キャリアアップを目指すために、新たな勉強を始めたいと思っていませんか?
お金をかけずに勉強するには独学が一番ですが、必要な費用を払ってきちんとした講座を受ける学びのほうが効率的なのも事実です。
そんなときに利用したい制度が、教育訓練給付制度。
働いている人が加入する雇用保険には、学びたい気持ちを支援するための給付制度があるのです。
学ぶためのお金を支援してもらえる教育訓練給付制度についてご紹介します。
キャリアアップに役立つ教育訓練給付制度って何?
どんな人が使えるの?
2018年12月17日
教育訓練給付制度とは?
学びたい気持ちをサポート
会社勤めをしていると雇用保険に加入しますが、失業したときに基本手当を給付してもらえる制度というイメージしか持っていない人がいます。
しかし、雇用保険により給付してもらえるお金には、失業給付金だけではなく育児休業給付金や介護休業給付金など、さまざまな種類があるのです。
そして、その中の一つとして教育訓練給付金もあります。誰でも継続して働きたい、安心して働きたいと思うものですが、そのために役立つスキルアップを国も応援してくれているということ。
少し堅苦しい名前に感じられる教育訓練給付制度ですが、働く人をやさしく応援してくれる制度なのです。スキルアップができればできるほど、働くモチベーションもアップできそうですよね。
教育訓練給付は大きく分けて二つ
教育訓練給付には、大きく分けて二つの種類があります。
・一般教育訓練給付:厚労省大臣が指定した教育訓練講座が対象
・専門実践教育訓練給付:厚労省大臣が指定した専門的実践的な教育訓練講座が対象
ビジネススクールやパソコンスクール、英会話スクール、専門学校、短期大学など、さまざまな施設で開講される講座が教育訓練給付の対象となっています。具体的にどのような講座が対象となっているのか気になる方は、厚生労働省の検索サイトで調べてみましょう。
【教育訓練給付制度:厚生労働大臣指定教育訓練講座】
http://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SCM/SCM101Scr02X/SCM101Scr02XInit.form
何となく講座を調べるという行動が、学びたい気持ちの芽生えに結びつくかもしれませんよ。
誰でも給付してもらえるの?
条件に該当した人が対象です
教育訓練給付制度は、雇用保険制度に加入していれば誰でも給付してもらえるでしょうか。答えはNOです。例えば、働き始めて1カ月の人が給付してもらおうとしても、給付資格条件に当てはまりません。とはいえ、基本の条件が雇用保険加入1年、2年、そして3年以上となっているため、多くの人が該当します。
【一般教育訓練給付金及び専門実践教育訓練給付金の対象者】
・雇用保険に3年以上継続加入している人
・雇用保険に3年以上加入し、退職後1年以内(※)である人
・初回に限り、雇用保険の被保険者期間が1年以上(専門実践教育訓練給付の場合は2年以上)あること
※妊娠・出産・育児・疾患・負傷等の理由の場合、最大4年(専門実践教育訓練給付の場合は最大20年)延長可能
1年あるいは2年、そして3年以上頑張って働くと教育訓練給付を受けられる立場になれるという前向きな考え方もできますね。
連続して受講してもいいの?
スキルアップのためのやる気はとても好ましいものですが、教育訓練給付金を給付してもらった後は3年経過しないと新規の申請ができません。そのため、1回1回のチャンスを大事にし、何を受講したいのか、しっかり考えてから決めることをおすすめします。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197028.html)
また、不正受給をすると給付金の返還を求められるだけでなく、その2倍の金額を納付しなければならなくなります。詐欺罪として刑罰に処せられる可能性もあるため、くれぐれも気をつけましょう。
どのくらい給付してもらえるの?
一般教育訓練給付金の場合は20%
教育訓練給付制度で給付してもらえる金額は受講した講座の料金によって変わり、一般教育訓練給付金の場合は20%分を給付してもらえます。5万円の講座なら1万円、10万円の講座なら2万円ということ。
たかが2割されど2割で、万単位で給付してもらえるのですから、ありがたい制度ですね。ただし10万円という上限はあります。
また、4,000円以下の場合には給付されないため、20,000円を超える受講料の講座であれば給付ということになります。
専門実践教育訓練給付金の場合は50%
専門実践教育訓練給付の場合は、受講費用の50%相当を給付してもらえます。上限は40万円(訓練期間2年の場合は80万円、3年の場合は120万円)です。また、4,000円以下の場合は支給されません。
一般教育訓練給付との違いとして、受講による資格取得が1年以内の就職につながった場合にさらに受講費用の20%が支給されるというメリットが挙げられます。その場合は合計で70%の給付となりますが、56万円(訓練期間2年の場合は112万円、3年の場合は168万円)が上限です。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/qa/syokunou/kyouiku/qa2.html)
教育訓練支援給付金の給付も
2022年3月31日までの時限措置ではあるものの、教育訓練支援給付金の制度もあります。
・対象者:45歳未満で失業中であり、初めて専門実践教育訓練を受給する人
・支給額:基本手当(失業給付)日額の80%に2カ月ごとの失業認定日数を乗じた額
ただし基本手当の給付が受けられる期間は支給されず、基本手当の支給が終了した後に給付を受けられるという仕組みになっています。基本手当が支給終了になって生活費が心配なときに、教育訓練を受けて給付金を得ながらスキルアップを目指すという使い方ができますね。
スキルアップを目指す人にとって、給付金という形で国から支援してもらえる教育訓練給付制度の存在はありがたいものですね。使える制度は積極的に検討し、自信を持って働き続けるためのモチベーション維持に活かしてみてはいかがでしょうか。