資産運用で株を始めたものの、年間の損益はマイナスになってしまった!利益が出ていないから確定申告は必要ないと思っている人は要注意!確定申告には、儲けた利益を申告して納税額を決定する側面と、損失が出た場合損失金額を申告して、次年度の利益から差し引ける側面もあります!株で損をした場合も次年度を見越して確定申告をしておきましょう!
株で損をした人必見!
繰越控除で来年の対策をしましょう!
2019年1月10日
株で損をしても確定申告を!繰越控除が使えます!
1月1日から12月31日までの1年間で出た利益を計算し、所得税を納める確定申告ですが、ある一定の所得から損失が出た場合も確定申告の制度を利用することができます。今回は損失が確定申告でも使える制度のうち、株式取引に係る「譲渡損失の損益通算」と「繰越控除」について説明します。
譲渡損失の損益通算
所得には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類があります。
株式取引の場合は、売買をした利益や損失が譲渡所特に分類されます。配当金があった場合には配当所得という譲渡所得とはまた別の所得に分類されます。損益通算が使える所得は、売買で出た利益や損失の譲渡所得と、配当所得で申告分離課税を選択したものだけが対象となります。
株式取引の売却などで出た損失のことを上場株式等に係る譲渡損失といいます。上場株式等に係る譲渡損失は、同じ株式取引で発生した、譲渡所得の損失を差し引きできることになります。
この、利益と損失を差し引きできることを損益通算と呼びます。
繰越控除
繰越控除は損益通算で控除しきれなかった損失がある場合、その損失を翌年以降3年間にわたり繰り越すことができる制度です。この繰越制度を利用するには毎年確定申告書を提出する必要があります。
たとえば、今年度損失が出たため確定申告します(A)。しかし、翌年度は申告の義務がない範囲の利益が出たため確定申告書を提出しなかったとします(B)。翌々年度は大きく利益をあげたので確定申告が必要なため(A)での繰越控除を使いたい(C)。という時、(B)で確定申告書を提出していないため、(C)では(A)時点の繰越控除は適用できません。
(A)での繰越控除を(C)で利用できるようにするために、(B)の時にも確定申告書を提出し、損失額を(C)の年度まで繰り越せるようにする必要があります。
注意するべき口座の人
上場株式等に係る譲渡損失の損益通算と繰越控除は、誰でも利用できる制度という訳ではありません。以下の記載に該当する口座を持っている人はこの制度を利用できませんので注意しましょう。
源泉徴収ありの特定口座の人
証券会社で株式取引の口座を開設する時に、一般口座と特定口座を選びます。簡単に説明をすると一般口座とは自分で年間取引報告書を作って確定申告をする口座です。
特定口座とは年間取引報告書を証券会社が作ってくれる口座です。そのためほとんどの人はこの特定口座を利用していると思います。特定口座の中にも2種類があり、源泉徴収あり口座と源泉徴収なし口座に分かれます。
源泉徴収あり口座は、売却の取引ごとに源泉徴収が証券会社より行われているため、利益が20万円を超えていてもすでに納税が済まされているため、確定申告の必要がない口座のことをいいます。
源泉徴収なしの口座の場合は、売却ごとに源泉徴収はされないため、利益が20万円を超えると自分で確定申告をする必要があります。
源泉徴収ありの口座はこの売却時にすでに税金を納めているため、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算が適用されません。開設時にこのリスクを把握した上で、源泉徴収あり口座を選んだとみなされる可能性があるからです。
NISA口座、つみたてNISA口座
2014年1月に始まったNISA口座と、2018年1月に始まったつみたてNISA口座を保有する人も上場株式等に係る譲渡損失の損益通算は利用できません。
NISAもつみたてNISAも運用した利益に対しては一定額に対して無税の恩恵を受けられる制度ですが、売却による損失は損益通算や繰越控除を利用できないと規定されているからです。
失敗は成功の元!不安な点は税理士へ相談
今回は株で損をした人が利用できる制度の、「譲渡損失の損益通算」と「繰越控除」についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか?
株で損失が出てしまった時は、とにかく心が折れてしまって気持ちもマイナスに傾いてしまいますよね。けれど「譲渡損失の損益通算」と「繰越控除」のような制度を理解しておくと、来年度もまた運用にチャレンジしてみようと意欲につながるのではないでしょうか?
投資や資産運用は自転車乗りに似ていると表現されます。失敗を繰り返しながら、徐々に自分の身体でコツをつかみ相場という波に乗れるようになるからです。
波に乗れるようになるまでは、相場や税金対策の勉強もたくさん必要です。今回のような「譲渡損失の損益通算」と「繰越控除」も1人でできる場合もありますが、不安な点は税の専門家の税理士さんへ相談しましょう。
私たちファイナンシャルプランナーもご相談をお受けし、制度をご説明することはできますが、実際の確定申告書のお手伝いは税理士さんしかできません。初回無料相談を設けている税理士事務所が多くありますので活用してみてください。