2019年度税制改正により、自動車税が減税されることになりました。
若者の車離れが進んでいるといわれますが、車が必要な場所に住んでいる場合はそうもいきません。
車を使っていると、ガソリン代が高くなった低くなったという状況に敏感になるものですよね。しかし、車にかかる税金のことはよくわかっていないという人がいます。
車にかかる税金の基礎知識と2019年度税制改正による自動車税減税の概要についてご紹介します。
うれしい自動車税減税!?どのくらい安くなる?
2019年度税制改正-
2019年4月23日
車にかかる税金
車は私たちの生活を便利にしてくれますが、維持費がかかります。その維持費の一つとして税金が挙げられますね。
車にかかる税金が私たちの家計に影響を与えているわけですが、支払いのタイミングが来たら払うくらいの認識しか持っていない人もいます。例えば大きい車よりも小さい車の税金のほうが安いらしい、エコな車だと税金が安くなるらしいといった具合です。
まず、車にかかる税金について簡単に整理しておきましょう。
【車にかかる税金の種類】
・自動車税、軽自動車税(車を所有している間、毎年納める)
・自動車取得税(車を取得したときに納める)
・自動車重量税(車を取得したときと車検を受けるときに納める)
自動車重量税のみ国税で、ほかは地方税です。このほかに消費税もかかっています。
自動車税減税の効果はどれくらい?
1,000円から4,500円程度の減税に
さて、2019年度税制改正により自動車税が恒久的に減税されることになりました。自動車税とは、車を保有している人が都道府県に毎年納める税金のことです。
恒久的な減税は家計にとってありがたいものですが、今回の減税の対象は消費税が10%になる2019年10月1日以降に新車新規登録を受けた車のみです。残念ながら、その前から保有している車には適用されません。
減税されることになった自動車税につき、総排気量別の金額を見ていきましょう。
【自家用乗用車の総排気量:消費税増税前の自動車税:消費税増税後の自動車税:減税額】
・1,000cc以下:29,500円:25,000円:4,500円
・1,000cc超1,500cc以下:34,500円:30,500円:4,000円
・1,500cc超2,000cc以下:39,500円:36,000円:3,500円
・2,000cc超2,500cc以下:45,000円:43,500円:1,500円
上記で省略している2,500cc超の車については、それぞれ1,000円の減税額となっています。
軽自動車税は変わらない
なお、先ほどご紹介した自動車税の対象には軽自動車が含まれていません。軽自動車には自動車税ではなく軽自動車税がかかります。それは市町村に納める税金です。
私たちが日常で使用する車には、軽自動車と小型自動車、普通自動車という種類があります。それぞれの排気量の違いは下記のとおりです。
・軽自動車:660cc以下
・小型自動車:660cc超2,000cc以下
・普通自動車:2,000cc超
2015年4月以降に最初の新規検査を受けた軽自動車の軽自動車税は10,800円ですが、それ以前の場合だと7,200円となっています。最初の新規検査から13年経過した軽自動車の場合は税額が上がり12,900円となります。
出典:総務省(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/102384.html)
軽自動車税については、今回の2019年度税制改正による変更がありません(後ほどご紹介するグリーン化特例は2年延長されました)。
エコな車だと税金が安い?
自動車取得税廃止後は環境性能割が導入される
次に、自動車重量税と自動車取得税の話にうつりましょう。自動車重量税は車両重量が上がれば上がるほど税額が上がる仕組みとなっている税金です。自動車取得税では車の取得価額に3%(軽自動車は2%)が課されています。
これらについても2019年度税制改正で変更が行われ、残念ながらエコカー減税の軽減割合の一部が縮小されます。
自動車重量税については、今回の改正が2019年5月1日から2021年4月30日まで適用されます。自動車取得税については2019年4月1日から9月30日まで適用され、その後自動車取得税自体が廃止されます。
なお、自動車取得税廃止後は環境性能割という税が新たに課されます。車を購入する年の自動車税(軽自動車税)に上乗せされる税です。電気自動車や燃費基準が+10%の車は非課税となりますが、その他の車には環境性能に応じて1%、2%、3%が課されます(軽自動車税環境性能割の場合は非課税、1%、2%の区分)。ただし、2019年10月1日から2020年9月30日までは税率1%分が軽減されます。
エコカー減税は初回車検時まで
先ほど出てきたエコカー減税と、グリーン化特例の似たような雰囲気を持つ名称の二つの制度の違いについて、続けてご紹介していきましょう。エコカー減税についてわかりやすくまとめると次のとおりとなります。
【エコカー減税とは】
・排出ガス性能や燃費性能が優れた車が対象の減税制度
・自動車重量税と自動車取得税を免税・軽減してくれる
・新車を新規登録するときと初回の車検時に減税してもらえる
排出ガス性能とは、車から排出されるガスに含まれるNOxやPMなどの有害物質がどのくらい少ないかということ。燃費性能については、車を利用するときのガソリン代等に直結するためご存じの方も少なくないでしょう。燃費基準達成レベルを4段階で判定する仕組みとなっています。
車ごとのそれぞれの性能について、国土交通省のHPで認定や燃費の様子を確認できます。
また、車に貼られている認定ステッカーの有無や車検証の内容などでも低排出ガスや低燃費の認定を受けているかどうか確認できます。燃費基準を達成していると車検証の備考欄に達成レベルが記載されています。
グリーン化特例は自動車税と軽自動車税にかかわる制度
グリーン化特例とは、自動車税と軽自動車税にかかわる税制の特例措置のことです。新車を新規登録した翌年の1回のみ適用されます。
排出ガス性能と燃費性能に優れた車は、自動車税あるいは軽自動車税を軽減(25%、50%、75%)してもらえます。適用期間中に新車新規登録を行った車が対象で、翌年度分に特例措置が適用される仕組みです。一方、新車新規登録から一定年数(11年超や13年超)を経過した車は15%程度重課されてしまいます。
自動車税のグリーン化特例につき、2021年3月まではガソリン車やLPG車も適用対象となっていますが、2021年度と2022年度は電気自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル乗用車のみに限定されます。
軽自動車税のグリーン化特例は、2021年度と2022年度から電気軽自動車と天然ガス軽自動車のみに限定されます。
車にかかる税金には複数の種類があり、車の種類や新車登録からの年数、性能などによって税額が変わります。○○廃止とか○○導入と一口にいっても、車によって減税になったり増税になったりするわけですね。経済や社会のグリーン化の流れの中で、エコな車への優遇は今後も続いていくことでしょう。