日本の税金制度はすべて自己申告制。いくらおトクなことがあっても、知らずに申告しなければ、損することが多いって知っていましたか?今回はなかでも、多くの方が手にしている「源泉徴収」と「確定申告」の仕組みと活用方法について紹介します。早めに知っておくことで、最大限に節税対策をすることができます。必読です!
知らずに損していない?
知っておくべき源泉徴収と確定申告とは
2016年6月10日
源泉徴収と自己申告の関係は?
そもそも所得税は所得を得た本人が納めるもの。会社員は働いて得た給料から税金が引かれていますが、会社員だって例外ではありません。それではなぜ給料から引くの?私は税務署に行ったことがないけど?税金申告書に書いたこともなければ見たこともないわ……という疑問が湧いてきますね。
会社員に対する納税システムは源泉徴収という形で行われています。源泉徴収は、会社が従業員の給与から所得税を徴収して、その徴収した税分を従業員に代わって納税する方法。これは効果的・効率的に徴税するのが目的とされています。「私は自分でちゃんと申告・納税をする!」と思ってもそれはNG。法律で、会社は源泉調整義務者として、人を雇って給与を支払うときには税金を差し引いて支払わなければならないことが決められているのです。
そうしたら、自己申告制という言葉に矛盾があるのでは?…とも思いそうですが、所得税額を決めるときには、もらった給料全体の金額で決めるのではなく、個人の事情も勘案しながら、収入からある程度の金額を差し引いて計算を元に税額の計算をします。独身か、家族を扶養しているか、保険には入っているか…。源泉徴収をする会社にとっては、従業員のこのような事情は分かりませんし、知っていてもすべての従業員の個別の状況を勘案しながら徴収事務を行うのは煩雑過ぎる行為です。
つまり給与から引かれている税金は、まだ個人の事情が反映されていない金額。年末に扶養家族や生命保険加入などの個人事情を従業員本人から「自己申告」してもらって、最終的な年間収入と所得控除額を決定し、正式な納税金額を計算します。
正式な税金額がこれまで引かれていた税金額よりも少なくてすめば、多く払いすぎた分が還付されます。反対に正式な税金額がこれまでの徴収分よりも多い場合は、差額を納めなければなりません。このようなその年の最後の税金調整を「年末調整」と言うのです。
ここまで読んで「やっぱり確定申告は会社員の私には関係ないわ」と思っている人。そんな人は損をする可能性があるかもしれません。実は、そもそも年末調整だけで控除しきれないものもあって、確定申告をした方が良い場合もあるんです。
会社員が年末調整で節税するには?
個人の事情といっても独身だし、扶養する家族もいないし…とシングル女性は年末調整を無視しがち。ですが、それで損をしているかもしれません。
年末調整の節税対策として代表的なのが生命保険料控除です。生命保険会社などで契約をして保険料を支払うことで、所得控除を受けられるという制度ですが、保険契約の種類によって、一般の生命保険控除、介護医療保険料控除そして個人年金保険料控除の3タイプの保険料控除に分けられます。
一般の生命保険料控除は死亡保障や生存保障(満期保険金)のあるタイプの保険契約が対象。介護医療保険料控除は入通院など医療給付に関する保険契約に。個人年金保険料控除は、個人年金保険料税制適格特約を付加した個人年金保険契約が対象となります。それぞれ1年間に払込んだ保険料額に対して所得から控除できる金額が決まりますが、どのタイプも最高4万円まで控除できることになっています。
お金の教養のある女性なら医療保険や個人年金保険に加入している人も多いかもしれませんね。年末調整時にはこれらの所得控除を忘れずに自己申告するようにしましょう。まだ加入していないと言う人は、これを機に加入の検討をするのもおススメ。税金を節約するためだけではなく、これから妊娠・出産を控えている世代の人なら女性医療保険に加入しておいて損はないですし、老後資金の準備にも役立ちます。
なお、老後生活資金作りとして確定拠出年金(401K)を利用する人も増えてきていますが、401Kの掛金は1年間に払い込んだ掛金全額が小規模企業共済等掛金控除として年末調整で申告できますよ。
会社員でも確定申告することで節税できる!
年末調整で税金の還付を受けられるとはいえ、実は年末調整でも処理できない所得控除というのがあります。そのような対象となる所得控除がある場合は、会社員であっても自分自身で確定申告を行います。
転職やスキルアップを目指した資格取得費、制服のない営業や接客の仕事では身だしなみのための衣服代など、業務上の費用が結構かかりませんか?特定支出控除といって、業務上必要であるにもかかわらず、会社の補助等なく自腹を切った経費があれば所得控除として税金から還付してもらうことができることがあります。交通費、職務上必要な資格取得費、職務遂行上必要な衣服購入費、得意先への接待などが該当します。ただしこれは年末調整ではなく、確定申告で自己申告することになっています。また、申告の際には業務上必要であったことを会社から証明してもらうことが必要です。
近年人気のふるさと納税をした場合や、年間の医療費が10万円以上かかった場合も確定申告することで税金の節約が可能です。
年末調整でも確定申告でも、所得税の計算は個人が1月1日~12月31日までの1年間に得た所得に対しておこないます。生命保険料控除など控除額の上限が決まっているものもありますが、所得控除も基本的には1月1日~12月31日までの1年間に支出した金額で計算します。年末になって慌てて401Kに加入したり、スキルアップをするのではなく、早いうちから年末にかけてゆっくりと準備をしておくと慌てずにすむのでおススメですよ。