医療費控除を使って、税金の一部を取り戻しましょう!
ここでは医療費控除制度の概要や、明細書や領収書等の扱い方などについて解説します。
さらにセルフメディケーション税制や、ふるさと納税制度との関係についてもわかりやすくまとめておきます。
きっと確定申告のときには、サラサラっと手続きができるようになりますよ。
医療費控除の対象となるのはどれ?
2019年10月18日
医療費控除の対象になるものとならないものがある?
医療費控除制度とは、1年間に多くの医療費を支払った場合、所得控除が受けられ、結果として所得税や住民税が減額または還付されるという制度です。
今までに何度か控除を受けた方もおられるかと思いますが、医療費控除の対象となるものの考え方や必要な書類について、はじめから調べるのは手間がかかります。
ここでは医療費控除の対象や手続きに必要な書類、さらにはセルフメディケーション税制やふるさと納税との関係についても触れていきます。
医療費控除制度のしくみ
確定申告で医療費控除が適用されると、年末調整で納税が済んでいる方は所得税が還付され、住民税については、翌年6月から医療費控除の結果が反映されて安くなります。
この制度が適用できる範囲は、自分と生計を同じくする家族等です。この家族全体で一定額を超える医療費を支払ったときは、所得から差し引いて税金を計算することができ、結果として節税できます。
この一定額とは、所得金額が200万円以上の場合には10万円です。所得金額とは、12月頃に会社から受け取る 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」のことです。この金額が200万円以下の場合では所得金額の5%を超える額が所得より控除されます。
例えば、所得が300万円の家族の年間医療費が12万円だったとします。 医療費控除を適用すると、2万円(=12万円-10万円)が所得から控除されます。
多くの場合は先に支払った所得税である源泉徴収額の方が多いため、過払い分として還付されるのです。
医療費控除の対象となるもの
さて、この医療費控除の対象となる医療費にはどんなものがあるのでしょうか?
医療費控除の対象となるのは、「実際にかかった治療費」と、「治療のために必要な費用」です。
ここで判断に迷うのが、支払ったものが 「治療のために必要な費用かどうか」ということなのです。
例えば、美容のための歯科矯正であれば、「治療」とはなりませんが、子どもの歯科矯正やインプラント治療、レーシック手術などは医療費控除においては「必要な費用」とされています。
さらに治療のために通院でかかった交通費、入院中の食事代や部屋代なども医療費控除の対象です。ただし、より高いサービスを受けるために個室に移った場合の差額ベッドは必要とはみなされません。
しかしここで注意すべきは、 健康診断や病気予防のための費用は対象にはならないことです。
要するに、医療費控除の対象としては、常識で判断して治療に付随しない費用、余分な費用は対象外と考えましょう。
病院でなくても、整骨院などでマッサージや鍼(ハリ)に支払った費用でも、「治療目的」であれば対象です。
参考:(国税庁)医療費控除の対象となる医療費とは
医療費控除に必要な書類
では、医療費控除を申請する場合にどんな書類が必要なのでしょうか?
提出書類は、「医療費の明細書」「確定申告書」「源泉徴収票」「医療費通知」の4点 です。
このうち、源泉徴収票と医療費の通知は確認用で、記載が必要なものは医療費の明細書と確定申告書の2つです。
提出書類に病院の領収書が含まれていないのは、2017年の税制改正で医療費の領収書提出が不要となったからですが、保管は必要です。転記の際に確認書類として領収書も準備しましょう。
医療費の明細を記載するポイントは、まず健康保険組合等から届いた医療費通知を先に記入し、医療費通知に記載されていないものについては医療費の領収書をもとに医療費の明細欄に記入していきます。
控除額の計算欄に書きこめば、所得から控除される医療費が計算されます。
また、確定申告書においては第一表にも第二表にもそれぞれ⑪の欄に医療費の明細書から転記するだけです。
セルフメディケーション税制やふるさと納税との関係
セルフメディケーション税制とは
医療費控除の特例として2017年から「セルフメディケーション税制」が始まりました。
セルフメディケーション税制とは、定期健康診断などを受けており、市販薬のうち指定の医薬品について年間12,000円を超えて購入すると所得控除を受けることができる制度です。医療費控除との併用はできませんので要注意ですが、医療費控除を受けるほどでない家庭では、セルフメディケーション税制で節税できます。
薬代は、領収書やレシートにもよりますが、原則消費税込みで考えて問題ありません。
この税制の適用には、健康の保持増進、病気の予防に取り組んでいることの証明が必要なので、健康診断などの結果通知を使用します。
申請の際は、医薬品を購入したときの領収書にこの税制の対象となる印がありますので、その印を元に明細欄に記入します。明細書の書き方は、医療費控除と似ていますがこの税制専用の明細書があります。
参考:(国税庁)セルフメディケーション税制の明細書
ふるさと納税との関係
ふるさと納税の手続きには「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2つがあります。
ワンストップ特例は確定申告をしない人にはとても便利です。
でも、医療費控除を受けるためには確定申告が必須であるため、ふるさと納税でワンストップ特例を使っても無効となってしまいます。医療費控除を申請するときは、確定申告書の「寄付金控除」欄にふるさと納税の金額を記載することを忘れないようにしましょう。
参考:(国税庁)注意喚起
いかがでしたか?
医療費控除の対象期間とは、その年の1月1日から12月31日までとなります。
でも、書類不備で還付が遅れても5年間は有効です。そのときは、医療費の通知や領収書、源泉徴収票をなくさないように大切に保管しておきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年10月18日時点のものです)