子どもを持つ人にとって、もしもの備えが気になるものです。民間の保険会社が販売している保険で備えをするのが一般的ですが、どんな保険にどれだけ加入しなければいけないかわからない人も多いでしょう。備えをしっかりするあまりに保険料が高くなって貯金ができなくなったり、いざという時に保障が足りずに教育資金に手を付けることになっては困ります。
今回は、教育費、家計管理、老後資金……子育て家庭が抱えるお金の不安をこの一冊でまるっと解決!投資のヒントも満載、実用エッセイ漫画「マンガで読む子育てのお金まるっとBOOK」から抜粋してマンガとともにお伝えします。
【FP伝授】子育て世代のベストな保険の選び方
「おすすめ商品」には気をつけて
2019年9月28日
保険選びの優先順位
小さな子どもがいる子育て世帯は万一の死亡保障を優先しがちで、多額の保障額を備えておかないといけないと考える人は多いようです。
もしもの備えとして死亡保障も医療保障も大切なものですが、遺族年金や高額療養費制度など、公的年金である程度カバーできるものもあります。このような公的保障で備えきれない「足りない部分」を自分の保険で備えるようにするのが基本です。
何を優先するかはリスクが発生したときの状況を、次の2つの視点で考えてみるといいでしょう。
・リスクが発生することによって、必要となる金額が多額かどうか
・それによって、ライフプランが崩れるかどうか
たとえば、がんにかかって1回当たり300万円程度かかる先進医療などの治療を受け、健康保険からも還付されないような場合。他には、自転車で事故を起こして損害賠償金を払わなくてはいけなくなるような場合なども考えられます。過去には子どもが起こした自転車事故で9,000万円もの損害賠償金が必要となったケースもあります。
事例のような出来事が自分や家族に発生するかどうかは、可能性的には高くないかもしれません。しかしながら、発生の可能性は低くても、もしもそれが起こって多額の費用が必要になれば、自分で払えなくなり、予定していたライフプランが崩れてしまう可能性は大きいでしょう。保険選びではこのような視点で、優先順位をつけていくといいでしょう。
我が家の保険選びを考える
優先順位は我が家の状況で考えることも大切です。
たとえば病気やケガで医療費が必要になったときには、高額療養費制度などの公的保障があります。医療費自体は公的保障である程度カバーできても、働けない間の収入面はカバーされません。会社員なら傷病手当金として給料の2/3程度もらえるケースもありますが、自営業やフリーランスなどの公的保障が薄い人には保険で備えておくことも大切です。
だからと言って専業主婦など収入がないから保険の備えは不要というわけでもありません。夫婦のうち、家事や育児をメインで行っていた方が入院すると、シッター代や家事代行費用、外食代などこれまで不要だったお金がかかるケースもあります。これらは子育て期だからこそかかるお金だと言えるでしょう。
私的医療保険は医療費に限定して備えるお金と思い込んでいる人も多いですが、病気やケガでかかるいろんな出費や収入がストップしたときの備えと考えると、子育て世帯は夫婦ともに私的医療保険の備えをしておくのがおすすめです。
私的医療保険はシンプルに
医療保険に加入するときはできるだけシンプルに加入するのがおすすめです。保険は主契約に必要な特約を付けることで構成されますが、特約を付ければ付けるほど保険料は上がっていきます。前述した「先進医療」に対する保障は発生したときのリスクを考えると付けておくのはおすすめですが、そのほかは手厚くしたい保障の特約を選んで付けるといいでしょう。
備えておきたい保障額は一般的に3,000万円程度と言われることもありますが、家庭ごとに異なります。働き方や住宅ローンの返済義務、子どもの人数、残った配偶者の収入、住居費の負担有無など、自己の家庭環境に当てはめて、この金額をベースにプラスマイナスして決めていくのが基本です。必要な保障額は子どもの成長とともに減っていくものです。必要なときに必要な保障額を得られるよう、特約を調整しながら保障額と保険料のバランスを取っていけるといいでしょう。
度々見直しをするのが面倒という人もいますが、その場合には収入保障保険で備えておくのもいいでしょう。万一のときの暮らしに必要な金額を、給料のように毎月受け取ることができる保険です。月々の生活費として必要な金額から、遺族年金や残った配偶者の収入などを差し引いて足りない分だけ備えればいいですから、保障額も決めやすくなります。保険料も安めなのでいいですね。それぞれの家庭でいろいろなケースがありますが、子育て期に必要な保障を無駄なく備えるにはいいのではないでしょうか。
必要な保険の優先順位はわかっても、保険の種類が多すぎてわからないことも多く、プロの相談が必要という人もいるでしょう。その場合、相手が何のプロであるかを見極めことが大事です。保険の無料相談に行くのも良いですが、相手は保険のプロではなく販売のプロかもしれません。本当に我が家に必要な保険を選ぼうと思ったら、相談料を払っても中立的な立場でアドバイスをしてくれるファイナンシャルプランナーがおすすめです。
のり子先生の決めセリフ
「その人が何のプロで、何で収入を得ているのかを見極めよう」
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(※本ページに記載されている情報は2019年9月28日時点のものです)