2019年10月1日から消費税増税により、消費税率が引き上げられます。
今回の改正では、消費税率が8%から10%へと引き上げられるだけでなく、軽減税率が導入されます。
今回の消費税率の引き上げでは、東京オリンピックまでの9か月間に限り実施されるポイント還元も合わせて始まります。私たちのお金はどうなるのでしょうか?
ここでは私たちが消費者として最低知っておくべきラインを簡潔に説明します。
いよいよ10月1日から!
消費税の軽減税率でなにが変わる?お金はどうなる?
2019年9月26日
消費税改正でなにが変わるの?
今回の消費税改正で一番変わると言えば、軽減税率が導入され、8%と10%の複数税率になることでしょう。
軽減税率とは消費税の税率を特定の商品に限り低くすることです。今回の改正では、「飲食料品」と「週2回以上発行の新聞」が軽減税率の対象となり、8%に据え置かれることとなります。
ただし、酒類、医薬品や外食などは対象外となり10%となります。
テイクアウトとデリバリー(宅配)については8%ですが、同じ料理や食品でも店内での飲食は10%となります。飲食店からすれば、人件費のかかるデリバリーは8%、イートインでは10%ということとなります。
ポイント還元ってなに?
ポイント還元のしくみとは?
ポイント還元とは消費税改正と同時に開始されるキャッシュレス・消費者還元事業のことです。
ポイント還元を利用すると、消費者が中小の小売店や飲食店などで電子マネーなどのキャッシュレス決済を使うと、支払額の5%又は2%がポイントなどの形で戻ってきます。
例えば、1,000円のボールペンは税込1,100円となります。しかし、中小企業や個人経営の対象店にてキャッシュレス決済で支払った場合は、5%のポイント還元が受けられます。このときの還元額は、
1,100円 × 5% = 55円
となります。55円が還元されるので実際の負担額は、
1,100円 - 55円 = 1,045円
となります。
同様に、1,000円のチョコレートを買った場合は軽減税率により税込1,080円となります。 そして、キャッシュレス決済の対象店での還元額は、
1,080円 × 5% = 54円
となります。54円が還元されるので実際の負担額は、
1,080円 - 54円 = 1,026円
となります。
また、コンビニやファストフードなど大企業のフランチャイズ加盟店などでは、ポイント還元率は2%となります。したがって、先ほどの1,000円のボールペンをコンビニで買うと、ポイント還元で実際の負担額は1,078円となります。
なお、還元のタイミングですが、大手コンビニなどで利用した場合には即時還元されます。そのため上のボールペンの例では1,000円の商品に対し1,045円の決済額なので、実質消費税率は4.5%となります。クレジットカードでは引落時に還元額が考慮されて引き落とされます。
通常のケースでは、次回に還元を受けたポイントを使うこととなります。
利用できるのは2019年10月1日から2020年6月30までの9か月間だけですので、ポイントはすぐに利用するようにしましょう。
利用できるキャッシュレス決済とは?
ポイント還元に利用できるキャッシュレス決済とは、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどを使用して支払をしたものであり、下記サイトに一覧がありますので、自分のカードや電子マネーがあるかどうかを確かめてみましょう。
参考)経済産業省 キャッシュレス決済手段の検索
ポイント還元の対象となる店とは?
これらのポイント還元はすべての店でなされるわけではなく、中小企業者等でキャッシュレス決済ができて、事務局の審査を通過した加盟店が対象となります。コンビニやファストフードなど大企業のフランチャイズ加盟店でも対応できますが、大手直営コンビニでは各社の「自己負担」で2%のポイント還元となるようです。ちなみに、実店舗だけでなくオンラインショッピングでも同様のポイント還元をうけることはできます。
支払手段をキャッシュレス決済に限る理由は、キャッシュレス決済の普及を促すことで、店舗側の生産性を高めることにあるようです。
ポイント還元ができるお店一覧や対象店舗のマークについては、下記を参照ください。
参考)経済産業省 キャッシュレス・消費者還元事業加盟店一覧
なぜ?軽減税率導入の背景とは?
逆進性の問題
消費税は、所得が高い人ほど所得全体のうち消費に回す割合が低くなるため、消費税の負担割合は低くなり、逆に、所得の少ない人ほど税の負担割合は高くなるという「逆進性」という性質を持っています。
もともと税金はその人の所得に応じて負担するべきであるという考え方があります。所得税などは、所得に応じて税率が上がる累進課税というしくみを持っています。
よって、消費税の逆進性という特性は、しばしば税負担の公平性の観点から問題視されることがあります。今回の軽減税率の導入は、政府がこの逆進性の緩和を意図したものなのです。
実際、中小企業庁が業者向けに作成したパンフレットには「低所得者に配慮する観点から軽減税率制度が実施されます」と書かれています。
しかしながら、食料品に対する軽減税率の設定は所得の高い人にも適用されるため、逆進性とその緩和策をいかにするかは非常に悩ましい問題なのです。
飲食料品の税率 まぎらわしい例
飲料における税率の例
飲食料品は8%とされる中で、まぎらわしいものが多数存在します。例えば、飲み物だけでも次の表のようにいくつもの例があります。
軽減税率8% | 標準税率10 % | |
ノンアルコールビール | ビール、発泡酒 | |
ミネラルウォーター | 水道水 | |
主な例 | 食用氷 | ドライアイス |
みりん風調味料 | みりん | |
ウィスキーボンボン | ウィスキー | |
清涼飲料水(栄養ドリンク) | 医薬品、医薬部外品 |
初めての軽減税率導入ですので、当初は混乱も予想されます。
財務省では、2019年8月に「消費税率引上げについて」というサイトを開設しました。税のしくみがわかりやすく説明されていますので、この機会に読んでおくのもいいかもしれません。 参考)財務省 消費税率引上げについて
(※本ページに記載されている情報は2019年9月26日時点のものです)