2010年に始まった高校授業料無償化ですが、2014年には所得制限が加わり、名称も高等学校等就学支援金制度となりました。これによって、公立、私立を問わず、年収910万円(目安)未満の世帯には就学支援金が支給されます。また、私立高校はこれに加えて授業料軽減助成金制度も始まっています。子供をもつ親にとっては大変ありがたい制度ですが、よくわからないという声も耳にします。そこで、これらの制度をやさしく解説します。
高校授業料無償化ってなに?
知っておきたい教育費のこと
2019年3月25日



高校授業料無償化ってなに?
公立高校、私立高校を問わず、年収約910万円未満(目安)の世帯(※)の生徒の授業料相当額を国が支給する制度です。2014年度から「高等学校等就学支援金制度」と称して始まっています。
※市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額が50万7,000円未満の世帯
支給される金額は全日制の高校で月額9,900円が支給限度額となっており、授業料が限度額に達しない場合はその授業料分が支給額となります。
支給額は国から学校に直接支払われるので、公立高校であれば、授業料が不徴収となります。そのため、授業料無償化と言うわけです。
さて、ここで疑問が出てきます。授業料の高い私立高校はどうなのでしょうか?
私立高校の授業料は?
先程の年収約910万円未満の世帯であれば、私立高校も同額補助されます。つまり、月額9,900円、年間で11万8,800円が支給されます。
仮に、年間の授業料が30万円だった場合、国から学校へ11万8,800円が支払われ、残りの18万1,200円は各家庭が負担することになります。
ただし、年収590万円以下(※)の世帯にはさらに、加算支給があります。
※市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額が25万7,500円未満の世帯に加算支給があります。この25万7,500円を、目安として年収で表すと590万円程度となります。
一定所得以下の世帯への加算支給
世帯の収入に応じて、月額9,900円を1.5~2.5倍した額を支給します。
年収の目安としては、350万円~590万円程度の世帯は1.5倍の加算となり年額17万8,200円、250万円~350万円程度の世帯は2倍の加算となり年額23万7,600円、250万円未満の世帯(非課税世帯)は2.5倍の加算となり年額29万7,000円が支給されます。
これによって、私立高校でも、年収に応じて、完全無償化、一部無償化を実現しています。
こうした私立高校生への支援制度は、各都道府県で行っており、自治体によって対象者や要件、支給額などに大きな違いがあります。
東京都の例を見てみましょう。
東京都の私立高校授業料無償化
東京都では2017年度から私立高校授業料の実質無償化を始めています。
先述した国が行う就学支援金と、東京都が行う授業料軽減助成金を合わせることで、実質授業料無償化、一部授業料無償化を実現しています。
対象者は東京都在住の高校生となっており、東京都に住んでいれば他県の高校に通っていても助成金を受けることができます。逆に言えば、他県に住んでいて、東京都の高校に通っている生徒は助成金を受けることができません。(その都道府県の制度によります)
所得の要件としては、目安として世帯年収760万円未満が対象となっています。
支給額は国からの補助と合わせて、東京都の私立高校の授業料の平均にあたる44万9,000円が上限となっています。
出典:都道府県別私立高校生への授業料等支援制度|文部科学省(PDF:452KB)
(すべての都道府県のグラフを見ることができます)
授業料以外の費用も支給
高校進学によってかかる費用は授業料だけではありません。教科書代、学用品代、通学用品代、教科外活動費、PTA会費、修学旅行費用などがかかります。
そこで低所得(非課税、生活保護)世帯を対象にした「高校生等奨学給付金」制度があります。授業料以外の教育費を援助する目的で以下の給付金を受給できます。
○生活保護受給世帯【全日制等・通信制】
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万2,300円
私立高等学校等に在学する者:年額5万2,600円
○非課税世帯【全日制等】(第一子)
国立・公立高等学校等に在学する者:年額8万800円
私立高等学校等に在学する者:年額8万9,000円
○非課税世帯【全日制等】(第二子以降)
国立・公立高等学校等に在学する者:年額12万9,700円
私立高等学校等に在学する者:年額13万8,000円
○非課税世帯【通信制】
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万6,500円
私立高等学校等に在学する者:年額3万8,100円
これらは国が決めている基準であり、実施している都道府県によって制度に違いがあります。受給を考えている方はお住まいの自治体に問い合わせてみてください。
年収800万円世帯は損する?
「就学支援金」は年収の目安として910万円程度を境にもらえる人ともらえない人に分かれますが、東京都や神奈川県、埼玉県などでは年収720~760万円を境に、さらに都道府県の支援金が加算される人、されない人に分かれます。
東京都では、その加算額は33万円ほどになるので、ちょっと多めに働いて、年収が760万円を超えてしまうとその金額がもらえなくなってしまうわけです。
世帯年収なので、共働きの場合、どちらかが仕事をセーブした方が得というケースもあり得ます。
ただし、あまりこの辺をこだわると、稼げるときに稼がなかったことで、今後の貯蓄額に影響してきます。大学はさらに学費がかかるので、長い目で見て損か得かを判断した方が良さそうです。
教育費の軽減に向けて、国や自治体による支援は活発化しています。今までは公立しか目指せなかったという人たちの選択肢が広がるきっかけになってほしいと思います。