「地震保険」という言葉は知っていても、実際どんな保険なのか、入った方がいいのか、よくわからない人は多いと思います。地震保険は単独では加入できず、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。現在お住まいの家の火災保険に地震保険がついているのか、この機会にチェックしてみましょう!
9月1日は防災の日
「地震保険」のメリット・デメリット
について学ぼう!
2018年9月1日
地震保険とは
補償範囲と補償対象
地震保険とは、火災保険に付帯する保険で、地震保険単独では加入できません。
火災保険は火災のほか、落雷や水害(洪水や高潮)、台風の被害などが補償されますが(※)、地震が原因の火災や建物の倒壊、地震による津波の被害などは補償されません。
そのため、地震の被害に備えるためには、火災保険に地震保険をセットにして契約しなければなりません。
※保険商品によって補償される範囲は変わってきます。
◇地震保険の補償範囲・・・地震、噴火、津波を原因とする損害
◇地震保険の補償対象・・・居住用の建物と家財
地震保険の保険金額
地震保険は火災保険に付帯するため、火災保険の保険金額の範囲内で30%~50%補償されます。仮に火災保険で建物に3,000万円の保険金額を設定した場合、地震保険は900万円~1,500万円の範囲で設定できます。
家財も同様に火災保険の保険金額の30%~50%の範囲で設定できます。
なお、保険金額には上限があり、建物で5,000万円、家財で1,000万円になります。
保険料の割引き
地震保険には保険料の割引き制度があります。
◇免震建築物割引・・・割引率50%
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく免震建築物に該当する建物であること
◇耐震等級割引・・・割引率10%~50%
耐震等級3は50%、耐震等級2は30%、耐震等級1は10%となる。
◇建築年割引・・・割引率10%
対象建物が昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合
◇耐震診断割引・・・割引率10%
対象建物が改正建築基準法における耐震基準を満たす場合
ただし、これらの割引は重複して受けることはできません。
保険金の支払い
地震保険の保険金は損害の認定区分に従って、設定された保険金額に応じて支払われます。
◇全損・・・保険金額の100%
◇大半損・・・保険金額の60%
◇小半損・・・保険金額の30%
◇一部損・・・保険金額の5%
たとえば、火災保険の保険金額が2,000万円とした場合、地震保険の保険金額は最大で1,000万円となります。仮に大半損と認定された場合、600万円が支払われるというわけです。
地震保険のメリットとデメリット
メリット
◇火災保険では補償されない部分を補うことができる
火災保険では地震に関連する被害(火災、建物の倒壊、津波被害)は補償されません。ここ数年起きている地震の被害を考えると、備えの必要性を強く感じる人は多いと思います。
◇政府の再保険により、巨大地震にも対応できる
巨大地震が起きた時に、民間損害保険会社のみでは、支払い能力に限界があります。そうした時に、政府が再保険によって保険責任を分担する官民一体の制度となっているため、安心感があります。
◇地震保険料控除がある
火災保険だけでは控除はなく、火災保険に付帯している地震保険料のみが控除の対象となります。
所得税は保険料の全額(最高5万円まで)が課税所得金額から控除され、住民税は保険料の2分の1に相当する額(最高2万5千円まで)が控除されます。
デメリット
◇火災保険に付帯する形でないと契約できない
地震保険は単独では契約できないため、かならず火災保険とセットで契約する必要があります。但し、地震保険とは別で、単独で地震の被害に対する補償を受けられる「リスタ」という保険商品もあります。リスタについては、次の項目で説明します。
◇保険料が割高である
居住地域や建物の構造によっては保険料が高くなってしまいます。前述の割引きが利かない古い木造住宅などは、保険料が高い割に、支払われる保険金額が少ないなど、割が合わないと感じるかもしれません。
◇建物が全壊しても、地震保険の保険金では再建できない
この部分が最大のデメリットでしょう。
前述したように、火災保険で設定した保険金額の30%~50%の範囲でしか保険金額の設定ができません。また、建物は5,000万円、家財は1,000万円という上限があります。
さらには、地震保険の支払い時の評価は時価で評価されます。
これはどういうことかと言うと、たとえば、3,000万円の一戸建てを購入した場合、火災保険の保険金額は3,000万円に設定したとします。(※)
この際、地震保険にも加入して、地震保険の保険金額は50%(上限)の1,500万円にしました。
その後、経年劣化によって建物の時価が2,000万円に下がり、そこで地震の被害にあって、全損した場合、支払われる保険金は、1,500万円ではなく、時価の50%(上限)の1,000万円になります。
仮に同じ土地に新規で同様の家を建てる場合、地価上昇などがあって3,500万円かかるとしても、保険金は1,000万円しか出ないわけですから、建て直しは出来ないことになります。
※火災保険の保険金額は一般的に再調達価額(保険契約の対象物と同等のものを再築または再取得するために必要な金額)で設定されます。
地震保険に代わるリスタ
地震補償単独で加入できる商品として、「リスタ(地震被災者のための生活再建費用保険)」というものがあります。これはSBIリスタ少額短期保険株式会社が販売している商品で、地震保険とは似て非なるものです。
地震保険との違いは
①単独で契約できる
②保険金額は最大900万円(世帯人数により上限額は異なる)
③被害認定区分は「全壊」「大規模半壊」「半壊」の3区分
④地震保険料控除の対象外
保険料が手頃なので、地震保険に入るほどではないけれど備えが欲しいという人や、今入っている地震保険の補償だと心もとないという人は、検討してみてはいかがでしょうか。
地震保険のまとめ
地震保険の補償は、建物を再建するには足りないと説明しましたが、地震保険の本来の目的は、地震による被災者の生活の安定と言えます。
被災者が生活を立て直すためには、まとまったお金が必要です。
大地震の際、地震保険には特別処置があり、早期に保険金の支払いが行われます。この点は非常に大きい部分です。
地震の被害を補償する保険は地震保険以外にありません。メリットとデメリットをよく理解した上で、検討することをおすすめします。