これからやってくる超高齢化社会では、介護の話抜きには語れません。2000年4月に介護保険制度がスタートして20年近く経ちます。介護保険料はいつから払うの? 保険料はいくら? どうやって払うの? 介護が必要になったらどうするの? 等々、介護保険制度のたくさんの疑問にお答えします。
介護保険料っていつから払うの?
知っておきたい介護保険制度
2019年8月11日
介護保険料はいつから払う?
介護保険は、介護が必要になった本人と家族にかかってくる介護費用の負担を軽減するために、社会全体で支えあうことを目的とした制度です。そのため否応なく、40歳になると介護保険料の支払いが始まります。厳密に言うと、40歳の誕生日の前日から支払いが発生するため、誕生日が1日の人は前月から徴収されます。そしてその支払いは一生続きます。
支払いの方法は、健康保険と一緒に徴収されるため、意識しない人がほとんどだと思います。
会社員であれば、保険料は会社が半分負担してくれます。
介護保険料はいくら?
介護保険料がいくらなのか気になりますね。
その前に、介護保険の仕組みについて知っておきましょう。
介護保険制度の対象者は、65歳以上の第一号被保険者と40歳から64歳までの第二号被保険者に分かれ、それぞれ保険料と給付の条件などが異なります。
保険料は、現役世代と年金世代で同じというわけにはいかないので当然異なってきます。
第二号被保険者の保険料
まずは40歳から64歳までの第二号被保険者の保険料です。
加入している健康保険組合によって違いがありますが、以下の式で算定されます。
介護保険料=標準報酬月額および標準賞与額×介護保険料率
たとえば、協会けんぽの場合、標準報酬月額が30万円であれば、30万円×1.73%(介護保険料率)=5,190円となります。労使折半なので実際の負担はこの半分です。
自営業者などが加入する国民健康保険の場合は、各自治体によって違いがあり、前年の所得などを基準に算定されます。支払い方法は国民健康保険料に上乗せして納付します。
第一号被保険者の保険料
65歳になると介護保険の第一号被保険者になります。多くの場合、会社を退職し、国民健康保険の加入者となりますが、介護保険料については、国民健康保険料とは別に65歳の誕生月から個人ごとに納付します。
保険料は自治体によって異なりますが、所得に応じて保険料率を変えることで、収入に見合った負担としています。
保険料率は所得金額を基準として段階を設定し、国の指針では、真ん中の段階を1として、0.3倍~1.7倍までの9段階を設けています。自治体によってはさらに細かく設定しているところもあります。
納付方法は原則、年金からの天引き(特別徴収)となりますが、年金受給額が年18万円未満の場合は、口座振替や銀行、コンビニなどから納付する形の普通徴収となります。
どんな場合に利用できるの?
受給の条件
介護保険が受給できるための条件は、第一号被保険者と第二号被保険者では異なります。
65歳以上の第一号被保険者は、要介護状態または要支援状態になった時に介護保険が受給でき、介護となった原因は問いません。
40歳から64歳までの第二号被保険者の場合は、老化に起因する疾病「特定疾病」によって、要介護(要支援)状態になった場合にのみ受給できます。
特定疾病とは、以下の16の疾病です。
1.がん(末期)
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症
4.後縦靱帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護サービスの自己負担
要介護認定を受けると、介護保険で居宅サービスや施設サービスを受けることができます。原則利用者の負担は1割ですが、2017年介護保険法改正により、第一号被保険者で年金収入等が280万円以上340万円未満の場合は2割負担、340万円以上の場合は3割負担となりました。
また、介護の度合いによって、支給されるサービスの限度額が設けられており、介護度が重いほど、限度額は大きくなります。限度額を超えた金額は全額自己負担となります。
<支給限度額(1ヵ月あたり)>
要支援1:50,030円(1割負担5,003円)~要介護5:360,650円(1割負担36,065円)
1割負担といえども、度重なる利用などで自己負担額が高額になる場合があります。そのような場合には「高額介護サービス費」が利用できます。
月の自己負担額の合計が、所得に応じて区分された上限額を超えた場合に、その超えた分が介護保険から支給されます。
また、「高額医療・高額介護合算療養費制度」というものもあり、1年間における医療保険と介護保険の自己負担額が著しく高額になった場合に、2つを合算して基準額を超えた場合に、その超えた金額が支給されます。
これらの制度によって、介護が必要となった場合の経済的な負担を軽減しています。
まとめ
介護保険制度はこれからやってくる超高齢化社会において、なくてはならない制度であり、利用者も年々増え続けるでしょう。そのため、40歳になって、介護保険料を支払い始めた頃は、あまりピンとこなかったとしても、これらの保険料によって、介護保険制度が成り立っていることは間違いありません。近い将来、親が介護状態になる、遠い将来、自分の介護が必要となるなど、あまり考えたくない未来であっても、社会全体で支えあう介護保険という仕組みによって、負担が軽減され、安心して生活できるようになれば、それほど悲観することはないように思います。
今の保険料負担が誰かの役に立っていて、将来の自分にも返ってくるかもしれないと思うと、介護保険料を納めることがとても大事に思えてきますね。
(※本ページに記載されている情報は2019年8月11日時点のものです)