教育資金の準備に一生懸命だけど、やっぱり気になるのが自分たちの老後資金のこと。一体いくら必要で、どう貯めていけばいいのかわからないと不安を感じる人は少なくありません。まだ早いからと放っておいては後々自分や子どもが困ることになってしまいます。今回は、教育費、家計管理、老後資金……子育て家庭が抱えるお金の不安をこの一冊でまるっと解決!投資のヒントも満載、実用エッセイ漫画「マンガで読む子育てのお金まるっとBOOK」から抜粋してマンガとともにお伝えします。
【FP伝授】「老後資金」まだ考えられない、
子育て世代こそ今から始めるワケとは
2019年10月5日
老後に必要な備えっていくら?
老後資金に2,000万円必要だとか、心配しなくて大丈夫とか、いろいろな記事をネットでよく見かけますね。実際、老後に必要となる金額は人それぞれに異なります。
そう言われるとますます不安に思う人は多いようですが、必要老後資金についての考え方を知っておくといいでしょう。
現在の高齢無職世帯の平均的な家計収支金額として、総務省が公表しているデータを参考にすると、夫婦で毎月約5.5万円、単身者では毎月約4.1万円の赤字が出ている状態です。老後生活においての収入源は公的年金がほとんどですから、年金をもらっても生活費として毎月おおよそ5万円ずつ、貯蓄を取り崩して生活をしていることになります。
仮に、夫婦の場合で終焉までの老後生活期間の赤字額が1カ月当たり5.5万円のまま変わらないとすると、毎年66万円ずつ貯蓄を取り崩すことになります。仮に老後期間が20年ならトータルで約1,320万円、30年で約1,980万円です。
言いかえると、これだけの金額を取り崩せられるだけの貯蓄をしておかなければならないことになります。
老後資金準備はスルーできない!まずは自分にとって必要な金額の確認を
老後期間の長さや生活費のかかり方、もらえる年金額は人それぞれに違います。たとえば自営業の人と会社員では加入している年金制度も違いますから将来の年金額には大きな差があるのが普通です。参考にした総務省のデータでは、こういう違いがある人々全体の平均ですから、あくまで目安ということになります。
また、参考データの中の住居費は1カ月当たり15,000円となっており、住宅ローン返済中の人や賃貸暮らしの人にとっては実態とかけ離れた金額です。老後にも賃貸生活を考えている人、ローンを払い続けなくてはいけない人はその分、多めに準備をしておく必要があります。
それに加えて家のリフォームや家電の買い替え、病気や介護などの費用が必要になる可能性も考えると、数千万円というのは納得できるのではないでしょうか。
子育て世帯は教育資金を貯めることに意識を集中してしまいがちですが、スルーできない老後資金だからこそ、受け取れる年金額を確認し、老後にどんな暮らしをしたいか考えて、自分に必要な老後資金を見積もって、早めに準備に取りかかることが大切です。
老後資金の準備はどうする?
老後資金は子どもの教育費がかからなくなってから貯め始めればいいと考える人は少なくありません。しかし先に見たように、老後必要資金は数千万円と、金額的には1人当たりの教育資金(※)よりも大きな金額です。
仮に下の子を32歳で産んだとしたら、子どもが大学を卒業するときには親の年齢は54歳。そこから約10年間で2,000万円~3,000万円を貯めるのはかなり難しいと言わざるを得ません。最近では、結婚年齢も出産年齢も上がっていっていますから、人によっては子どもの大学卒業が定年間近になることもあるのです。
そう思うと、老後資金のための貯蓄は、少しずつでも今から教育資金形成と同時進行で継続的に貯めていくことが大切でしょう。毎月コツコツ貯めていき、子どもにお金がかからなくなったらピッチを上げるというように、お金のかかり時と貯め時で調整しながら長いスパンで準備していきましょう。
※「【FP伝授】教育費は貯めて&増やす!仕組みさえあれば不安から解消される」も参照してくださいね。
老後資金準備に適した金融商品は?
一例として、2人の子ども(下の子は2歳)がいる34歳の夫婦の例で考えてみましょう。
下の子が独立するまでは、老後資金として毎月3万円ずつ貯めていきます。20年間で720万円の積立が出来ます。そこから定年までの6年間は老後の貯蓄に集中し、毎月10万円ずつ積み立てすると720万円になります。合わせて1,440万円を貯められることになります。
ただし、1,440万円では先ほど見た目安金額にも追いつきません。そこで、お金を運用できたり、非課税特典を利用できるような金融商品でお金を増やしていくことも考えていきましょう。
具体的には、次のような商品があります。
- ・低解約返戻金型終身保険
- ・つみたてNISA
- ・iDeCo
もちろん健康なら働いて少しでも収入を得続けるのも選択肢としてありますね。
子育て世帯こそ、今から老後準備を考えて!
老後資金も教育資金も大きな金額が必要です。子育て中のパパ・ママは気が重くなるかも知れませんが、子どもと自分たちの明るい将来のための大切なお金です。イキイキ暮らす家族の姿をイメージしながら、今から計画的に貯めていくようにしたいですね。
老後資金準備を考えるときに退職金をあてにしている人も多いようですが、退職金が出るか出ないかは勤める会社ごとに違います。データによると、2割ぐらいの会社は退職金制度がないようですが、データにカウントされていない会社も多くあることを考えると4割程度の会社は退職金制度がないことが考えられます。まずは会社に制度があるのかどうか、ある場合にはどれぐらいもらえそうか、総務担当者に確認したり社内規約を確認してみましょう。
子育て中には子どもの学校のため以外にも、子どものために海外旅行、子どものために車の買い換え、子どものためにetc……というように、さまざまなお金が必要になることもあります。それらのお金の計画は、まずは老後資金を引き算してから選択することが大切です。無計画に「子どものため……」とお金を使っていては、老後資金が足りなくなって、結局は将来子どもに頼ることになる可能性もあります。
子どもにしわ寄せが来ないよう、子育て世帯は教育資金と老後資金の準備を計画的に進めていくようにしてくださいね。
のり子先生の決めセリフ
「優先度が低い支出を削ればムダはなくなる」
今回のお話は、「マンガで読む 子育てのお金まるっとBOOK」でより詳しく説明しています。ぜひ、お読みくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2019年10月5日時点のものです)