最近よく聞く「ふるさと納税」。しかし、実態は『知っているけどまだやっていない。』人が7割。そして、実施している方の中でも『制度の趣旨がよく分からないままやっている。』という方が6割を占めています※。節税効果もある「ふるさと納税」。この仕組みをしっかり理解し、興味のある方は明日からでも利用していきましょう!
※株式会社トラストバンク発表「ふるさと納税に関する調査」より
正しく知って正しく使おう
ふるさと納税
2019年10月10日
「ふるさと納税」が生まれた背景
私たちがいただいているお給料。その中からは2つの税金が引かれています。1つが「所得税」。そしてもうひとつが「住民税」と言われるものです。 「所得税」とは所得に応じて国に納める税金ですが、「住民税」はその年の1月1日時点で居住している住所地に納める税金で、市町村および都道府県に対して納めています。 今の日本では地方で生まれ育ち、そこで教育や医療などの行政サービスを受けていたとしても、社会人になった時には都市部へ出てしまい、そこで税金を納めるというケースが多くみられます。そうなると結果として、地方の住民税は減収となり、代わりに都市部の住民税の収入は増収となってしまいます。
そこで、「育ててくれたふるさと(地方)に、自分の意志で貢献できる制度を作ろう!」という考えから生まれたのが「ふるさと納税」の制度です。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税を行う場合は、まずふるさと納税を受ける場所を決めます。もちろん、その場所は自分の故郷ではなくても大丈夫です。場所を決めたら、そこに寄附を行います。そしてふるさと納税を受ける場所から返礼品をもらうという仕組みになっています。
つまり、ふるさと納税とは「納税ではなく寄附」だということをしっかりと理解してください。本来であれば国と今住んでいる市町村に支払う税金が、寄附という形でふるさと納税を受ける場所へお金が流れるということです。
その節税効果は?
では、ふるさと納税にはどのくらいの節税効果があるのでしょうか? 例えば、ふるさと納税を受ける場所を決めて、そこに年間50,000円を寄附したとしましょう。その場合、自己負担となる2,000円を差し引いた48,000円が、その年の所得税および翌年6月~翌々年5月の住民税から引かれることとなります。内訳は所得税が約10,000円。住民税が38,000円です。 ただし、寄附金の限度額や自己負担の額は所得や家族構成によって異なりますので注意してください。
ふるさと納税の問題点
寄附する側のモラルが重要視される
ふるさと納税は「寄附」ではあるものの、納税者の感覚からすると「税金を先払いする」イメージだと思ってください。ただこれは、言い換えるならば税金を納めてもらっている国や市町村及び都道府県側からすると『地方と都市部のお金の奪い合い』ということもできます。なぜなら、ふるさと納税の返礼品にはその地方の特産品が用意されています。そこがふるさと納税の魅力でもあるわけなのですが、その商品に人気が集まり、たくさんのふるさと納税を集められる地方は各段に増収につながります。
その分、都市部に住んでいる人がその地方に寄附することで税金が流れるわけなので、当然ながら都市部の税収は減収となるわけです。しかも競争はどんどん過熱し、ある地方では返礼品を商品券で・・・という事態にまでなってしまいました。
その結果、現在では
・返礼品を強調してふるさと納税を奪ってはならない。
・金券や資産性の高いものを返礼品の対象にしてはならない。(転売禁止のため)
・返礼品の金額割合は3割以下とする。
という通知が総務省から出されています。ただし、この通知には罰則も期限も設けられていないため、まだまだ特産品の魅力を大きく謳っている地方も存在しているようです。寄附をする際には寄附をする側のモラルも必要になってきているということですね。
是非知っておいてもらいたい「ワンストップ特例」
併せて知っておきたいメリット・デメリット
ふるさと納税を利用した際には必ず確定申告を行う必要がありました。しかし、ある要件を満たしている人に対しては、確定申告をしなくてもよいという特例が設けられました。これが「ワンストップ特例」といわれるものです。 この特例は ・ふるさと納税先の地方自治体数が5以下であること ・そもそも確定申告の必要がない人 がふるさと納税を利用する際、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出すれば、確定申告は不要になるというものです。
この「ワンストップ特例」の魅力はなんといっても確定申告をせずに済むことですが、デメリットもあります。
・申請書については寄附の都度送る必要がある
・マイナンバーカード(通知カードでも可)と本人確認書類のコピー添付が必要
ということです。 特例は受けたいけど、その都度申請するというのはちょっと面倒な気もしますよね。 ただ、最近ではふるさと納税を利用する際、サイトから申し込めばその地方自治体から申請書と返信用封筒を送ってもらえることもあるようです。
魅力と共に、まだまだ課題も残されているこの「ふるさと納税」ですが、
・寄附をするときに使い道(例えば福祉や教育、町おこしなど)を指定できる
・災害支援として寄附できる(返礼品は無し)
という使い方もあります。なにより一番の魅力は「寄附を通じてさまざまな地域を応援でき、返礼品を通じて日本の地方の良さを再確認できる」というところではないでしょうか。この制度の趣旨をきちんと確認し、上手に活用していきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年10月10日時点のものです)