会社に勤務している人にとって、会社の制度を利用して資産形成していくということはいろいろな面でメリットがあります。でも、自分が利用している制度のことをよくわかっていないという人もいるのではないでしょうか。
会社の制度の一つである企業型確定拠出年金についてもう一度確認しておきましょう。
会社の制度、きちんと理解していますか?
企業型確定拠出年金とは
2018年10月22日
老後の準備は働きながら
日本に住む20歳以上60歳未満の人は皆、国民年金に加入する義務があります。国民年金に加入することで、65歳になったら加入期間に応じて老齢基礎年金が支給されます。
厚生年金保険が上乗せされる
さらに会社員や公務員は勤務先で厚生年金保険に加入することで、65歳になったら老齢基礎年金に上乗せして厚生年金保険を受け取ることができます。国民年金と厚生年金を合わせて公的年金と言いますが、残念ながら退職後の生活を公的年金だけでカバーするのは難しいのが現状です。
会社の制度でさらに上乗せ
老後資金の不足分は、コツコツ準備をしていく必要があります。そこで会社の制度として、企業型確定拠出年金の制度を取り入れている会社が多くあります。老後はまだまだ先だからと後回しをせず、会社で働きながら準備していくことが大切ですね。
企業型確定拠出年金とは
確定拠出年金には、個人型と企業型があります。iDeCoという通称で話題になっているのは個人型確定拠出年金で、自分でお金を出して利用する制度です。
今回お伝えするのは、もう一つの企業型確定拠出年金です。
企業型確定拠出年金の仕組み
企業型確定拠出年金は、個人型とちがい企業がお金を負担してくれます。
そして、そのお金を使ってあらかじめ用意された金融商品の中から自分で商品を選んで運用します。そして60歳になったら運用で積み上げられた資産を、一時金または年金として受け取ることができます。
会社が支払う掛金の額は上限が決められていて、他に厚生年金基金や確定給付企業年金がない場合は1カ月55,000円まで、ある場合は27,500円までと決められています。
気をつけておきたいこととしては、元本確保型以外の商品で運用した場合、運用によって大きな収益が期待できる一方、損失が出る場合もあります。ただし、最終的に運用結果が決まるのは60歳になって受け取る時です。万が一、60歳になった時に損失が出ていた場合は、相場の回復を待って70歳までの間に受け取るという選択もできます。
メリットは税制優遇
企業型確定拠出年金のメリットは税制優遇です。 掛金に対して、運用中、受け取る時と3つの場面で税制優遇を受けることができます。
まず1つめの掛金に対してですが、通常皆さんの給料が振り込まれる時は税金や社会保険料が差し引かれています。でも、確定拠出年金の掛金には税金や社会保険料がかからないので、額面通りの金額で運用することができます。
次に2つめです。個人で運用すると、通常は運用で得た利益に対して20.315%の税金がかかります。でも、確定拠出年金の運用で得られた利益に対しては非課税となります。
受け取る時にも税制優遇があります。
一時金としてまとめて受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る時は公的年金等控除の対象となります。
マッチング拠出ってなに?
先ほどお伝えしたように、会社が支払う掛金には上限があります。 マッチング拠出制度を取り入れている会社なら、会社が支払う掛金にプラスして自分の給与から掛金を上乗せすることができます。
ただし、いくらでも上乗せできるわけではありません。皆さんが支払う掛金は、会社が支払う掛金を超えることができません。また、会社が支払う掛金と皆さんが支払う掛金の合計が、先ほどお伝えした限度額を超えることができません。
確定拠出年金は60歳までは出金できないので、生活に支障のない金額で積み立てる必要があります。しかし、掛金の変更は1年に1回行えますし、0円にする変更はいつでも出来るので、マッチング拠出制度があればまずは加入してみるのもいいでしょう。
5月からの改正ポイント
企業型確定拠出年金は、原則60歳までは出金できません。もし、60歳までに転職したり退職したりした場合はどうしたらいいのでしょうか。
資産を移して
60歳までに転職した場合は、資産が一度、現金化されて転職先の確定拠出年金に加入します。また、転職先に確定拠出年金制度がなかったり、専業主婦や自営業になったりする場合は個人型確定拠出年金に資産を移します。
資産の移換が便利に
今までは、会社を辞めたあと6カ月以内に移換手続きをしなければ、資産が国民年金基金連合会に移されてしまいました。国民年金基金連合会に資金が移換されると、自分の資産なのに運用できないばかりか管理手数料が資産から差し引かれてしまいます。
でも、2018年5月から、自分で移換の手続きをしなくても新しく加入する制度に自動的に移してくれるようになりました。
ただし、基礎年金番号や氏名が完全に一致した場合に限られるので、結婚で苗字が変わり転職した場合は、やはり自分で移換手続きをする方がベストでしょう。
おトクな制度を利用できるのは会社に勤務しているからこそ。上手に利用して少しでも有利に老後資金の準備をしていきましょう。