今は元気だとしても、将来を見据え考えなくてはならないのが、介護のこと。歳をとれば誰しも体に不調をきたしますし、いずれは手助けが必要になるかもしれません。平成27年に行われた総務省の調査では85歳以上の高齢者の60.3%が要支援、要介護状態。二人に一人以上に介護が必要な状態であると知っていましたか?なんとか最期の時まで健康に過ごしたければ、今から運動、食事、規則正しい生活など万全な準備をする必要があります。ただ、それでも不意のケガや避けきれない病気がやってくることもあるのが事実。では実際どのくらいのお金がかかるのでしょうか?
他人ごとではないかも!
将来介護にいくらかかるの?
2016年6月3日
親の介護よりも自分の介護問題の方が深刻ってホント?!
介護というと、まずは親の顔が浮かぶでしょう。確かに、親の介護も大きな課題になるかもしれません。けれど、親世代のさらに20~30年後に介護の時を迎える私たちの方が、抱える問題は深刻だったりします。
年金問題と同じく、財政を支える人口は少なく、介護を担う人材も確保しきれるか分かりません。
心配なのはやはり…
実際、介護施設は年々増えてはいるものの、費用面でおトクな公的介護施設は待機者が多く、なかなか入所できません。
それに比べると民間の介護施設は間口は広いものの、費用面ではかなりの負担が必要で、貯金や日々の節約に励んでも入居費用が賄えない…なんていうこともあるのです。 長生きって幸せなの?と考えてしまうかもしれませんが、まずはお金の不安を解消して、少しでも安心してその時を迎えられるように準備をしておきましょう。
介護にはいくらお金がかかる?
では、具体的に介護にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査/平成27年度」によれば、まず要介護状態になった時の初期費用として、平均252万円かかります。これは、車いす、介護ベッドの購入などにかかる諸費用の合計です。
普段の生活については、同居する家族がいれば、ある程度のことは分担できますし、時にはヘルパーさんの手を借りて乗り切ることもできることも多いかと思います。しかし、おひとりさまは、本格的な介護が必要になったときには、洋服を着ること、食事を作ることどころか食べることさえできなくなってしまうため、施設へ入居するしかなくなります。
そのため、高齢者住宅や老人ホームなどへの居住も考えなくてはなりません。 月々の介護費用の自己負担ですが、平均16.8万円となっています。もちろん、公的介護保険でカバーできる部分もありますが、自己負担をゼロにはできないのも事実。
老人ホームの負担額って?
費用面でおトクな公的介護施設の特別養護老人ホームに入居する場合、費用のほとんどは公的介護保険が適用され、本人は1割(一定以上の所得がある人は2割)の自己負担だけで済みます。
しかし健康保険と同じく、介護保険にも適用外の費用が存在することを知っておきましょう。例えば、理美容代、歯ブラシ、石鹸、シャンプー、衣服、コインランドリー、クリーニング代など身の回り品として日常的に必要な物の提供費用、茶道、華道、編み物、刺繍など本人の希望により教養娯楽として必要な費用、交通費などはすべて実費となります。
快適に暮らすために必要な介護を必要なだけ利用したいとなると、それなりのお金が必要というワケです。
親のため、自分のために、今から始めたい介護の備え
ひとくちに介護と言っても、介護を必要とする状態によって、介護をする人の負担もさまざまです。
もしも親の身体の自由が利かなくなって介護をしないといけなくなったら、付き添いのために自分の仕事をセーブしなければならなくなるかもしれません。これまでよく行っていた女子会はおろか、海外旅行など遠い存在になってしまいます。
もしも痴呆等で介護を必要とする場合、専門家に依頼する方法もありますが、やはり家族のこと。気になって仕事に集中できなくなるかもしれません。
肉体面だけではなく精神面もケアすることが重要
肉体的負担も大きいですが、一番怖いのは、これがいつまで続くのか…と考えてしまうこと。 先の調査によると、在宅介護の場合で、1日のうち介護にかける時間は「必要なときに手を貸す程度」が42%で最も多く、次いで「ほとんど終日」が25.2%です。
自宅でほとんど終日つきっきりで介護をしていたら、精神面でも参ってしまうかもしれませんね。もしも自分の老後に親の介護が重なってしまうと、自分の肉体的にも大きな負担になるでしょう。
しかし、介護に要する期間は平均で4年11ヶ月となっています。決して終わりがないことはありません。公的介護保険に加え、民間の介護保険に加入しておくなど、経済的な備えがしっかりできていれば、介護の期間中に「必要なときに手を貸す程度」の介護で済むかもしれません。
備えあれば憂いなし。今から少しずつ介護や老後について学び、貯金を増やしていけば、心の負担も少しは取り除けるはず。
「未来の話」と考えるのではなく、ぜひ自分事におきかえて、考えてみてくださいね。