返礼品がおトクだということで話題になったふるさと納税ですが、2019年6月から規制が始まりました。ふるさと納税のメリットにスポットが当たりがちですが、デメリットも知って上手に利用したいですね。今回はふるさと納税のデメリットについてもお伝えしていきます。
ふるさと納税にデメリットってある?
メリット・デメリットを知って賢く利用
2019年8月19日
そもそもふるさと納税って?
「ふるさと納税」と聞くと、「2,000円自己負担するだけで豪華な返礼品がもらえておトク」というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。でも、「ふるさと納税」はそれだけではないのです。
キホンは「社会貢献」
ふるさと納税の制度が始まったのは2008年です。地方に住む人が減ったため、その地域では住民税が減少するという事態を防ぐことが目的で始まった制度です。
ちなみに「ふるさと」という名前がついていますが、自分の生まれ故郷に限らず日本のどの自治体にも寄附をすることができます。
応援したいと思う自治体に寄附をすることで自治体の収入が増えると、その地域に住む人たちの生活が便利になるという訳なのですね。
このふるさと納税が一般的に知られるようになったのは、2011年の東日本大震災がきっかけでした。被災地に寄附をして応援しよう、という人がたくさん現れたのです。
このように、 もともとふるさと納税は社会貢献が目的でした。
「おトク」と言われるワケ
では、なぜふるさと納税が「おトク」だと話題になるようになったのでしょうか。
寄附をしてくれた人にお礼として地場産品などを送る自治体が増えてきました。これが、最近話題になっている「寄附をすれば返礼品がもらえる」という仕組みです。
そしてもう1つは、寄附をしたら税金が安くなります。
国や地方公共団体、一定の公益法人に2,000円を超える寄附をした場合、住民税や所得税の納税額が少なくなります。例えば、1万円を寄附すると1万円から2,000円を引いた8,000円が控除されます。これを「寄附金控除」といい、ふるさと納税でも利用できます。
つまり、ふるさと納税をしたら自己負担2,000円で返礼品がもらえておトクということで話題になったのです。
ふるさと納税、デメリットってあるの?
このようにおトクなイメージがクローズアップされがちのふるさと納税ですが、デメリットはあるのでしょうか。ここではふるさと納税を利用するに当たり、気をつけておきたいことをお伝えしていきます。
返礼品規制
先ほど、ふるさと納税をしたら返礼品がもらえるとお伝えしました。
自治体としたら、自分の地域にたくさん寄附をしてもらいたいという思いがあります。その結果、地場商品ではないパソコンなどを返礼品にしたり、還元率が高いAmazonギフト券や旅行券などを返礼品にしたりする自治体が現れました。このような一部の自治体に寄附をする人が集中し、ほかの自治体は寄附が減るという事態となりました。
これを問題視した総務省は、 2019年6月の法改正で返礼品を規制することにしました。
大きく変わる点は
1.返礼品は寄附の3割以内
2.返礼品は地域の地場産品に限られる
の2点です。
また、再三忠告をしても改善が見られなかったとしてふるさと納税の制度から除外された自治体は
1.静岡県小山町
2.大阪府泉佐野市
3.和歌山県高野町
4.佐賀県みやき町
の4つの自治体です。
返礼品目的でふるさと納税を利用していた人は、昨年までの高額な返礼品をもらうことはできなくなったということを知っておいてくださいね。
確定申告が必要?
先ほど、ふるさと納税をしたら寄附金控除が利用できるとお伝えしました。そのためには、本来は確定申告をする必要があります。
でも、年末調整で済む会社員に向けて2015年から「ワンストップ特例制度」が導入されました。
ワンストップ特例制度は、寄附をした自治体に「寄附金控除に係る申告特例申請書」を提出することで自動的に住民税が安くなる制度です。
でも、ワンストップ特例制度を利用できるのは寄附をする自治体が5ヵ所以下の場合です。 5ヵ所を超える自治体に寄附をしたい人は確定申告が必要です。
また、ワンストップ特例制度は確定申告を行わない人を対象とした制度です。医療費控除を受ける場合や、住宅ローン控除の初年度は確定申告をする必要があるので、ワンストップ特例制度を利用することはできません。
寄附をする時に確定申告はしないでいいか確認して利用しましょう。
節税効果がない人もいる
今まで見てきたように、ふるさと納税で寄附金控除が利用できるのは税金を納めている人です。
つまり、専業主婦や非課税世帯の人はもともと税金を納めていないので控除する税金がありません。
また、今年3月で退職した、など今年1年間の収入が少ないことが予想される場合も注意が必要です。
自己負担が2,000円で済む寄附金の目安は総務省のHPで確認できます。
ふるさと納税を利用して住民税を節税できるということは、皆さんが住んでいる自治体の税収が減るということです。ふるさと納税を、返礼品ありき、節税ありきだけで考えるのではなく、「社会貢献」という趣旨をふまえて上手に利用してくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2019年8月19日時点のものです)