
2.耐火建築物でない場合は、20年以内に建築されたものであること。
上記以外に、「親や親族からの購入または贈与により取得されるものでないこと。」も要件に入りますので注意してください。
住宅ローン控除を受けるための手続きは?
会社員など給与所得者の場合であれば、あらかじめ所得税を概算額で計算し源泉徴収を行っているため、年の途中で住宅を購入した場合については、会社側がその事実を把握できず、源泉徴収へ反映することが出来ません。そのため、住宅を購入した初めての年については各自で確定申告を行う必要があります。
初年度(確定申告)で必要な書類
初年度の確定申告は、自宅住所の管轄税務署に対し、取得した住宅に住み始めた日の翌年2月16日から3月15日までに行う必要があります。ただし、住宅ローン控除などの還付申告は1月から行うことができます。その際の必要書類については以下のとおりです。
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本):住宅ローンの残高が分かる書類で、金融機関から送付されてくるものです。2ヶ所以上の金融機関から借りている場合は、そのすべての残高証明書が必要となります。
・住宅の登記事項証明書(原本)、または住宅の請負契約書の写し、または売買契約書の写し。住宅だけでなく土地も取得した場合は、次の書類も必要になります。
・「土地の登記事項証明書」「土地の購入に係る契約書の写し」
申告書や計算明細書は税務署に行けばもらえるほか、国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/)からのダウンロードの他、電子入力で作成することもできます。また申告についても税務署に直接出向く方法の他、郵送やインターネットによる電子申告も可能です。
税額控除のメリットについて
住宅ローン控除は「所得控除」ではなく「税額控除」です。所得控除が所得税を計算するために課税所得から控除されるものであるのに対し、税額控除とは、計算された所得税から差し引かれるものです。従って、節税効果は後者の方が大きく、活用すべきメリットも十分にあるといえるでしょう。
住宅ローン控除を受ける際の注意点
借入金額が多いほど、控除される金額も大きくなることから、「できるだけ借入金額を多くしてローンを組もう」と考える人もいます。しかし、借入金額が大きくなるということは、その分それにかかる手数料も大きくなりますし、返済方法が元利均等返済であれば、毎月の返済額にもよりますが、いつまでたっても利息分の返済に充てられ、元本がなかなか減らないということにもなりかねません。住宅ローン控除はありがたい税制優遇措置ではありますが、そればかりに頼る考え方は禁物です。
最近は住宅ローンの金利もかなり低くなってきました。従って、「住宅ローン控除を利用することで、支払った住宅ローンの利息以上の節税が可能になることがある」 とも言えます。
このことを念頭において、その年の借入残高と申告した場合に戻ってくる金額についても事前にきちんと確認して、上手に活用するようにしましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年1月8日時点のものです)