子どもがいる家庭では、児童手当が受け取れたり扶養控除を受けられたりする制度がありますが、同じ学年でも早生まれは受取額で損をすると言われています。どうして損をするのか、その仕組みを詳しくお伝えします。
子どもの早生まれって
お金で損するってホント?
2019年11月6日
まずは年齢のカラクリを知って
日本では、いろいろな税制控除や制度の特例を受けるために年齢の制限があることが多くなっています。そしてその年齢の考え方が2通りあります。
まず1つめは「年度」です。
年度というのは、例えば「平成31年(令和元年)4月1日から令和2年3月31日まで」というように、簡単に言えば学年で考える年齢です。
そして2つめは「暦年」です。
暦年とは1月1日から12月31日のいわゆる1年間という考え方です。
そこで、制度を利用するときに注意が必要なのが「暦年」で考える場合です。民法では、誕生日を迎える前日の0時で年齢が上がるため、同じ学年でも、1月2日から4月1日生まれの「早生まれ」と言われる子どもは該当しない場合があるのです。
児童手当で損?
子どもが生まれたら、0歳から中学卒業まで児童手当がもらえます。ただし、ここに年齢のカラクリが隠れています。
児童手当の仕組み
児童手当とは、内閣府が児童の健やかな成長を目的として、0~3歳未満は一律1万5,000円、3歳~小学校卒業までは1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は一律1万円が支給されます。(所得制限以上の家庭は一律5,000円。)
もし、児童手当をずっと貯蓄していくと中学卒業までに約200万円貯めることができ、学費の準備資金として利用することができます。
早生まれは1年分もらえない?
ここで、注目したいのが児童手当をもらえる期間です。
児童手当は子どもが生まれた月から中学を卒業するまでの「年度末」までもらえます。 つまり、もらい始める月はバラバラなのにもらい終わるゴールは一緒というわけです。
もし、同じ学年でも4月生まれの子どもと3月生まれの子どもでは、約1年近く児童手当をもらう期間が違うということになります。この場合、児童手当をもらえる金額が、1万円×11カ月=11万円少なくなる計算になります。
扶養控除で損?
扶養控除とは、14種類ある所得控除の中の1つで、扶養親族がいる場合に受けることができます。控除額は16歳以上(高校生)が38万円、19歳から23歳未満(大学生)が特定扶養控除として63万円となっています。
扶養控除の仕組み
扶養控除を受ける時の年齢についてみていきましょう。
先ほどわかりやすくするために「高校生」や「大学生」とお伝えしましたが、扶養控除を受ける年齢は「暦年」として、その年の12月31日の時点での年齢で考えます。
早生まれの高校生の場合、高校1年の12月31日の時点ではまだ15歳なので扶養控除を受けることができません。
では、早生まれの子どもが22歳になる12月31日はどうなのでしょうか。子どもがストレートに大学を卒業し就職をしたとすると、ほとんどの場合103万円以上の収入を得ると思われます。そのため、早生まれの子どもが22歳になった12月31日は扶養控除の対象外になることが多いです。
つまり、4月~12月生まれの子どもがいる家庭は38万円の扶養控除が3回と63万円の特定扶養控除が4回受けられますが、早生まれの子どものいる家庭では、38万円の扶養控除が3回と63万円の扶養控除が3回となります。
また早生まれの子どものいる家庭では、子どもが大学1年生の時の扶養控除が38万円しか受けられないことになります。
どのくらい損するの?
これによって、どのくらいの金額が損になるかは、収入によって税率が違ってきますので一概にはいえません。
仮に所得税率が10%だと仮定すると、特定扶養控除では63万円×10%=6万3,000円の損になります。
また住民税は控除額が45万円で税率が一律10%なので、45万円×10%=4万5,000円の損になります。
所得税と住民税を合わせると約11万円損をするということになりますね。
このように、早生まれの場合、児童手当と扶養控除を合わせると約20万円も控除額が少なくなるので損となることがわかりました。
とはいえ、子どもは授かりもの。
早生まれの子どもを授かった場合は、このような制度の仕組みを知っておくことで、事前に教育費の準備の計画を立てることができるのではないでしょうか。
(※本ページに記載されている情報は2019年11月6日時点のものです)