4大共済と言われるJA共済、全労済、都道府県民共済、CO・OP共済は営利を目的としていないため、掛金が割安です。そのためお手頃な保険として魅力を感じている人は多いでしょう。しかし、パンフレットなどにはメリットしか書いていない場合が多く、デメリットも把握しておかないと、あとで後悔することにもなります。保険との違いや加入の方法、保障内容など、共済についてわかりやすくお伝えします。
保険料が割安な共済にデメリットはあるの?
保険との違いは?
2019年12月3日
共済について知ろう
共済と聞いて、全労済やJA共済などを思い浮かべても、保険との違いや仕組みなど、よく理解できていない人は多いと思います。まずは共済についてどんな制度なのかを確認しましょう。
共済ってなに?
共済とは、「互いに助け合う」相互扶助を制度化しているものです。皆でお金を出し合って準備し、死亡や事故、病気や災害などの支払い事由が生じた時に、共済金が支払われる仕組みです。営利を目的としていないため、掛金が割安な場合が多く、毎年の決算で余剰金が出た場合は、割戻金として契約者に還元されます。
保険とどう違うの?
こうした制度は保険とよく似ていますが、一番大きな違いは、根拠法令と監督官庁が異なっている点です。保険は保険業法ですが、共済の場合は、全労済、都道府県民共済、CO・OP共済は消費生活協同組合法、JA共済は農業協同組合法に基づいています。監督官庁については、保険会社は金融庁ですが、全労済、都道府県民共済、CO・OP共済は厚生労働省、JA共済は農林水産省が監督しています。
また、生命保険の場合は、生命保険契約者保護機構というセーフティーネットがありますが、共済の場合はありません。そのため、破たんした場合のリスクは大きくなります。
こうした制度上の違いはありますが、不測の事態が起きた時に経済的な保障をするという基本的な仕組みは同じです。
4大共済の特徴
4大共済と言われる次の4つの共済について、加入方法や保障の種類などをご紹介します。
JA共済
農業協同組合(JA)と全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が共同で行っている共済事業です。加入できるのは、原則組合員ですが、農業に従事していない者でも、出資金を支払えば准組合員として加入できます。掛金は性別、年齢別の構成となっており、「ひとの共済」として終身共済、養老生命共済、医療共済、こども共済などの13種類、他に「いえの共済」、「くるまの共済」があります。
全労済(こくみん共済COOP)
全国労働者共済生活協同組合連合会の共済事業です。2019年6月より「こくみん共済COOP」という愛称が使われています。100円以上の出資金を払えば誰でも組合員になれます。
医療保障や終身保障など10タイプある「こくみん共済」や家の保障の「住まいる共済」、自動車の補償の「マイカー共済」があります。
都道府県民共済
全国生活協同組合連合会の共済事業です。全国43都道府県で事業を展開しており、すべてを合計した加入件数は2019年3月末時点で2,120万件となっています。各地域の共済に加入するためには、その地域に居住しているか勤務していることが条件となっています。掛金は年齢、性別に関係なく一律となっており、加入の際の医師の診査が不要です。7種類の生命共済と新型火災共済があります。
CO・OP共済
日本コープ共済生活協同組合連合会の共済事業です。コープ共済に加入するためには、お住まいの地域の生協の組合員になる必要があります。およそ1,000円程度の出資金(生協によって異なります)で組合員になれます。この出資金は脱退時に払い戻されます。病気やケガなどを保障する共済は5つの商品ラインナップから10プランが選べます。家と家財の共済としてはCO・OP火災共済があります。
共済のメリットとデメリット
加入を検討する際には、次のメリットとデメリットをしっかり把握しておきましょう。
共済のメリット
1.掛金が手頃である
営利目的でないため、保険に比べて掛金が割安な場合が多く、また決算で余剰金が発生した場合には、原則として割戻金が還元されるのでさらにお得になることがあります。
2.掛金が一律である
掛金が一律の商品が多く、年齢とともに掛金が上がっていかないため、年齢が高い人ほどお得になります。
3.パッケージ商品が多い
医療保障と死亡保障がパッケージされているなど、シンプルでわかりやすい商品が多く、目的に合わせた商品ラインナップがあらかじめ用意されているため、選ぶ煩わしさがありません。
共済のデメリット
メリットを裏返すとデメリットになります。デメリットはパンフレットやWebサイトでは紹介されていないのでしっかりと頭に入れておきましょう。
1.保証額が少ない
掛金が手頃ということは保障額もそれに見合ったものとなります。保険では1億円などの死亡保障もありますが、共済では最高で3,000万円(不慮の事故)、病気などが原因では数百万円の商品が多く、大きな保障を求めている人にとっては物足りないと言えるでしょう。
2.年齢が低い人にとっては割高
掛金が一律ということは、20歳の人も60歳の人も掛金が一緒であるのに、保障を受ける確率は60歳の人の方が高いとなれば、若い人ほど損と言えます。
3.カスタマイズができない
商品の多くがパッケージ商品となれば、年齢や家族構成、ライフステージごとに変わってくる保障内容に対応ができません。年々、共済でもコースの選択が多様化してきていますが、それでも、保険ほどは自由度が高くありません。
4.高齢になると保障が薄くなる
共済の場合、加入年齢が60歳や65歳までとしている商品が多く、65歳以上でも加入できるシニア向けプランになると、保障額が薄くなり、入院日額は若い人の半分、死亡保障は数十万になる商品もあります。
共済の賢い使い方
以上のようなメリット、デメリットを踏まえて総合的に判断すると、共済の賢い使い方が見えてきます。
まず、大きな保障はいらない人、例えば、独身の方など死亡保障はなくてもいいから、割安な保険料で病気やケガの保障がほしい人には共済は適していると言えます。
次に、保険に入っているけれど、上乗せ保障がほしい人などは、共済でプラスすることができます。こうしたケースで、他の保険に加入すると、年齢によって保険料が上がってしまいますが、共済であれば、60歳くらいまでは一律である場合が多いので掛金の上昇の心配がありません。
つまり、一番お得に加入できる人は、掛金が一律である範囲の中で年齢が高い人と言えるでしょう。
本来であれば、使い道の制限がない現金を準備しておくのが一番賢い方法です。しかし、収入のすべてが生活費に回ってしまい、ほとんど貯金ができないようなケースでは、掛金が手頃な共済で万が一に備えることは暮らしを守るための一つの方法となります。
(※本ページに記載されている情報は2019年12月3日時点のものです)