年間の治療費に対して受けられる「医療費控除」は割と知られていますが、病院に行ってなくても確定申告で控除を受けられるのをご存知でしたか?
昨年から始まったセルフメディケーション税制は、病気なんてしたことがないという人こそ気軽に利用していただきたい制度です。今回はこの制度と確定申告についてお話しします。
健康な人が受けられる医療費控除!?
セルフメディケーション税制の確定申告
2018年2月8日
セルフメディケーション税制と医療費控除
一年の中で医療費が10万円以上かかった場合には医療費控除を受けることができます。病気がちな人などにはとてもありがたい制度ですよね。
けれど、「一年間健康に過ごせてよかったけれど、それによって控除が使えないなんてちょっと不公平…」なんて思ってる方も中にはいらっしゃるかもしれませんね。
そんな健康志向の方も利用できるセルフメディケーション税制という制度が昨年平成29年から新しく設立されました。
セルフメディケーション税制とはどんな制度なの?
セルフメディケーション税制とは、普段から健康診断を受けるなど健康維持に努めている人が、対象となる医薬品を購入した場合に一定の購入金額に対して所得控除を受けることができるという制度です。
どんな人が対象なの?
普段から健康診断など健康維持や疾病予防の取組をしている本人、また本人と生計を一緒にしている配偶者やその親族が対象になります。
健康維持の取組とは?
具体的には、特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診と言ったものが該当します。
対象となる医薬品とは?
スイッチOTC医薬品とよばれる医療用から転用された医薬品。定められた対象となる医薬品の成分の含まれる医薬品です。
市販で売られている風邪薬など割と多くのものが対象になっており、目印として下のようなマークがパッケージについています。
どのくらい控除を受けられるの?
年間で12,000円を超えた金額(上限88,000円)が総所得金額から控除されます。
例えば3人家族で年間20,000円分の対象医薬品を購入した場合には、20,000円ー12,000円=8,000円の控除を受けることができます。
セルフメディケーション税制の具体的な確定申告の方法は?
セルフメディケーション税制の控除を受けるためには確定申告が必要です。
健康に意識をしている方には是非利用してほしい制度ですが、確定申告の方法がわかりにくくなかなか利用が進んでいないのが現状のようです。
確定申告にはこちらの2つの書類を用意して提出をします。
必要書類1.健康診査などの一定の取組についての証明書類
健診などの証明書類は、以下の4点の記載がある領収書(原本)もしくは結果通知書(コピー可)となります。
①氏名
②取り組みを行った年
③診察を行った医療機関の名称もしくは医師名
④診査名(特定健康診査や定期健康診断といった健診名)もしくは保険者(協会けんぽなど)名の記載
もし④の記載がない場合には証明依頼書を使用して証明書類を作成して提出します。証明書類は厚生労働省HPからダウンロードすることができます
またインフルエンザ予防接種なども対象の健診にあたりますが、予防接種済証を証明書類として利用する際には原本での提出が必要となります。
必要書類2.購入した対象医薬品の領収書やレシートをもとに記入したセルフメディケーション税制の明細書
セルフメディケーション税制の確定申告では「セルフメディケーション税制の明細書」という書類に、購入した対象医薬品を記入して書類を提出します。
対象医薬品の領収書やレシート自体の提出は不要ですが、5年間は保管しておく必要があります(税務署から提示を求められる場合があります)。
出典:厚生労働省HPより
領収書には以下の5点の記載されているものになりますので、もし記載が足りない場合には購入したお店に確認しましょう。
①商品名②金額③購入商品がセルフメディケーション税制の対象商品であること
④販売店名⑤購入日
この2点の書類を準備し、申告書にセルフメディケーション税制の控除利用のある旨を記載し提出すればOKです。国税庁の確定申告の特設ページでも申告方法の詳細を確認することができますのでそちらも併せてご確認ください。
セルフメディケーション税制と医療費控除どう使い分けたらいいの?
セルフメディケーション税制を利用しようと思っていた方の中には思わぬ形で入院となり医療費控除も受けられるような方もいらっしゃるかもしれません。
ただセルフメディケーション税制と医療費控除を併用することはできません。どちらか一方での控除申請となりますので注意しましょう。
どちらか一方での申請なのであれば、できるだけ控除を受けられるもののほうがいいですね。
<p確定申告の特設ページでは、医療費控除とセルフメディケーション税制の控除額を自動計算して比較できるページがあります。
家族構成や所得、実際に使った医療費等によってどちらがより控除されるかは変わってきますので自動計算で概算がわかるのは便利ですね。ぜひ利用してみてくださいね。
出典:国税庁HPより
いかがだったでしょうか。
健康な人であっても確定申告することで控除を受けることができるようになりました。少し手間になることもあるかもしれませんが、こういった制度をうまく活用して健康維持を積極的に目指せる世の中になっていくといいですね。