「保険料の見直しで家計が楽になった」といった話を聞いて、さっそく、月々の保険料をチェックしたあなたはかなりの貯金美人です。特に会社勤めをしている女性は、手厚い制度があるので、ケガや病気で働けなくなっても、生活に困ることはあまりなさそうです。
「でも、まったく保険に入らないのも怖いし‥」ということで、働く女子が入院した場合、どのくらいの出費になるのか、やりくりできるのかを見てみたいと思います。
働く女子の医療保険ってホントに必要?
保険料の無駄を省く選び方
2018年1月24日
働く女子が病気になったら
日本では健康保険制度があるおかげで、医療費の自己負担額は3割(※70歳未満)で済みますが、実際、病気やケガで入院したら、どのくらいの出費になるでしょうか。
入院時の自己負担費用の平均は?
公益財団法人生命保険文化センター(平成28年度)「生活保障に関する調査」によると、自己負担費用の平均は、22.1万円となっています(※)。これは治療費の他に、食事代、差額ベッド代、交通費、衣類、日用品代なども含みます。
また、自己負担費用の総額を入院日数で除した1日あたりの自己負担費用は、平均で19,800円となっています。
※過去5年間に入院した18~69歳の男女。高額療養費制度を利用した場合は、利用後の金額
1日約2万円は、結構厳しいと思われたのではないでしょうか。上記の平均額は11日間の入院(22.1万円÷19,800円≒11)と想定されますが、重い病気やケガなどで入院が長引けば、医療費はさらに膨らみます。そんな時は、次に紹介する「高額療養費制度」を利用しましょう。
いざという時の公的保険
病気やケガで入院した時にかかった費用が高額であった場合に助けてくれる制度や、働けない期間の収入減を補うための給付金制度があります。これらを上手に利用しましょう。
高額療養費制度とは
ひと月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超えた金額が支給される制度です。
自己負担限度額は所得によって区分され、年収が約370万円から770万円の人あれば、8万円を少し超えると支給されると考えていいと思います。
高額療養費制度のことをもっと詳しく知りたい人は、「医療費を大幅に下げる!高額療養費の申請の仕方・もらい方~申請方法編~」をチェックしてみてくださいね。
ただし、この制度は、保険が適用される診療に対して、自己負担した額が限度額を超えた場合に、高額療養費として超えた部分の金額が戻ってくるというものなので、もともと保険適用外の治療や入院中の食事代、差額ベッド代などは対象にはなりません。
傷病手当金とは
会社員が加入できる健康保険には、病気やケガで会社を休んだ時に給付される「傷病手当金」という制度があります。連続3日間会社を休んだ場合に、4日目以降から、給与の3分の2が支給されるというものです。最長で1年6カ月支給されます。
上記を踏まえて、会社員である女性が病気で11日間入院し、22万円出費した場合、仮に半分を保険適用の自己負担額とすると、約3万円が高額療養費として給付されます。
また、この期間、有給休暇を使うことができれば、収入が減ることはなく、有給が使えない場合でも、3分の2が健康保険から支給されるので、無収入になることはありません。
それでも、保険適用外費用や差額ベッド代などの出費を考えれば、医療保険に入ることはひとつの選択肢となります。
医療保険に入る意味
医療保険の給付には限度額がある
医療保険の保障内容を見ると入院給付金支払限度として、「一回の入院につき60日」などの記載があると思います。この60日が最近では主流になっています。これは、最大で60日間しか保障しないということなので、日額5,000円であれば、最大で30万円までしか払われないということです。
公益財団法人生命保険文化センター(平成28年度)「生活保障に関する調査」によると、入院日数の平均は、19.1日となっています。仮に20日間入院して、一回10万円の手術をしたとすると、給付金は20万円となります。20万円であれば、貯金でも十分に補えそうな気がしませんか?
保険料の支払い総額で比較してみると
一方で、35歳女性が日額5,000円の終身医療保険(60歳払込満了)に入った場合、保険料の総額はいくらになるでしょうか。保険会社にもよりますが、仮に月3,000円とすると、3,000円×12か月×25年=90万円となります。
単純計算して、「1回の手術+20日間入院」を4.5回すると元が取れる計算です。
そもそも入院する確率は?
実際に入院するケースはどのくらいあるのでしょう。下の図は人口10万人に対して、入院している患者数(受療率)を表したものです。
出典:厚生労働省 平成26年(2014)患者調査より
この図を見てもわかるように、圧倒的に65歳以上が多いのがわかります。ある特定の日に入院している患者数であるにしても、近年では64歳以下は1%にも満たないことがわかります。
この結果をどう見るかにもよりますが、若いうちは、元を取るほどの入院はほとんどしないと言えそうです。そう考えると、65歳からの保障が重要となってきます。保険に頼るなら、保険期間は「終身」とすべきです。
医療保険はシンプルに
働く女性が病気やケガで入院した場合、高額療養費制度や傷病手当金を利用すれば、生活が困窮するほとのダメージには至らないでしょう。また、預貯金の額に自信がある人は、医療保険すらいらないかもしれません。とは言え、そこまで思いきれない人は医療保険で補いましょう。
保険料を安くするためには、なるべくシンプルなものを選び、いざという時の保障のためと割り切って、掛け捨てをおすすめします。そして、保険期間は終身のものを選びましょう。
いかがでしたか?入院した時の費用や給付金について、イメージがわいたでしょうか。貯金でも保険でも、備えあれば憂いなし! 今からしっかり準備したいものですね。