年末年始に親に会い、あるいは友人の家族の話を聞いたことをきっかけに、親の老いが心配になっていませんか。
万が一親が認知症になってしまった場合、テレビなどで目にする高齢者トラブルの賠償問題が他人事ではなくなるかもしれません。
認知症のトラブルに対応できる個人賠償責任保険とはどんなものか、どのようにして加入するのかなど、知っておきたい個人賠償責任保険の基礎知識についてご紹介します。
親の認知症が心配になったら・・・
個人賠償責任保険の検討を
2019年1月1日
認知症になってからのトラブルとは
気になる認知症の有病率
親にはいつまでも元気で長生きしてほしいと思うもの。と同時に、国民病ともいわれる認知症になったらどうしようという不安な気持ちもないわけではありませんよね。
長寿化が進んでいる日本では、65歳になっても元気に働いている人が少なくありません。そのため、65歳は、まだ若いという感覚があるものです。しかし、2012年における65歳以上の高齢者の認知症有病率は15%。およそ7人に1人と考えると、意外と多いと感じられるのではないでしょうか。
しかも2025年には、この割合がおよそ5人に1人になるという推計もあります。自分の親が認知症になるかもしれないという可能性は誰にでもあるのです。
出典:内閣府(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html)
賠償にかかわるトラブルも
発生件数が多くないとしても、賠償を必要とする認知症トラブルが自分に降りかかるリスクは心配なもの。
認知症が原因で親が何らかのトラブルを起こしてしまった場合、監督義務者として家族が個人賠償を行わざるを得ない状況となってしまう可能性はあります。被害者に対する損害賠償金以外に、弁護士費用、訴訟費用なども必要になるかもしれません。
また、鉄道事故を起こしてしまった場合の賠償も気になります。人件費や代替交通機関による輸送費、車両修繕費などの賠償責任が発生するかもしれません。
個人賠償責任保険とは
損害賠償責任を負う場合に備える
認知症の有無にかかわらず、他人に損害を与えて損害賠償責任を負ってしまうリスクは誰にでもあります。そのため、既に個人賠償責任保険へ加入している人もいるのではないでしょうか。
個人賠償責任保険に加入すると、日常生活で起きた事故により他人にケガをさせたり他人の物に損害を与えたりして法律上の損害賠償責任を負ったときに保険金を支払ってもらえます。
ただし、下記は補償対象外です。
・自動車にかかわる損害賠償責任
・職務遂行にかかわる損害賠償責任
・地震、噴火、津波にかかわる損害賠償責任
個人賠償責任保険は単体で契約する保険ではなく、自動車保険や火災保険、損害保険の特約として契約します。クレジットカードに付帯する方法もあります。保険料は年間で1,000~2,000円程度であり、クレジットカードに付帯する方法であれば数百円程度です。
家族をサポートしてくれる
個人賠償責任保険の被保険者対象は以下全てとなります。
・本人
・配偶者
・本人または配偶者と生計を一にする同居親族
・本人または配偶者と生計を一にする別居親族
一つの個人賠償責任保険に加入すれば、家族も対象になります。保険によっては下記も被保険者の対象となります。
・上記で挙げた被保険者が責任無能力者であった場合の監督義務者
保険によって異なる内容
補償額のチェックも忘れずに
親がトラブルを起こしたとしても、重度の認知症などを原因として責任無能力者と判断されると、監督義務者である家族に損害賠償の責任が及ぶ場合があります。
認知症の家族が心配な人は、自分が被保険者となる個人賠償責任保険に入っておきましょう。何らかの事情があって加入しない場合は、親が加入している個人賠償責任保険において監督義務者も被保険者となっているかどうかを確認する必要があります。
また、補償額のチェックも大事なポイントです。無制限にしたい場合は自動車保険の特約がおすすめ。示談交渉サービスもついていると安心です。
契約のタイミングをしっかり確認
トラブルの程度はさまざまで、認知症の人が線路に立ち入り、大きな事故とはならないまでも電車を遅延させてしまうといったケースもあります。その場合でも、賠償の責任を負うリスクはあります。
そのようなケースが保険の補償範囲になっているかどうかは保険商品によるため、保険選びの際の一つのポイントとしましょう。
大事な注意点として、保険内容の改定が行われて必要な補償がついたとしても、契約時点が保険の改定前であれば新たな補償範囲は含まれません。自分が契約している内容に必要な補償が含まれているかどうか、しっかり確認しておきたいですね。
もしもに備えるための保険は、ライフステージに合わせて有効に活用したいもの。親の老化に伴う心配事を解消しながら自分自身のトラブルにも備えられるというメリットを前向きに捉え、個人賠償責任保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。