自分には関係ないと思いはするけど、「え?あのコも?」と聞いて不安に感じるがんという病気。日本人の死因第一位ではあるものの、早期発見・早期治療をすることで死亡リスクは下げられると言われています。
そのために有効とされるのががん検診ですが、受診率はあまり高くないようです。
自分には関係ないと思っても、検診はきちんと受けておきたいものですね。
「がん検診」をいつから受ける?
気になる費用や助成を上手に利用する方法
2019年3月16日
がんと診断される人が増えている
2019年1月に厚生労働省が2016年のがん患者数を発表しました。
全国で新たにがんと診断された患者数は計99万5132人だったそう。がんに罹患していることを公表する著名人も増えてきたこともあるせいか、がんにかかる人が多いと感じてしまいますが、2015年と比べると10万人以上増えていることになります。
ただし、「がん登録推進法」という、がん医療の向上を目的とした新たな法律が施行されたため、2015年と2016年では統計の仕方が違うそう。そのため、ただ患者数が増えたことだけを気にするのは適切ではありません。
それでも、身近で「がんにかかった」という言葉を聞くことが増えてきた人は多いのではないでしょうか。
アラサー世代から気をつけたい
2016年の統計でがんの罹患数を年代別にみると、年齢が上がるごとに増えていっていることがわかります。
- 45歳未満:4.7%
- 45〜64歳:21.6%
- 65〜74歳:31.3 %
- 75 歳以上:42.5 %
一方で、女性の罹患で多い乳がん(22.1%)、子宮がん(6.6%)に注目してみると、もっと早い年代から一気に増える様子がうかがえます。
たとえば乳がんは25〜29歳では259人ですが、30〜34歳になると1,055人と約4倍。35〜39歳では3,009人とさらに3倍近くに増えています。
子宮がんに関しても25〜29歳が251人で、30〜34歳では942人と4倍弱。35〜39歳では1,547人と約1.6倍です。
まだ若いから大丈夫と考えるのではなく、アラサーと言われる年代に近づく前から可能性はみんな持っているということを意識しておくのがいいのかもしれません。
ちゃんと受けたい「がん検診」
前項で「がんの可能性を意識する」と述べましたが、「がんになるかも…」というわけではなく、「きちんとがん検診を受けたい」ということ。
というのも、がんのリスクは、喫煙、多量の飲酒、過度なストレス、バランスの悪い食生活などの生活習慣などに起因することが多いといわれています。しかし、いくら食生活や禁煙、ストレス発散など生活に気を配っていても、がんにかかるリスクはゼロにはならないと聞きます。
であれば、定期的に検診を受けることでがんがないかを確認して、もしもがんが見つかっても早めに治療することで進行を抑える取り組みをするのがいいのではないでしょうか。
歯医者だって、痛くなってから行くのではなく、虫歯になったらイヤだから定期的なチェックに行きませんか?医学的なことは述べられませんが、がん検診も同じようなことが言えるのではないかと思います。
ところががん検診の受診率は少ないよう。厚生労働省によると、女性の乳がん検診の受診率は44.9%、子宮頸がん検診の受診率は42.4%(国民生活基礎調査・2016年より)とのことです。自分の身体のことですから、一人ひとりがもっと自分の身体を意識してがん検診を受けるようにしたいですね。
がん検診はいつから、どうやって受ける?
国では、がんの罹患率が高くなる年代から検診を推奨しています。厚生労働省が策定している指針では、たとえば子宮頸がん検診は20歳から2年に1回、乳がん検診は40歳から2年に1回の受診が推奨されています。
ただ、アラサー世代からがんの確率が高まるのなら、早いうちからセルフチェックも行っていきたいですね。
会社員は会社の定期健康診断時に
会社員の人は職場で年1回の定期健康診断を受けているでしょう。会社によっては一定年齢以上の人を対象に、定期健診に併せてがん検診を行うところも多くあります。
職場によってはがん検診を実施していないところもあります。その場合には市区町村のがん検診を受診することになります。
自治体のがん検診
各自治体では、一般の健康診断はもちろん、人間ドックやがん検診の案内をしています。検診は自治体から委託を受けた医療機関などで受けることができます。
自治体の検診は誰でも受診することができますが、多くの場合は対象年齢や実施時期が決まっており、対象者には3月から5月の間に受診券が交付されることが多いよう。自治体によっては対象者でなくても申込できる場合もあります。
具体的には各自治体の健康福祉担当窓口で問合わせをしてみましょう。忙しくてなかなか窓口に行けない人は、日本医師会のサイトから全国の自治体のがん検診情報をチェックすることもできますよ。
- 日本医師会「各自治体のがん検診窓口/都道府県」
- https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/contact/map/
がんで気になるお金のこと
受診率が高くないのはいくつかの理由が考えられます。
- ・自分には関係ない
- ・検診でもしも病気が見つかったらコワい
- ・お金がいくらかかるかわからず不安……など。
このうちお金のことはきちんと情報を得ることで解決できるはず。
がん検診の費用はいくら?
ここでは自治体のがん検診を受ける場合の費用について説明します。
ほとんどの市町村では、がん検診の費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担でがん検診を受けることができます。がん検診の種類にもよりますが、多くの場合は400円から2,000円程度と高くありません。
自治体ごとに対象年齢は異なりますが、乳がんや子宮がん検診では上述したように対象者には受診券や無料クーポンを送ってくれます。
また、会社の健康保険組合によっては、自治体のがん検診を受けた人に対する費用補助を実施しているところもあるようです。会社に健康保険組合がある人は問い合わせしてみましょう。
万一がんと診断されたら
受診費用以外に心配なのは、もしもがんと診断されたらお金のことはどうしよう……ということでもありますね。一般的にがんの治療費は高いと言われていますから、不安になるのは当然です。しかし高額療養費のことを知っていれば不安は少し和らぐのではないでしょうか。「医療費を大幅に下げる!高額療養費申請書の書き方、もらい方」の記事を参考にしてみてください。
それでも身近にがんにかかった人がいるなど、不安を感じる人はがん保険でもしもの備えをしておくのもいいでしょう。「がん保険に入るべき?!女性が加入する前に知っておきたい4つのこと」でがん保険の説明をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
健康もお金も、どちらも大切なことですが、お金を節約するあまり健康にトラブルをかかえるようになってしまうのは困ります。年間に換算すると受診にかかるお金はごくわずかです。あなたも定期的にがん検診を受けて、自分の身体とお金を守ってくださいね。