働くプレママの大きな関心事といえば、産休と育休ですよね。
さて、産休・育休中に損しないために夫の所得税や住民税にかかわる配偶者控除制度について知っておいたほうがよいということをご存じでしょうか。
共働きの賢いプレママが知っておきたい、産休・育休中の配偶者控除制度活用についてご紹介します。
産休・育休中に損しない!共働きのプレママが
知っておきたい配偶者控除制度とは?
2019年9月24日
配偶者控除の対象になれるかも
配偶者控除は自分に関係ないと思っていた?
あなたは、103万円の壁とか201万円の壁などのキーワードを聞いたことがありますか?夫の扶養に入ることなど気にせず、しっかり稼ぎたいと思っている共働きの女性には縁がないと思われがちな税金の壁のキーワードです。
夫の(所得税法上における)扶養に入れる範囲で軽めに働きたいと思っている女性や専業主婦にメリットのある制度として有名な配偶者控除と配偶者特別控除。
その配偶者控除が適用される収入(所得)金額の上限を表すキーワードが収入103万円(所得38万円)です。そして、配偶者特別控除適用の上限を表すキーワードが収入201万円(所得123万円)となります。
出産手当金や育児休業給付金は課税対象外
さて、夫の所得への税金の控除にかかわる配偶者控除や配偶者特別控除ですが、産休、育休を取得するママにも適用になる可能性があります。
産休や育休中には出産手当金や育児休業給付金がもらえますよね。そのため、それなりの金額のお金をもらえるのだから夫の扶養には入れないと思い込んでいませんでしたか。
実は、健康保険からもらえる出産手当金や育児休業給付金は所得税の課税対象外です。(ただし、社会保険の扶養の判定には含まれます。)出産手当金や育児休業給付金は、夫の控除対象配偶者となるかどうかを判定するための所得金額に含まれないのです。
課税される手当とされない手当
一般的に支給される手当としては、残業手当や休日手当がよく知られていますよね。これらは所得税の課税対象となっている手当です。そのため、出産手当金や育児休業給付金が課税対象外であることに気がつかなかった、わかりにくいと感じてしまう人がいるのも自然なことかもしれません。
所得税が課税されない、ほかの手当としては通勤手当(上限金額はあります)が有名ですが、出産手当金や育児休業給付金も課税されない手当(給付金)と知っておきましょう。
どのくらいおトクになる?
夫の合計所得金額が1,000万円以内という条件も
出産手当金や育児休業給付金が所得に含まれないと、産休や育休を取得する年に夫の扶養に入れる(所得税の控除対象配偶者になれる)可能性が高まりますよね。ただし、夫の所得金額が1,000万円を超えている場合は配偶者控除を受けられないという条件もあるため注意しましょう。
また、1,000万円以下であっても夫の所得金額により受けられる配偶者控除額は変わります。妻の収入が103万円(所得38万円)以下の場合で、夫の所得税算出の際に受けられる配偶者控除額は下記のとおりです。
【夫の所得金額:受けられる配偶者控除額】
・900万円以下:38万円
・900万円超950万円以下:26万円
・950万円超1,000万円以下:13万円
おさらい:配偶者控除制度とは、納税者に控除対象配偶者がいる場合に所得税(と住民税※)で控除が受けられる制度のこと
※住民税の分については後で説明
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm)
収入103万円超の場合は配偶者特別控除
所得の計算は1月1日から12月31日の期間ごとで行うため、産休・育休を何月から取得するかで収入(所得)が変わりますよね。
妻の年間収入が103万円(所得38万円)を超えても201万円(所得123万円)以下であれば、配偶者特別控除という制度で夫の所得税における控除を受けられます。その際には夫の所得金額(900万円以下、900万円超950万円以下、950万円超1,000万円以下の3通り)と妻の所得金額の組み合わせによって控除額が変わり、1万円から最大38万円の控除を適用してもらえる仕組みです。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm)
所得税分と住民税分を合わせた節税額は?
控除の金額が妻と夫の所得金額によって変わることがわかったところで、具体的な節税金額を見ていきましょう。
例えば妻の所得金額が38万円以下で夫の所得金額が330万円超695万円以下の場合、節税できる金額は下記のとおりです。この場合(所得330万円超695万円以下)の所得税率は20%です。
・所得税における配偶者控除額38万円×20%=7.6万円
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
また、前年の所得金額で決まることになっている住民税にも配偶者控除の制度があります。住民税の配偶者控除額は33万円です。道府県民税が税率4%、市町村民税が6%の、合わせて10%の税率であることから、節税できる金額は下記となります。
・住民税における配偶者控除額33万円×10%=3.3万円
出典:総務省(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran01.html)
所得が500万円や600万円くらいの夫がいるママの場合、所得税と住民税の配偶者控除による節税分がまとめて10.9万円にもなるということですね。
どんな手続きが必要?
行政の手続きは一般的に申請主義といわれ、必要な書類を提出することで節税などの恩恵を受けられるケースが多いですよね。配偶者控除を受けたい給与所得者の場合は、年末調整のときに会社から配布される「給与所得者の配偶者控除等申告書」と「給与所得者の扶養控除等申告書」に必要事項を記載して提出すればOKです。
このときに記載するのは、住んでいる市区町村名や氏名、配偶者氏名、合計所得金額の見積額などです。
年末調整で適用を受けていない場合は確定申告で申告すればOK。また、夫が個人事業主の場合も確定申告のときに配偶者控除の記載をすればOKです。
待望の子どもを迎える日々の中、これまで以上にお金の話題に敏感になっている人もいるでしょう。少しの手間でおトクな節税ができるため、積極的に配偶者控除・配偶者特別控除制度を活用してみてください。
(※本ページに記載されている情報は2019年9月24日時点のものです。)